テラーノベル
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「「「「キタアアアアアアア!」」」」
「「「「みこめっと待ってた!!」」」」
配信開始と同時に、猛烈な勢いで流れるチャット欄。画面には、いつも通り隣り合って並ぶさくらみこと星街すいせいの姿があった。
「にゃっはろ〜! ホロライブのエリート巫女、さくらみこ!」
「彗星のごとく現れたスターの原石、アイドルVチューバーの星街すいせいでーす。……っていうか、みこち、今日なんかニヤニヤしすぎじゃない?」
すいせいがいつものように低めのトーンで突っ込む。
だが、その瞳は画面を見つめるフリをしながら、チラリと横に座るみこを見ていた。
「えっ!? そ、そんなことないし! 普通だし! 今日はエリートなみこを見せる日だから!」
慌てて声を張り上げるみこ。しかし、その耳たぶは隠しきれず真っ赤に染まっている。
昨夜、耳元で囁かれた「星街みこさん」という言葉が、脳内でリピート再生されていた。
(……もう、すいちゃんのバカ。配信中なのに思い出させないでよ……!)
みこが机の下で、自分の服の裾をぎゅっと握りしめた、その時。
ふっと、柔らかい温もりがみこの右手を包み込んだ。
(……!?)
驚いて横を見ると、すいせいは何食わぬ顔でモニターを見つめ、左手でマウスを操作している。
けれど、空いている方の右手は、机の下でしっかりと、みこの手と指を絡めていた。
「……あ、今日のゲーム、これね。みこち、ちゃんとルール分かってる?」
「あ、う、うん……。わ、わかってるし……」
繋がれた手のひらから、すいせいの体温が伝わってくる。
指先を優しくなぞるような、執着に満ちた動き。
それは、カメラには絶対に映らない、二人だけの「契約更新」の儀式だった。
「……っ、すいちゃん、もうっ……」
「ん? なあに? 早く準備してよ、パートナー」
すいせいが意地悪く微笑む。
リスナーたちは「またプロレス始まったw」「みこちがタジタジなの草」と盛り上がっているが、誰も知らない。
画面の下で、二人の指が決して解けないほど固く結ばれていることを。
「……うん、いくよ。すいちゃん……」
みこも、繋がれた手にそっと力を込め返した。
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