テラーノベル
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22時。シャワーを終えた私は、ピンクのベビードールを纏った。
胸元は透け、ショーツはほぼ紐という、風水の概念をどこかに置き忘れたような姿で寝室に向かう。
(陽一さん、今日はお疲れ様♡これから私がいっぱい『癒して』あげるからね……!)
しかし、私が目にしたのは、期待していた「野生のSE」ではなかった。完成したばかりの新品のマットレスの上で、彼は規則な寝息を立てていた。
脆弱な彼の肉体にとって、マットレスの包容力は、彼女の誘惑よりも強力な睡眠薬として作用したのだ。
(……寝た!!速攻で寝た!!ねえ神様、私の性生活は一体どうなってるんですかーー!!泣)
***
翌朝、午前7時。
「うわあああ! しまった!!」
僕は絶叫と共に跳ね起きた。
「陽一さん……? まだ早いよ……朝ごはん作……」
「ごめん白石さん! 今日、午前中にどうしても外せない『時間厳守(さもないと殺される)』の予定があるんだ!! 間に合わないから、行くね! 最高だったよ!!」
嵐のように彼は去っていった。残された私は、昨夜のままの格好で、広いベッドの真ん中に取り残された。
「……最高って、ベッドの寝心地のことかーーーーい!!」
その頃、陽一は駅まで全力疾走していた。
(やばい、遅れたら腕立て伏せ追加100回だ……! お義兄さんの逆鱗に触れるわけにはいかない……!)
ひよりの「運気アップ」のために買ったベッドは、陽一にとっては「地獄(ジム)を生き抜くための超急速充電器」として、完璧なパフォーマンスを発揮してしまったのである。
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