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──お店に着き、大きな鉄板を丸く囲むカウンター席に腰かけた。
「いらっしゃいませ、蓮水様。今日は、どう致しましょうか?」
「ステーキのコースディナーを二つと、軽い飲み口のシャンパンをお願いできるだろうか」
「はい、承知致しました」と、スタッフの方が一礼をして下がると、程なくしてシャンパンのボトルを携えたソムリエの方が訪れて、「こちらのロゼのジャンパーニュでいかがでしょう? 肉料理にも合う、フルーティーでなめらかな口当たりです」と、栓を開けシャンパンを注ぎ入れ、彼にテイスティングのためのグラスを差し出した。
一口を飲んで、「うん、飲みやすいな。これでいい」と、彼がグラスを返す。
「それでは、注がせていただきますね」
頷いたソムリエの男性が、柄がほっそりと長い二つのフルートグラスにシャンパンを注いだ。
「本当に薔薇みたいに綺麗な色ですね」
淡いピンク色をしたシャンパンの細かな泡がシュワシュワと弾けるのを、グラス越しにじっと透かし見た。
「君も、とても綺麗だ。ロゼのように」
彼が口にして、そうして「……本心でも、やはりこんなセリフはくすぐったいな」と、照れたように微笑んだ……。