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ま-ん-て-ん
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歌音 麗華❣@物語大会開催中!
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実習1日目が無事に終わった。私の胸には大きな達成感と一欠片の寂しさがうずを巻いていた。
「悠希乃さん、1日目お疲れ様」
「た、高科先生、お疲れ様です」
「今日この後空いてるかな?」
「え、えーと。あはい、空いてますけど、どうかしたんですか?」
「ご飯どうかなと思って。行けるかな?」
私は今夢を見ているのだろうか。高科先生が私をご飯に誘っている?いや、現実だ。というか夢であってほしくない!
「わ、私は全然大丈夫です!」
再び事務処理にとパソコンに向かい、両手を頬に近づけると触れてなくても熱気が伝わってくる。こっそり鏡を見るとほんのり頬が赤い。これがチークのせいではないのは一目瞭然だ。どうしよう。高科先生にお見苦しいところをお見せしてしまった気がする!
「悠希乃さんもう仕事終わった?」
「あ、はい。私は完了してます」
「じゃあ店行こっか。これから探すんだけどいい?」
「もちろんです。あ。でも、私今日電車で来たんでちょっと遅れちゃうかもです」
「じゃあ、俺の車乗ってきなよ」
「えぇ!いや、さすがにそれは」
私の心臓がもちません!
「んー、でもその方が店探すの簡単じゃない?」
たしかにそうだ。ここは親切心で誘ってもらっているのだから感謝の意をもって相乗りさせてつもらおう。そこから私たちは、某人気チェーン店にて夕食をともにすることにした。そこまではよかった。しかし、私の心臓が痛いほどに心拍数を上げている。高科先生の車に2人きりというシチュエーションのせいで、私の心臓は暴れ狂っている。高科先生のハンドルを両手に運転している横顔は外の街灯や街の明かりに照らされてかっこよさが増している。本当にきれいな顔をしていらっしゃる。不覚にも奥様が羨ましく感じる。昔から変わらない長い指もかっこいい、と指に視線を移す。あれ、指輪がない。職務後すぐだからつけ忘れているだけか?いや、そんなわけがない。私が在学中高科先生は学校にいるとき常に指輪はつけていた。これは聞いてもいいことなのだろうか。聞くとしても今でないことはわかる。そんなことを悶々と考えてるうちにお店についてしまった。
「はい、つきましたよ。」
「あ、ありがとうございます。」
「中、入りましょうか。」
「はい。」
高科先生の後を追うようにして店の中に入る。
「混んでなくてよかったね」
「そ、そうですね…」
どうしよう。上手く笑えない。
「悠希乃なんか元気ない?」
「あ、いえ。嬉しいのと緊張とが混ざっちゃってて」
嘘ではない。実際尊敬している高科先生とご飯を一緒にできるということに少なからず緊張している。ただ、それ以上に指輪のことが気になってしまう。
「そうなんだ。今日は緊張しっぱだね。でも、そんな怖がんなくていいよ。何かあったときも俺いるし。」
「あ、ありがとうございます」
やっぱり高科先生は優しい。ただ、その優しさに私はつけこんでいないだろうか。高科先生の優しさに甘えて判断力が鈍ってしまっているのではないだろうかと不安になってしまう。
「じゃあなんか頼もうか」
しばらくすると、テーブルの8割が食事と皿で覆われた。私も楽しさで心が浮かれている。時計を見ると既に20時を指している。
「高科先生、お時間大丈夫ですか?」
「んー、俺は家に帰っても暇になっちゃうだけだし、もう少し話したいから悠希乃さん付き合ってくれる?」
子犬がすがるような、そんな目でみられたら断ることなんてできない。
「あ、そういえば悠希乃さんは飲んでも大丈夫だからね?俺送ってくし」
「え!いや、さすがに申し訳ないというか」
「大丈夫だよ。それに家遠いんでしよ?ここは大人に甘えなさい。」
「じゃあお言葉に甘えて、お願いします」
私も大人なんだけどなぁ。高科先生からしたらまだまだ子供なのかな。
私はカシオレを頼み、その甘酸っぱいアルコールを口に転がした。酔いのせいか、今なら指輪のことを聞ける気がする。でも、聞いてもいいのだろうか。
「指輪、気になる?」
「え?」
「見てたでしょ。運転中くらいからかな」
まさかばれてしまっていたとは。もしかしたら、横顔を見ていたのもバレていたかもと思うと恥ずかしさでどうにかなってしまいそうだ。でも、高科先生、笑ってる。聞いてもいいのかな。
「聞いてもいいですか?」
「うん。いいよ。どこから話そうかな。」
そう言って、サイダーを口にいれる。
「浮気されてたんだ。しかも、娘をつれてね。」
あまりに衝撃的で息を飲んだ。つまり、元奥さんは娘さんをつれて他の男と会っていたのか。あまりに残酷な話だ。
「それは、残酷ですね。それで奥さんとは」
「もちろん、離婚したよ。ただ、娘の親権が向こうに渡っちゃったんだ。娘が浮気相手になついてたしね。」
「そうなんですか。ちなみにいつ頃なんですか。」
「離婚したのは3年前。ただ、浮気は5年くらい前からだろうね。」
「そうなんですか。」
なんて声をかけるべきかわからない。私は浮気をされたことがないしそもそも恋人と呼べる人もいたこともない。沈黙が気まずくてカシオレをまた口に運ぶ。もうグラスが空っぽだ。
「俺に構わず飲んでいいよ」
「あ、ありがとうございます」
また同じカシオレを注文する。
「変わらないね」
「え?何がですか?」
「悠希乃さん、ひとつのことに絞ったらなかなか変えないでしよ。悠希乃さんの魅力のひとつだね」
「私も高科先生の素敵なとことかかっこいいとこいっぱい知ってます」
あー、何言ってんだろ、私。
「だから、高科先生は何一つ悪くないです。」
「ありがとうね。俺も他にも悠希乃さんのいいとこいっぱい知ってるよ」
「へへ、ありがとうございます。」
なんか、眠いな。でも、ここで寝たらまずいよ、な。
ここで私の記憶は途絶えた。
つづく
コメント
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第3話読み終えたよ!悠希乃さんの「高科先生がご飯に誘ってくれた…!」ってときめきと緊張が入り混じった感じ、すごく伝わってきた。しかも車の中で指輪がないのに気づいてから、食事中に浮気・離婚の話を聞く流れ、切なくて胸が締め付けられた。カシオレで酔って記憶が途切れるラストも、続きが気になりすぎる〜!