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混み合うロビーでの研修を終えた華は、バックオフィスに戻ると大きく息をついた。
体中がこわばって、足も痛い。けれど、それ以上に胸の中に残るのは、律の働きぶりを目にした時の衝撃だった。
「……私も、ちゃんとしなきゃ」
声に出してみると、少しだけ気持ちが引き締まる。
今までは失敗を笑ってごまかすことが多かった。けれど、この場所では通用しない。律の真剣さを見て、それだけははっきりと分かった。
華は手帳を開き、震える指で今日の失敗を書き留めていく。
「お辞儀は浅く、電話はゆっくり、案内は確認……」
拙い字のメモ。だが、そのページには、華の小さな決意が刻まれていた。