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「……何をしてるんですか」
背後から声がして、華は慌てて手帳を閉じた。振り返ると、律が腕を組んで立っていた。
「えっと……今日の失敗を、忘れないように書き留めてました」
視線を落としながら答えると、律は一瞬だけ驚いたように目を細めた。
「……そうですか」
短い言葉だったが、その声音はいつもより柔らかかった。
律はそれ以上何も言わず、書類を手にして奥へ歩いていく。
華は胸の鼓動を感じながら、小さく息をついた。
――ほんのわずかだが、律の態度が変わったように思えた。