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出勤時間。
制服に着替えた華は、緊張で胸がぎゅっと縮むのを感じながらフロントへ向かった。
カウンターに立つと、そこにはすでに律の姿があった。
背筋を伸ばし、書類を整理している横顔は、いつも通り冷静で隙がない。
「……おはようございます」
華は声を整えようとしたが、わずかに裏返ってしまう。
律がちらりと視線を向ける。
「おはようございます」
その声は変わらず落ち着いていた。
けれど、華の胸の奥には昨夜の失態が鮮明にこびりついている。
(絶対覚えてる……! どうしよう、穴があったら入りたい……!)
視線を合わせられず、書類に目を落とす華。
気まずさだけが、二人の間を流れていた。