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前編:何者かになりたくて
「……俺って、普通だよな」
平凡
どこにでもいる、ただの人間。
起きて、食って、働いて、寝る
また起きて、同じ一日を繰り返す。
「……なんで、こんな人生なんだろ」
その時だった
「そこのお兄さん」
振り向くと、見知らぬ男が笑っていた
「人生がつまらないなら——これ、どうだい?」
差し出されたのは、林檎。
「“転生林檎”さ。一端の何者かに生まれ変われる」
「……は?」
「賢いワナビーは、みんなやってるよ」
胡散臭い。
でも——
「……本当に、変われるのか?」
男は、少しだけ笑って
「——自分を見失わないことだね」
次の瞬間、消えていた。
俺の手には、林檎だけが残っていた。
かじった瞬間、世界が歪んだ。
視界が白く染まる。
気づけば、俺は“才能ある側”にいた。
言葉も、音も、表現も
すべてが思い通りになる。
「ここ、少し考えれば分かるだろ」
つい口に出る。
「なんでできないんだよ」
沈黙。
周りの空気が冷たくなる。
「……は?そんな顔する意味が分からないんだけど」
俺は、正しいことを言っているだけなのに。
どうして伝わらない?
数日後
スタジオに、誰も来なかった。
机の上のメモ。
『ごめん、もう無理』
「……なんでだよ」
震える声。
「俺は、いい作品を作りたかっただけなのに」
鏡を見る。
そこにいたのは
評価されているのに
誰からも愛されていない人間だった。
「……才能があっても、意味ないじゃん」
また俺は林檎をかじった
次に目を覚ました時、俺は天才と呼ばれていた。
次々と新しいものを生み出し
世界を変える力を持っていた。
「これで、みんなが楽になる」
「これで、笑顔が増える」
そう信じていた。
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「政府の奴ら……俺の研究を兵器に利用するなんて……」
震える手。
「……なんでだよ」
「俺はただ、みんなが笑顔になるようなものを作りたかっただけなのに」
遠くで爆発音が響く。
空を見上げると、赤く染まっていた。
「……あぁ、血の雨か」
小さく笑う。
「はは……俺、もう大悪党だな」
握りしめた手の中には、あの林檎。
「……なんで、どの人生も上手くいかないんだよ」
静かに呟く。
「次は、間違えない」
もう一度、林檎をかじった。
コメント
3件
わぁ…転生林檎大好きだからやばいくらい嬉しい🖐️💘歌詞通りに進められるの尊敬過ぎ😖👈楽しみにしてるねん👍
ええっすねえ
かぁこいい