テラーノベル
アプリでサクサク楽しめる
「それがわかった今──もう、『侍女』でも『身代わり』でもない。……君は、俺が一生をかけて愛し抜く、たった一人の女性だ」
そう言って、アイン様は私の髪に、誓いのような深いキスを落とした。
朝陽に照らされたこの部屋で、私たちの「偽りの契約」は、甘く蕩けるような「真実の恋」へと、その形を変えたのだ。
「ん……んぅ…っ、はあ…」
柔らかな光を浴びる部屋で、私たちの影は溶け合い重なっていく。
ただでさえ狂おしかった鼓動がますます加速する。
息をするのも忘れそうになるほどの熱に、何もかも奪われてしまいそうだ。
「ふぁ…アイン、さま……」
唇が離れた瞬間、恥ずかしさに耐えきれずぎゅっと目を閉じてしまう。
なのにアインさまは「まだ足りない」と言うようにもう一度強く抱き寄せ――
「あっ……!」
次の瞬間、視界がくるりと反転し、気づけば私はベッドに押し倒されていた。
「こ、こんなところで…誰か来たら……」
「俺たちが夫婦であることはすでに周知の事実だ。それに、誰であろうと俺の許可なく入ってくる者はない」
「で、でも……!」
抗議の声を上げようとした矢先、彼の指先が私の耳朶を優しく撫でた。
びくりと身体が跳ね上がる。
「シンデレラ…君の本音が聞きたいんだ」
低く囁かれる言葉が耳から心へ、そして全身へと染みわたっていく。
「俺のものになりたいと思っているか、あるいは──拒否したいと思うなら、正直に言ってくれ」
アインさまの瞳は切なげに細められていて
その奥には欲求と同時に、私への想いに揺れる儚さが見て取れた。
「私…アイン様に救ってもらったあの日からずっとお慕いしてきて……偽りの婚姻だとわかっていてもあなたの傍にいることができて…お役に立てるのが嬉しかったんです」
それは紛れもない本心だった。
アインさまの胸板に触れると、微かに震える鼓動が伝わってきて
私の胸にも温もりが広がっていく。
「アインさまに…いつの間にか恋をしてしまって……でも、こんな気持ちを抱いていい立場じゃないので…ずっと、隠してきたんです、ごめんなさい」
「謝らなくていいし…もう隠す必要などない」
アイン様は静かに微笑んで額を寄せてきた。
「君の全てを受け入れる覚悟がある。俺が求めるのは地位でも金でもない。ただ──君自身が欲しいんだ」
その言葉とともに瞼が閉ざされ
互いの唇が再び重なり合う。
今度は躊躇うことなく開き返せば
アイン様の熱が舌先を通じて流れ込んできた。
「ひゃ、あ……ッ!?」
甘い痺れが背筋を這い上がり、思わず弓なりにしなった身体を
力強い腕が逃がすまいと抱え込む。
「どうか全て委ねてくれ」
切迫した息遣いが耳朶を打った。
「愛してる……シンデレラ」
カーテン越しに差し込む朝陽が シーツの波模様を淡く照らし出す。
もう偽りの衣も仮面も不要だった。
「あっ…あいん、さま…っ……ん…」
吐息混じりに答えた刹那
再び世界が傾き
二人の境界は溶け合い
溶岩のように燃え滾る情念が 、朝日の下で静かに融解していった。
コメント
0件
👏 最初のコメントを書いて作者に喜んでもらおう!