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恐怖心に負けたくなくて藤子は言った
前回、藤子が海に来た時は高校生の時だ、家族で旅行した際に、海水浴に来て藤子はしっかり溺れかけた、強い海底にさらわれて体は一回転し、どっちが上か下かわからない状態で、大量に海水を飲む羽目になってしまった
あれから海には恐怖心があったけど、今なら彼と一緒に克服できそうだ、自分の中でもっといい海の思い出に塗り替えたかった、さらに前に進むと、突然海底が深くなった
「キャァッ!」
突然藤子の足がつかなくなり、顎まで海につかってパニックになった、思わず文也の体に手足を巻きつけてしがみついた
「いっ・・・いったい何?どうして急に深くなったの?」
「大丈夫だよ、藤子ちゃん」
力強い文也の腕が、藤子の腰とお尻をしっかりと抱きしめる
「砂州の上に立っていたんだ、底が急に沈んだんだよ、僕がつまえていてあげるから、絶対溺れないよ」
そして藤子は文也の首に腕を回し、脚を彼の腰に巻き付けた、彼は藤子のお尻に両手を回し、海面が胸元まで来るように浮かしてくれた、砂州地点を超えて深い沖に到達すると波はまったく立っておらず、藤子は急に楽しなって辺りを見渡した
「波はどこにいったの?」
彼のサングラス越しに目が合う
「波の立つ場所を抜けたんだ、ここから先は海は穏やかになるよ、気に入った?」
「ええっっ!とっても」
藤子は体が水に浮かんでいるのを心地よく感じた、深い所でもし溺れても、必ず彼がなんとかしてくれると思った
冷たい水に体が慣れてくると、文也のたくましい胸の温かさが感じられた、顔が海水につかないように彼に腰を支えてもらって仰向けになり藤子は海の中で脚を伸ばしてみた
プカプカ海水に体を浮かせ、深呼吸をすると、体の中で何かがほぐれて言った、文也の首につかまっている手の指先に彼の滑らかな肌が触れる、海面の太陽の光を反射して彼の胸は輝いていたし、乳首はかわいかった
「もう岸に戻ったほうがいい?」
「君が戻りたいならつれていくよ」
文也は救命ボートよりも力強く、見つめあいながら二人で波に揺られる感覚は、これまで経験したことのない官能的なものだった
「まだ、もどりたくないわ・・・」
藤子はサングラスの奥の彼の瞳を見つめた
「ここは気持ちいいもの・・・」
「そうだね・・・」
「高校生の時・・・家族で海水浴に来た時溺れてしまったの、それから海には入ってなかったの」
文也が驚いて言った
「ええっ?それなら早く言ってくれればよかったのに、怖い思いをさせてごめんね」
藤子は文也につかまりながら、どこまでも青い海を見渡した、そこには空と海しかなった、日の光で水面がダイヤモンドさながらに煌めいている
「ううん・・・こんな綺麗な景色を見させてくれてありがとう・・・」
自分の両足の間に彼が立っている事実に、藤子は急に意識し出した
「人魚姫ってこんな気分なのよね?きっと・・・」
「うん、海以外何もない」
彼が熱く見つめてくる、おなかに彼の硬いモノがあたるけど、彼は堂々としていて、素敵な女性を抱き締めているのだから当然だとでも言いたそうだった
「僕の人魚姫は藤子ちゃんだよ」
そっと彼が藤子のおでこにキスをした
「しょっぱい」
サングラス越しでも真剣な目が見える・・・彼が本気でこんな素敵なセリフを自分に贈ってくれていると思うと心がときめいた
青い海・・・広い空・・・そして・・・自分を抱き締めているのは広告モデルのような、素敵な素敵な文也君・・・
「藤子ちゃん、君が好きだ!弟を卒業させてよ」
信じられないぐらい真剣な瞳・・・真っすぐに刺さるぐらい自分に嘘偽りなく告白している気概・・・あまりにも魅力的なので藤子は彼の魅力に抵抗しているのがバカらしくなった
彼と一緒にいると自分の自虐的な所が癒される、じっと見つめ合ったまま意を決して藤子は言った
「卒業証書・・・いる?」
藤子の言葉に文也は笑い、二人は同時に目を閉じキスをした
そしてそのまましばらく波間に漂った
コメント
1件
高校時代の溺れかけた記憶を、文也さんと一緒に「塗り替えよう」としたシーンがとても素敵でした。波のない沖でプカプカ浮かぶ時間が、二人だけの特別な空間みたいで。「卒業証書…いる?」なんて返し、可愛すぎます。彼の告白に心がほどけていく流れも自然で、海の煌めきと一緒に幸せな気持ちになりました。