𓏸𓏸side
…て、おーい起きて」
蛍の声がして目が覚めた。
𓏸𓏸「ん、蛍?んあ着いた?」
蛍「うん着いたケド、鍵ある?」
𓏸𓏸「かー、ぎ?ああかぎかー。 」
蛍「𓏸𓏸寝ぼけてる?」
𓏸𓏸「んーん、ほい、鍵」
蛍「ん、ありがとう。開けるね」
𓏸𓏸「んー」
蛍「お邪魔します。ほら、𓏸𓏸靴脱いで?」
𓏸𓏸「んー」
私は言われるがままに動いた。
蛍「うん、いい子、ほら部屋行くよ」
蛍は何度も家に来ているから大体の家の間取りを知っている。もちろん私の部屋の場所も。
私は蛍に抱かれながら部屋まで移動した。
蛍「ほら、着いたよ。とりあえず降ろすからね」
蛍は私をベッドに下ろした。
蛍「体温計と水持ってくるね。𓏸𓏸はできそうだったら制服着替えちゃって」
そう言って蛍は私の部屋から出ていった。
やっと私は頭が働いてきた。
やばい、蛍に迷惑かけすぎてる、、、。
本当はデートだったし、何よりせっかくの蛍の休みをこんなことに使わせてしまっている。
これ以上迷惑かけたらだめだ。
私は重い体を必死に動かし蛍が戻って来るまでに着替えを済ませた。
コンコン
蛍「𓏸𓏸、入ってもいい?」
𓏸𓏸「うん」
ガチャ
蛍「ん、着替えられてんジャン」
えらいえらい、なんて言いながら蛍は私に体温計を渡した。
蛍「ほら、計って?多分さっきより熱上がってると思うケド」
𓏸𓏸「うん、ありがとう」
迷惑かけたくない。熱が上がってたら余計迷惑だ。
そんなことを考えて私は体温計を緩く挟んだ。
ピピピピ
蛍「ん、鳴ったね。見して」
表記:37.4
蛍「あれ、意外と低いんだね。」
𓏸𓏸「そう、みたいだね」
蛍「うん。あ、今日ご両親は、何時頃帰ってくるの? 」
そういえば、お母さんたち今日から旅行だっけ。結婚してから20年だったから、ちょうど。でも、
𓏸𓏸「6時には帰ってくると思う、」
蛍「そーなんだ、じゃあそれまで待ってるね。𓏸𓏸のこと心配だし」
𓏸𓏸「んえ?い、いいよ平気平気、ほらこんなに元気だし」
そう言って私はベッドから降りて動いてみる。
𓏸𓏸「っ、」
目眩がしてその場にしゃがむ。
蛍「チョット、大事?」
𓏸𓏸「ちょっと、クラって、した、だけ」
蛍「ほんと、ばかなの?ゆっくりでいいから、ベッド戻るよ?」
そう言って蛍は私の腕をとる。
蛍「ん、ちょっと待って𓏸𓏸の腕熱っつ。
これホントに37度代?」
ん、やば
蛍「とりあえず一旦ベッドに座ろう。
よし、𓏸𓏸、もう1回測って。もっと熱ありそう」
𓏸𓏸「え、いやそんなことないよ、」
蛍「いいから、そんなに嫌がるなら僕が挟む」
そう言って蛍は私の脇に体温計を挟んだ。
𓏸𓏸「(やばい、どうにかしないと、。)」
けど、蛍にしっかり腕をホールドされていて動くにも動けない。
ピピピピ
蛍「ん、鳴った。みるね」
表記:39.6
蛍「は、?」
蛍side
蛍「は、?」
手元にある体温計が示すは39.6という数値。
こんな短時間で2度以上熱が上がるなんて考えられない。それに、保健室の時より上がってる。よくこれで動こうと思えたね、。
𓏸𓏸「蛍?」
𓏸𓏸が不安そうにこちらを見つめる。
蛍「ねえ、もしかして最初緩めに挟んだ?」
𓏸𓏸の目が泳ぐ。やっぱり、そうだ。
蛍「はあ、そうやって無理して。キツイのは𓏸𓏸なのにね」
叱りたいのは山々だけど、今は叱るよりも優先すべき事がある。
蛍「きついでしょ、一旦横になりなね」
𓏸𓏸は、ゆっくり横になった。
蛍「薬飲ませるためには何か食べなきゃだけど、食べれそう?」
𓏸𓏸「えっと、、」
𓏸𓏸の事だからきっと以下に迷惑をかけないかを考えてるのだろう。 多分体温の件もそう。
𓏸𓏸の悪い癖だ。
蛍「𓏸𓏸、食欲ないでショ。ゼリーとかなら行けそう?」
𓏸𓏸「うん、」
蛍「分かった、冷えピタとか𓏸𓏸の家切らしてそうだから買ってくるね。
ほか何かいる?氷嚢とか、」
𓏸𓏸「ううん、大丈夫。ありがとね」
蛍「別に。じゃあ薬局行ってくる」
𓏸𓏸「うん、」
𓏸𓏸side
蛍が家を出た。 絶対呆れられた。嘘つく人なんてやだもんね。蛍に嫌われたらどうしよう、そんな不安ばかりが募る。
私しかいない部屋は何も音がしない。
熱が高いせいだろう、嫌な感覚がする。
ベッドが傾くような感じがする。なんかやだ。
不安と気持ち悪さが拭いきれない。
𓏸𓏸「ハア ハア ハア ハア」
息の仕方が分からない。
きもちわるい、やだ、やだ
𓏸𓏸「ハア、け、い、け、、い」
涙が出る。呼吸がさらに乱れる。
でも、自分じゃどうしようも出来ない。
ガチャ
蛍「もどったy……あれ」
蛍side
薬局から帰ると𓏸𓏸の部屋から激しい呼吸音が聞こえる。
急いで向かうと、𓏸𓏸が過呼吸を起こしていた。
蛍「チョット、どうしたの?
あ、待って答えなくていい。苦しいよね。
僕に合わせて呼吸して。吸って、、、吐いて、、、吸って、、、、、、」
暫くして𓏸𓏸の呼吸は落ち着いた。
蛍「もう大丈夫だから。疲れたよね、けどごめん。脱水とか心配だから水飲んで。あと薬も。行けそうだったらゼリーも食べちゃおう」
𓏸𓏸はゆっくり頷いた。
𓏸𓏸は水を少しとゼリーを1口食べて薬を飲んだ。もうこの時点でしんどそうだった。熱上がってるだろうな。
蛍「𓏸𓏸、もう寝なね。」
そう言うと、電池が切れたように𓏸𓏸は眠りについた。
あ、冷えピタ。
寝ている𓏸𓏸を起こさないように、冷えピタを貼った。そして、𓏸𓏸のご両親に連絡を入れた。
以外にも、早く既読が付いた。
蛍「、え?」
送られてきたメッセージには海外旅行中だからすぐには帰れないとあった。
そういえば確かに𓏸𓏸の話し方には違和感があった。僕が帰ったあと、1人でどうにかしようとしていたのだろうか。あったかもしれない未来を想像し恐ろしくなる。
どうしてそんなに一人で抱え込んでしまうのだろうか。
𓏸𓏸side
目が覚めると蛍がいた。
𓏸𓏸「ん、、、」
蛍「あ、起きた?」
𓏸𓏸「けー、」
蛍「体調はどー?少しはマシになった?」
𓏸𓏸「うん、だいぶ楽になった。」
蛍「そ、なら良かった。」
𓏸𓏸「ん、あれ今何時?」
蛍「今?11時半前だよ」
時刻を聞いて驚く。さっきまで5時すぎだったのに。ん、あれ
𓏸𓏸「なんで蛍いるの?」
蛍「ご両親から聞いたよ。今旅行中なんだって?」
𓏸𓏸「う、」
しられて、た。やばいやばい
蛍「ほんとバカすぎ。」
𓏸𓏸「ごめん、なさい」
蛍「どうせ迷惑かけたくなくて、とかでショ
𓏸𓏸が人に頼れないとか知ってるけどこんなになるまで無理しないで。せめて僕くらい頼ってくれてもいいんじゃない? 」
𓏸𓏸「、、、」
蛍「普段わがままなくせにいざと言う時頼らないのだめ。ほんと、危なっかしい」
𓏸𓏸「うぅ、」
またもや私は泣き出してしまう。
こんなにも私を思ってくれている蛍に対して私は沢山嘘を吐いてしまった申し訳なさと、嫌いにならないでくれたという安心で涙が止まらない。
蛍「え、ちょっと。泣いたらまた苦しくなるよ?落ち着いて?」
𓏸𓏸「けー、ごめんねー、グスッ」
蛍「いいから、早く治して。元気になったらデートしよう」