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若き覇王に、甘くときめく恋を

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若き覇王に、甘くときめく恋を

76 - 第四章 永遠の愛を、二人で EP.1「KOOGAを襲ったスキャンダル」①

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2025年02月14日

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──猫の香水の試作品に社長のOKが出て、いよいよ発売の運びとなった。


商品名は、「陽だまりの猫の香り」と言い、日なたぼっこをする猫がテーマになっていた。


新発売に向けて、店頭告知用のポスターのデザインを外注のデザイナーさんと打ち合わせたり、実際にお店に出向いてスタッフさんらにも商品を試してもらったりと、私は忙しい日々を送っていた。


だから、全く知らなかったのだ……。彼が、大変な事態に陥っていることを……。


ある日の仕事終わりに、帰りの電車内でくたびれてぼーっとスマホの画面をっていた私は、とある記事にピタリと指を止めた。


そこには──『KOOGAの新製品のキャンペーンモデルであるAYAが、妻子ある男性と不倫。製品の印象ガタ落ちで、主婦らの不買運動にも発展か』という見出しが、記されていた──。


「そんな……」と、言葉を失う。


レセプションパーティーで大々的に披露された際の華やかな姿が、ふと思い出される。


「あの女性ひとが、スキャンダルだなんて……」


彼女を取り立てた彼の心情を思いやると、胸が締め付けられるようだった。


記事の中身を読んでみると──「KOOGAから大々的に売り出された彼女の軽率な行動により、世間から低評価を突きつけられたことで、新人のAYAを抜擢した久我新社長の審美眼しんびがん自体も問われており、今まで二代目としての評判も上々で順調に推移していたKOOGAの株価も、現在は下落の傾向を見せている」──などと、まるで彼のトップとしての真価までを疑うような言葉が、挙げ連ねられていた。


「貴仁さん……」


彼のことが心配になり、家に着いたら電話をしてみようかと一瞬思う。


だけど、急な状況に見舞われいつにも増して忙しいだろうことを考えると、こちらからの連絡も邪魔になってしまうかもしれないと思いとどまった。


ただせめてもの助けになれたらと、代わりに、『またお時間があれば、いつでも連絡してくださいね』とだけ、SNSにメッセージを送っておいた。

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