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1月1日00:00ー令和8年、最愛の時間……。
「赤ちゃんできたかな」
二人だけの“セカイ”。文章と耀子は熱い口付けを交わりの刻に温もりを伝え合う。
「新年早々にイッちゃったね。グッドタイミング」
「幸先良いね……サイコー!!」
炬燵の中にて年越し蕎麦を啜り合う仲睦まじき同居人の多幸論が臨時ニュースを見逃さなかった。大きなテレビが生中継の国会議事堂を写し出す、政治家(犬)の共喰いが決議を深夜のワイドショーに放送されゆくー
「もう一回? イイよ」
『専門家では相次ぐ犯罪者達の変死の死体解剖を急ぐと共に早急に捜査本部を立ち上げるとの事です。本日元旦でも東京都内では死亡事故や心臓麻痺による報道が後を絶ちません……』
『警察の上層部でも噂が持ち切りですよ。殺人方法の断定が依然として見当尽きません、これは狂信者達の犯行予告(宣戦布告)以外何者でも有りませんね』
『陰惨なニュースが正月早々に取り上げられました……令和8年のスタートは生々しい傷痕を日本に刻みます、全ての犠牲者に哀悼の意を表します』
耀子はTVを消した。それぞれの賀正新年は悪魔と新世界の神々によって“搔き混ぜられたミキサー”と銘打つ現実の歪みを再々構築してゆく誰一人とて止められない加速と成る、加七子はノートPCに文字を叩き起こした。
都会の海、
神と祭られた死霊 生け簀の
遺書は記されたアガサ・クリスティのこだま
アリバイはポケットの中に潜む仮面
「君、死にたまふことなかれ」
乱雑した書物の本が語る、予定調和
メッセージ……
高鳴る大鐘の脈音がパトスを刻む、夜闇
都心に渦巻く“666”悪魔の子??
逃げ場無きかりそめの並行世界 鏡の中は平和?
希望と絶望の挽歌は
血族の天国へと誘う冥府への階段……
「幻‐まぼろし‐だと言って? カミサマ」
加七子は寝床に着いた……100%超余裕。私は私の世界を作る、詩人も悪くないー
「親子三人水入らずね。あなた、乾杯の音頭を」
「啓司。お前に盃はまだ時期尚早だ、酒付き合いも大人への第一歩さ」
「いいから早く」
乾杯!! 今夜は成吉思汗(ジンギスカン)の三人+一匹の付き纏う虚構パーティー。狭いリビングの居間での新年会の序章、啓司は付けっぱなしのバラエティー番組に出演している芸能人を穏やかに装い見定めていた……父はその横顔を見守る、母は次の料理の身支度に台所に立つ。
「高校生活はどうだ、来年が勝負だぞ。志望校は合格ラインだろう」
「うん」
「一人っ子だから溺愛してしまう。社会人は責任と役割を背負う大人の一員さ……慌てなくて良い」
「父さん」
「何だ? 何でも言え」
「飯が不味くなる。流行語大賞のノミネートのNEWS……」
「ああ。怪事件が起こっている、世界恐慌の再来だ。母さんには黙っておけよ」
「……」
母には聞こえない小言、デスノートの持ち主が真横で蕎麦を頬張る。騒々しい祝日……俺は冷静さを装い隠し通す神への階段を登りつつあった! 現実【REAL】の航路を疾走る、失敗=死の完璧な人生プランのランナーは自分自身ー完遂してみせる! 俺の夢の実現の為の第一歩は母国の裏側を手繰り寄せる第二の余生、迷わずクリアする。このデス・ゲームを……
「母さん、肉は?」
「いっぱい有るわよ。全部食べて」
「啓司。チャンネル変えろ、好きな番組を見ていいぞ」
「このままで良い」
隣の死神は相変わらず暇人だった。傍観者として俺に一冊のDEATH NOTEを托した、総て気まぐれと怠惰の象徴……紛れも無い事実ーここから始まる、最後の審判の大舞台劇の主役のスポットライトは俺自身に翳す“桃源郷(パラダイス)”への猛進!! 仮面舞踏会は次のフェーズへと移行する……外国の凶悪犯罪者達は数名始末した、実験は総べてセイコウ。次の遥かな高みの神の一手は? 愚問!
「? お前のスマホだ。新年の挨拶の電話か」
バイブ。俺は席を立ち答える。クラスメイトの級友の太一から……
「何だお前か。用件は?」
太一は甲高い声で初詣と除夜の鐘の音色のメロディーを奏でる【天使と悪魔の最後の晩餐】!
「A組の稲場が詩の新人賞獲ったらしいぜ。俺も触発されちまった、初詣来ねェか!?」
「いい」
「お前の分も願掛けしたぞ! 受験成就のお守り作って貰えよ、今年が勝負さ」
勝負……友達作りなんて当の昔に捨てた筈の感情、総べては俺の理念追従の為の道標一択!!
「切るぞ」
「じゃあな、良い初夢見ろよ!!」
両親が見守る最中、俺はスマホの電源を消した。野次馬のギャラリーなんて“それ以下”=理解とは尊敬に最も遠いアイジョウヒョウゲン……理性の鎖のターゲットの的は絶対に外さない、これが最大の武器の要。
「ご馳走様」
「もう良いの? 明日の朝に取り置きね、お父さん。来週は親族の鍋パーティーよ? 電話した方が」
「ああ。そうだな」
『正月、か。日本も棄てたモンじゃねェ……これが蕎麦ー唆られる』
彼にしか聞こえない幻聴? 宇宙からの交信? 神の戯言etc……精神が達観した境地に入り浸る快感。誰もが望んだ新時代の到来の呼び声が静かに脳内に響き渡る、愚かな人間の黒歴史にピリオドの終止符を!
「貴様……」
シャワーノズルを捻じ曲げ風呂に入る束の間の休息、お湯の温度も良好。この世に最も必要なのはー金、愛、人間力……
『煮詰まるな。お前のペースで良い、キリストも一週間掛けて【セカイ】を創ったんだ……後輩?』
「二度と俺の前に姿を見せるな、消えろ!」
『シーッ』
長い人差し指で醜い薄紫色の下唇の前に立つリュークは今日も暇そうに見えた。こいつとの共存とノートの隠し場所は考えよう……
「殺すべき敵が数人」
『クリスマスのガキか? 何度も書いたろ』
アイツの言う通り。強固な心ノ臓の持主……進化人、死神なんぞ足手まとい!
「消えろ」
『分かったよ。しばらく実家に帰省するわ、じゃあな』
死神界、縁起の悪い悪霊共の塒。不必要な塵屑はゴミ箱直行コース……ノートはページの減らない巨悪の神器! 交響曲~シンフォニーは今日も俺を試す、都会のビル群と薄っぺらい人間関係の偽りの平和を窓硝子に反比例して映し上げゆく日々……大日本の行方、天皇。政治家。両親。正史など強引に塗り替えてやる。夢の楽園へのパズルは完成されつつあった、マスターピースの欠片は目の前に揺れている具象……
冬休みは連日連夜ノートを書き連ねては死神から貰った警察内部の情報を照らし合わせる茶番劇の最中。清野輝、警部補の田中一……次の獲物は貴様らだ。啓司は何度も噛みしめていた。たった今の時刻と自分が持ち得る最大限の武器と処世術=人生の攻略法【新世界のハッピー・エンド】の未来を夢見て。あの死神が姿を消して5日、冥土への置き土産が俺の脳髄を刺激して心の中で右往左往する天秤と振り子のディレンマを固唾を飲んで見守りゆく宿命、残るべき敵は……
レムが悠貴と部屋の窓の外の雨を見上げている、1月末の悪天候は世界の命運の運気上昇への復活の兆しか、或いは? 解体したスマホが神々の容態を案じていた遥か彼方の前奏曲~プレリュードを聞く未来永劫の真の世界平和と和平への祈りの道を誰もが征く100%確実の実現すべき“現実”!!
「火が足りねェ。買ってこい」
『分かった、あの子は正論を導いたようだな。仲間と持つべき友は多い方が良い』
「女なんて弱ェ」
『ヘビースモーカーは未成年の身体に悪いぞ。お互い危ない橋を綱渡りしているんだ』
「詩人……安月給な職業。就職氷河期の末裔」
レムは壁を貫通して出て行った。死神の仕事とは、譲り渡した人間への忠誠と仁義を示す崇高で愚行な儀式ー
テレビは歌手のボーカルガイドが愛を叫んでいる、令和の新時代の象徴……彼もまた選ばれし勇者の一人。タタカエ
『後は宿題か、体力には自信があるみたいだな。若神も精悍な面持ち……彼女の一人でも居れば性格も直るものを』
雨空を滑空する白いツバサをはためかせて女は跳ぶ!! レムは下界を見下ろしていた、人間との共存と自然の調和。死する生命≠受け継がれる魂の矛先が彼等を待ち受ける未来へと預言書に無い真実を垣間見る時、天誅下す!!
『東京なんて私の庭だ……パシって来たぞ。頼みの品だ』
「万引きGメンも真っ青てか」
外は俄然、警察の魔の手と名探偵もどきの浅知恵の張り巡らされた死線を【忠犬ハチ公】が傍観している現状の国家。焦らずとも、時は巡る……清野輝と田中一が民人の為に汗を流していた矢先の出来事だった。XではZ世代の若者達がSNSを通じてノートの見知らぬ実態を話しているー
「あの生LIVEガチ? ヤラセ!? 怖すぎるんですけど~現場血だらけっッ」
「最近の日本、俺っちの哲学に反して神童論ショボ過ぎ!! 本離れ危惧、読め愚民共」
「詳細キボンヌ! 令和の次号とりまアンケート」
「犯人逃走中!? 警察の上層部不信用~」
「インフルエンサーVSメンサ№1……この漫画面白ッ」
「助けて~~死ぬの怖っ!! 神の裁き、アトランダム???」
文章と耀子はランチに出掛けている、真犯人の二人の学生と二冊のDEATH NOTEの存在など知る由も無い。同棲中のカップルも10代半ばに共の棲み家に各々の青春白書のページを綴る、羅針盤とマストの帆を最愛の大海原へ馳せる冒険の記憶が漫画の一コマとなって少年少女の“生命”に舞姫が踊り狂う礎の彼方。
「僕ももっと働かなきゃ。君と新しい家族を養う為に、フリー素材……か」
耀子はナポリタンを薄紅色の口唇に啜りデートを楽しんでいた、令和8年の2月。
「最近根暗なニュースばかりで飽きちゃった。お腹の子の胎教にも悪いし」
「女の子でしょ? 名前どうする、姓名判断するよ」
「リナセが第一候補🎵 絶対B型蟹座。」
「君が幸せなら何でも良い」
「あ~適当、可愛く無い!!」
細やかなとある街角の情景が物々しい世界の片隅にて“アイヲウタエ”と鑑みては、リュークとレムの所為で怪事件の勃発する現代地学の象徴のイメージを植え付けゆく運命……危なき橋は渡らせないー
「君を守りたいんだ。この時代を共に生き抜く為に、行こうか」
「家計簿付けなきゃ、貯蓄貯蓄♡」
死神が人間界を見下ろし嘲笑っている、啓司と悠貴の神の一存で現実は蝕んだ、悪意の満ち満ちた誰しもが予想だに出来なかった現状のサーガ、多幸論に向かって【新しい命】も脈動を刻み彼女達の未来を愛でる一抹の感情……清野と田中の二人の刑事がパスタ屋を視察して行った。
「すみません。警察の者ですが……最近多発する凶悪事件の事でお尋ねしたい事が有りまして」
警察手帳は彼等の包囲網を万全に期す“王手”と成りうるのかー? 将又、犠牲の死へのステップ?? 答えは神話の続きのみ雄弁に語る世界のソナタ……
「清野。これは難解な迷宮入りだよ、死因も殺害方法も今までの常識諸共通用しない稀有な存在」
「その為の僕らでしょう?? 犯人も今頃勝ち誇ってテレビ等の報道で焦ってるに違い無い。だからこの仕事が好きなんだ」
「お前の安っぽい正義など【ちっぽけな空】、詩でも書いてろ」
これがセカイ……か。異界の門(GATE)は静観する一部始終を真白な景色とデスノートに記す【罪】と【罰】!! 天使にラブ・ソングを、悪魔に生け贄を。東京都心から日本全土に広がった魔の手が一国を情念の色に染めてゆく“脈とパルス”の病識。都内の病院では噂が持ち切りだった……
「啓司。祖母に良い顔しなさいよ、入院中、孫の顔を心配してるんだから」
「心不全……医者は何て?」
父の運転する車内でノートの切れ端がゆらりゆらりと【神】の私情を啄む、贖罪の時が家族及び親族の途方も無い人生の旅路を巨悪の根源にて傷付け合う“負のループ”を奏で征く奇跡。啓司は何も言わなかった、否、言えなかった。病室のベッドは固く異臭がする……リュークの選別の言葉が彼に一時の感情を芽生えさせる。
「面会の時間です」
「サツエ。八郎。よく来たね……啓司、ちゃんと飯は食べているかい」
「婆ちゃん。期末試験絶対合格するよ、スーツ着て真面目に出社したい」
祖母は瞳から大量の涙を流して嗚咽を数回した、自慢の息子さんですね。隣の看護師のナースが笑顔を浮かべている……殺人鬼の慕情は心の天秤に鉾楯を掛けては街の表情を激昂に著しく鼓動に剞んでは果てなき羨望を謡う!
『よく言うぜ。二度と後戻り出来ねェぞ……』
慟哭が新世界の音色を哀しく祈る定めの一刻を禊に救世主の光りの弓矢となりて彼の心臓を射抜く! 啓司は余計な意志のゆらめきを閉ざして、一人に還る、新世界のハッピーエンド!! 敵意は増幅し朝焼けの残り香を仄かに色褪せぬ余韻と“詩の末路”を苛む幻の揺蕩う攻防の選択に追いやられる神の美琴無き旋律の魂の波長の開眼ー病室は陰惨だった。祖母は死んだ、彼のノートの名前の一字によって……
「全ては信念の出ずる確証足る時代の犠牲者、被害者の夜会に潜む夢魔の亡霊の死亡遊戯!」
啓司は孤高の路を跳ぶ、DEATH NOTEは破かれた。千切れたページの研ぎ澄ます音の刃が熱を帯びてマグマを血潮に焦がす!!【最期の詩】の夢想のネバーランドの野鳥が快晴の青空にパレットのキャンバスを激動の日を信頼との証に眠る……
タタカイハナガイ。リッセヨ
ノートが囁く……?