テラーノベル
アプリでサクサク楽しめる
コメント
0件
👏 最初のコメントを書いて作者に喜んでもらおう!
警察内部の逆スパイ? 清野輝と田中一の二人の刑事が遺体で発見された、未明の都内。犠牲は至極当然の責務……全て【神の怒り】、【新時代の被害者】叫喚が異界の出入口まで隅々に行き届く。人が死んだ、悲しみの涙に暮れる“大日本の首都”は伊藤啓司と櫛引悠貴とそれらを取り巻くプレイヤー「稲場加七子」「谷口文章」「山形耀子」幾人の学生達の絢爛舞踏祭が大舞台の茶番劇の役割を担う差し詰め、人質と情報の交換……エクスチェンジ! 祖母の遺骨は墓標に佇む追風の天国への扉を開封しては二度と還らない生命を次世代のバトンロードへ託す一途な想い、啓司は確信する。悠貴を始末セヨ……あの見知らぬ白い死神共々“涅槃”への一筋の道‐ロードを懐柔するのが神の務め! 3年生の1学期……本格的な受験シーズンでも二足の草鞋を演ずる空虚な日常。これがDEATH NOTEの魔力。
「今年が本番です。偏差値のランクのチャート表を図書委員の伊藤君、お願い出来ますか」
「はい」
「では一限目は英語です。チャイムが鳴ったら模擬テストのプリントを」
「起立、礼」
高校など鳥篭の中。飛べない雛鳥達が餌を貪る……死に怯える級友のクラスメイトの尻目を退け、リューク不在の視界に神は一人、手駒を確認する。チェスボードのジャック、クイーン、キングは万策尽きた。加七子のクラスでは図書室で課外授業の愚行の最中。移動教室の終わりにチャイムと共に啓司が書物を仕舞いにドアーを開ける。
「もうすぐ閉鎖します。返却ボックスへ」
「この本を知っているか、レオナルド・ダ・ヴィンチの肖像画の画集だ」
加七子は視線を逸らす、見知らぬ男子だった。
「モナリザなら。……美術家なの?」
ノートの匂い。蛇の道は蛇! リュークの声が聞こえて来そうだ、殺人は酔狂に染まる鉄槌のしらべ、俺は逃げも隠れもしない。加七子が重たい口を開く……
「近頃の殺人事件の犯人は警視庁内部のデータをも簡単にウィルス諸共破壊する“社会悪”の汚名を背負いながら逃走している」
「毎日のニュースの事だ」
「貴方は怖くないの? 日本国民全員が標的……テレビ何て信用出来ない」
「漫画の読み過ぎだ。犯人が外国人だと指摘する報道陣も要る」
啓司は手早く紙とペンでメモを取る。学校何て“若人のその場しのぎ”の延長上の友情ごっこ……その為なら総てを棄てる、喜んで死神を手懐けよう。加七子は静寂した空気の中で段ボールを積み上げた、献本作業も終わり。
「私帰るから。鍵は職員室へ」
「待て」
「まだ何か? 勉強なら塾と家庭教師を雇って。看護学校の願書送るの、皆忙しいんじゃ……」
「稲場加七子。きな臭いぞ、日本などアメリカの飼い犬」
「世界中に広がったピカレスク・ロマン劇の犯行が私を恐怖させる、今日も眠れない」
「女なんて怯えてろ。犯人が学生の俺等をマークする筈が無い」
加七子は図書室を後にした。大広間に一人切り、寒々とした暖房器具の電気ストーブの熱風が全身に温もりを与える、ダーウィンの進化論で唯一最強の霊長類は罪と罰の十字架を背負う日々……デスノートと出会い幾月。もう戻れない! 一人、スマホでググる二十四時間のニュースの情報収集が胸の篝火を再び灯すー
「櫛引悠貴。リュークに始末させる」
冬の寸劇が血で血を洗う抗争を加速させる。其々の【日常】、【イケニエ】が皆殺しの現実を交えて相見えた鼬ごっこの終演とは? 雪が止んだ……窓枠の外の隙間風は天界の曙光となり雲間から希望=絶望の逆行を時間超過と共に霞ゆく景色の内部へと徐々に侵食したアダム&イヴの失楽園の崩壊を示唆して我が身を離さないー
「着きました。映画館です」
文章と耀子はタクシーを降車して寒空の下、手を繋ぐ……放課後デートはDisneyのお姫様と王子様の禁断の恋の物語。自分達に重ねては趣味の時間を共に費やす受験生の密やかなる“愛”の奇跡。
「ダークヒーローの物語、外国も今の凄惨さを学んで模範的作品を産んだのね」
「見たかったんだよね、人生一生勉強さ」
「大学内定のご褒美」
スクリーンの幕が上がり始まったショータイム! デートコースも佳境、三人目の家族も笑顔でママに慕うに違いない。文章は耀子の隣で最愛の誓いを未来の結婚式で祈っていた。
「挙式で花束のブーケ渡し、綾乃が取るかもね。皆受験に忙しいけど」
「しーっ。始まる」
音声が響き渡り広告の映像のヴィジョンが幾分の時を刻み流れ出す。照明の落ちた館内の座席のシートはドリンクホルダーの飲み物と期待に胸動く観覧者の二人を優しく見守る天の気まぐれ……本編が流れ集中する一同、フィルムは回る。
「……」
米国の字幕と海外の声優が五感を擽り刺激する、作品の中に溶け込む彼等は夢中になり“今”を楽しんでいた、その直後!!
「きゃああああっ!!!」
叫び声がフルスクリーンを血の色に染める、まさかー警察と消防が辺りを取り囲む、逃げて下さい!! 惨劇の三度……映画は中止された。デート中のカップル、親子連れ、独り者の観客が恐怖に怯え帰路を急ぐ、緊迫の瞬間。
バスの吊革に揺られて文章は耀子のお腹を心配そうに摩る、危険な街……粉雪が絶えない。怪事件の魔の手は帰り道の夕刻に寂寞と郷愁の思念を拘束しては静かに夜闇の訪れを恣意的に慄いていた。
「やっぱり起こったね。明日は我が身」
「君にもしもの事が有ったら……心配で胸が痛むよ」
「うん。友達もガッコでも触れたくない話題なの。嫌な思い出」
「絶対に死なせない」
ありがとう文章。耀子は狂った時代のリアルをスマホのXやSNSで確認していた、今日の光景が頭から離れない……死。デスノートの畏怖がここまで浸って来てゆくー悲しみと憂いの交錯した遺志が胸の狭間に突き刺さる過去となり大日本を創り上げる、【有】と【無】の選択肢がベッドの中の真夜中の慟哭となり儚き輪舞曲(ロンド)を構築させた天命の黙示録!!
高校に啓司と悠貴が再び出会う、死神の居ぬ間の洗濯。体育館での集会と教頭のスピーチの間に校庭の裏山に歩み寄る神々の邂逅とプライドの矜持がノートの持ち主達を2月の冷下の真冬と慕う!!
『あんちゃん達待ちぃや。リュークもレムもぎょうさん人殺したやん、もう許されへんで??』
水を注す醜い形相の下級死神が悪魔の嘲笑の如く白化粧した二人の鼠空に桃色の羽根をばたつかせ言う。地球儀が廻る、運命のルーレットを弓矢のダーツが射止めた時人は“過ち”と“失態”を書き殴る!! DEATH NOTEはたった二冊。関西弁の小さな男が異界へと帰ってゆく……冷たい陽炎は季節外れの灯火を情熱刹那に燃え征く定めの一途な夢うつつ、悠貴は茶髪を掻き上げて眼鏡を直す。
「死刑台の椅子に座るリハーサル重ねろ有名人」
「GATEを開け。第二段階へと移行する、他人なんて「当たらず障らずの我、関さず」の一点張り」
リュークとレムが下界に舞い降りた、土産話に黒薔薇の花を咲かせてはプレイヤーの身を案ずる体たらくの愚行……啓司は大声で叫ぶ!
「貴様等がのうのうと息抜きしてる間に世間は血の匂いを増して行った。人を殺した上での幸せなんて有る筈が無い、櫛引」
「レム。パン買ってこい」
吹奏楽部のパレード=ブレーメンの音楽隊の音色が聞こえて来る、シガーケースに隠し持った小さな紙の切れ端に煙草の火で書き写した幾秒が運の尽きだった。
『啓司。数えろ、餞の言ノ葉を』
『……』
「すぐに教師が駆けつけて来る。もう二度と……」
ジャスト40秒ー計画は思い通りに順風満帆に進み行った証!! 啓司は苦痛に膝を突き真白な雪道に倒れ込む……弱ェ。レムが片指を鳴らす、天罰の鬨! リュークは瞳をぎょろぎょろさせては意識の無い彼を抱きかかえて上空に去って行った。悠貴は煙草を吹かすー死神にノートを返しては彼女に死体の片付けを強要した!
「早くしろ。先公とポリ公どっちの顔を立てる」
『悪夢だった……何もかも』
冬は過ぎ春の予感、ハッピー・エンドのデュオは二重奏を隔てて青春白書に剞み込む紅の記憶と断片に流離うアサシンの汚名。啓司の息の根は止まった、神のみぞ知る結末が痛み分けの侮蔑に切り裂かれた【生命のみなし子】のファンファーレのフィナーレ(最後)を飾る有言実行の享楽を死する!! 悠貴は上履きを雪の積もった地面にならしては教室に戻る、死体の解剖? ダイイングメッセージの遺言?? 探偵の名推理??? 辛気臭ェ仕事は懲り懲り……人気者は案外孤独な素性。享年17才のタヴーの禁忌に犯された半生は夜風を当たるどこぞの片田舎の案山子(かかし)に托された一抹の悪意に返り咲く真っ赤な血に飢えた薔薇のロマネスク。明日の朝刊が愉しみだ、単純明快なイキモノ……心臓マッサージも無駄無理無謀。この街は地に堕ちたーカウントダウンは省略済み、後は野と成れ山と成れ!
「白化粧、真面目に働け。神隠しの祟りなら柄じゃ無ェ」
『同級生の葬式の喪主に合わせる顔が無い。……だが、バトル・ファイトは格ゲーの中だけにしろ』
「誰に言ってんだ? ニコチンが不味くなる」
風は只、通り過ぎるだけ。今頃校内では昼休みの弁当タイムに勤しむ若者で溢れ返っている……加七子、文章、耀子は見ず知らずの身分。証明してやる、俺が俺で或り続けたい炎の意志を纏う為の魂の深呼吸の言い分を!!
「はい。友達の家も何件か連絡しました。しかしー」
伊藤家の母は一人息子の心配に身を痛めている、父の帰宅に焦燥感を隠せない。アパートの一室が不穏の空気に包まれつつあった……もしや。
「珍しく図書室で勉強してるのかも、晩御飯の準備を」
「……」
文章と耀子のスマホに着信が入るー電話の相手は当然、応対は不安の連続。同じ学び舎での出来事が色褪せぬ一ページを更新しては黒光りした陰陽に空の色を重ねていた。1学期はもうすぐ……
ミズカラヲセオエ。アスノタメニ
ノートの声はリュークを急き立てる、異界のGATEも露知らず死体の蘇生を周りに詰め寄る死神の相容れぬ“愛情”が啓司の復活の兆しを綻んだ。
「……母さん。まだ帰れそうにない」
『違うぞ』
真っ黒なカーテンレールの様な背景は砂埃と髑髏の骨に塗れたどこか異臭のする異国の地を物語っていた、死後の世界?? 学生服のブレザーとネクタイの下の心ノ臓が何の変哲も無く動き出す。口の中が血の味で満たされゆく、生存本能をビートの鼓動が疾駆した瞬間の出来事だった。
「夢じゃ無かったのか。進化人でも何でも無いセカイの住人」
『何も言うな、傷を癒せ』
下級の死神達が心配そうに身を寄せ合う一刻の四重奏~カルテット~が魔王の蘇生を叙事詩に紡ぎオリジンの歴史に名を馳せる。啓司は完治した。痛みは旅路の伴侶? 新世界の脈動が聞こえる……
「DEATH NOTEか」
加七子の勘は鋭かった。ネットサーフィンの新事実が【核心】を摑みたった一つの謎を解くマスターピースの光りを照らす。輝きは手の中に、2ちゃんねるに紛れた思考回路の脳波指数がa波を呼び起こす……
「サイキック!!」
グレーハッカーの様なパソコン画面をウィルスの根源に感染した小さな明かりの下、彼女は真理を説いたー間違い無い!! PCを閉じて本棚の書物を読み漁る事幾時間。その様子を関西弁の死霊が覗き込んで居る、自由落下と惜別の応酬。タイム・リープの並行世界の別ルートのノートが遥か天空を彷徨い揺蕩う……
『正直に言うわ。あの王のDEATH NOTEなら世界すら殺せるで、二人の神じゃ役不足や』
「?」
気の所為、王家の紋章の血族≠末裔との両親の七光りが激しく揺さぶる太陽と月の来るべき対話を焦がす!! 一日の不在を経て啓司は帰宅した。深夜2時46分……心配性な母と真面目な父の待つ我が家の心の扉をノックし続けた、何て顔するだろう。
『親不孝者の神、ノートに触れろ。記憶が蘇るぞ』
トウカコウカンノシュンカン。
ノートが答えた、犠牲の上で成り立つ陳腐な和平【国家主権の独裁政治】、【ism‐イズムの崩落】が啓司の瞼に突き刺さる、傷痕は癒えた。親の目にも届かない……悪い方の神の一存? 運命を背負う神童の申し子が大地に蹂躙する悪意の炎を断ち切って踏み締める約束のらせんと境界の先のフロンティア。母は寝間着姿で泣いて縋った、父は眼鏡を掛け外傷と心のケアの心配をした。悠貴を口外しない若き神の新入りは“敗北”の二文字を奥歯に噛み殺し家族の愛を受け入れゆくー
バトル・ファイト2……