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ゆあ
550
つむぎ
137
※登場人物は医療系の職についています
莉犬 →小児看護師
さとみ →救急医
ころん →心療内科医
るぅと →薬剤師
ジェル →小児科医
ななもり。→呼吸器内科医
キャラ名なのでさんをつけないで紹介しています。嫌な思いをした方は申し訳ございません。
上3人がメインに出てきます。
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莉犬視点
『今日は10年に一度の猛暑です…』
気づけば毎年聞くような言葉になった。
確かに外に出れば熱風で戻りたくなるほどに太陽がさんさんと照っている。
こんな日は家で静かにしていたいと思うけれど、仕事があるためそうはいかない。
バスに乗って病院に向かう。
3年目になるこの仕事にも少しずつ慣れ、いつも通りにタイムカードを切る。
都内にある大学病院に勤務しているため、給料は安定していて十分な生活を送っている。
その代わり、夜勤があるため体の負荷は大きいようにも思う。
桃〉今日夜勤入り?
赤〉そー
桃〉まじか、頑張れよ〜
赤〉お前もあるだろうが馬鹿
桃〉まぁね
赤〉医者は大変そうだね
桃〉こんなもんよ
赤〉お疲れ様、今度奢ってあげる
桃〉おぉー、ごちです
赤〉そんじゃ、またね
桃〉へーい
青〉あれ莉犬くんじゃん
赤〉今日早いね
青〉んーまぁね?笑
2人は同じ大学の先輩。
困ってることがあるとすぐに助けてくれる。
青〉最近、あの子どう?
赤〉あー…
もう担当していない患者さんのこと気に掛けられる心の優しい子だ。
まぁ、先輩なんだけど。
青〉ほんと、無理しちゃダメだからね
赤〉急だね笑
青〉聞いたよ、 検診行ってないんだってね
赤〉何もないし
青〉それでなんかあったらどうするのさ
赤〉はいはい、行けばいいのね
青〉そうそう、後で行こうね
赤〉馬鹿馬鹿、無理だよ普通に?笑
青〉あれ、笑
赤〉まぁさ、頑張ってよ
青〉逃げるなぁぁ
赤〉静かにしなさい、ころちゃん
青〉はい…
検診なんて何ヵ月行ってないだろうか。
たまに見るなー君の目がちょっと怖い気持ちするけど、なんとなく見ないふりをしている。
元気なのに検診に行ったら、受けたかった患者さんが受けられなくなる気がして気が引ける。
わかってくれないかなぁこの気持ち。
看〉じゃあ、今日も頑張りましょう!!
看護師内で行われる朝礼を終え、各自担当しているところに向かう。
子〉あのね、お腹痛いの
赤〉痛いのやだね、今先生呼んでくるね
医者の指示なしで、動けない自分が悔しい。
いつもそう思う。
機械音が止まった時。
心臓が止まったことを指す。
それがその子の最後の声になる可能性がある。
この仕事に就いて、何度見ただろうか。
両親が泣く声。医者を責める声。
命の終わりを示す、機械音。
それが部屋に漂う時、なんだか胸が苦しくなる。
亡くなったことへの悲しみじゃなくて、助けられなかった悔しさでいっぱいになる。
変わってしまったなと自分でも思う。
看〉お昼行っちゃっていいよ
赤〉先輩はいいんですか?先行ってください
看〉いいのよ、今日は。
その目からはなんとも言えないものを悟った。
あぁ、また1人いってしまったのだと。
赤〉そう、ですか。先行きますね
看〉えぇ、行ってらっしゃい
院内を歩き、ころちゃんのいる科まで向かう。
その道は何だか、騒がしかった。
青〉◯◯さん、大丈夫ですかー!!
看〉意識ありませんッ!!
ころちゃんの声が聞こえる。
青〉莉犬くんッ! ストレッチャーお願いッ!!
赤〉わかった!!
すぐに駆け出してストレッチャーを運ぶ。
これだって、慣れた仕草だ。
青〉運ぶよ!123!!
看〉運びます
青〉お願いします
青〉その患者さん、◯◯先生の担当だよね
青〉先生電話しとくから、向かって!
看〉はい!
青〉先生…はい、そうです、お願いします
赤〉いけた?
青〉うん
赤〉ころちゃんはもういいの?
青〉状況も伝えたからね、ご飯行こー
赤〉あ、うん行こ
赤〉あぁいう時、どう思うの?
青〉どうってうーん、
青〉落ち着かせなくちゃなってぐらい
赤〉…かっこい
青〉惚れた?もしかして
赤〉惚れるかぁ!!
青〉あれ、おかしいな笑笑
多分こうしている時が1番幸せ。
青〉今日はどう?どんな感じ?
赤〉別に普通だよ、笑
青〉そっか、ならいいね
赤〉まだ心配してるの?
青〉いやね、あんなことあったから…
まだ研修医の頃、慣れなくて毎日が息苦しくて、精神的にまいってしまったことを言っているのだろう。
赤〉大丈夫だって!
赤〉もう3年目だよ?そろそろ慣れた
青〉まぁそうかもだけど
赤〉こんな毎日ならいいのにね
赤〉俺たちが笑えるぐらい大丈夫な日
青〉そりゃあ、それが1番よ
橙〉なに、話してんのー?
青〉笑っていられたらいいねって
橙〉なにそれ笑、なんかあったん?笑
青〉まぁまぁ、気にすんなって!
赤〉ジェル君はどう?
橙〉かわええなぁって
赤〉まぁそりゃあそうだけど
橙〉下向いてても、誰か救えるわけじゃないし
橙〉気楽にいこうや
紫〉いいね、そのマインド好きだよ
青〉なーくんじゃん!
紫〉みんなのこと見つけちゃったからね✨
赤〉あ、うん??俺行こっかなぁー
桃〉どこ行くんだよ、食べんぞー
赤〉さとちゃん!
黄〉僕もいますよ?
赤〉あれ、るぅちゃんも!!
黄〉これ美味しそうだね
赤〉今日の特別メニューだって!
桃〉俺もそれ食お
黄〉僕もそうしようかな
紫〉俺はそうめんかなぁ
思い思いにご飯を食べて、結局席にいるのは俺ところちゃんとなーくんだけ。
みんな急患で、急いで行ってしまったため先に帰ってしまった。
赤〉じゃあ…おれもぉ…
青〉何言ってんの、ほら行くよ?
俺が検診に向かうのは、呼吸器内科。
まぁ、喘息ってやつの検診。
この服着て診察室に入るのは気が引けて、先生が通る道から向かった。
紫〉逃げても、無駄なのにね
赤〉何もなかったし
青〉こればっかりだよ
紫〉まぁ、いいや診察しまーす
紫〉ほら、問診するからばんざいして
赤〉子供じゃないんだけど
青〉気にすんなって!!
赤〉なに、企んでたわけ?
紫〉ほら、喋ったら聞こえないでしょ?
赤〉はぁ…
紫〉うーん、打診するね?
赤〉好きにすればー
紫〉苦しくない?
赤〉大丈夫だけど別に
紫〉ふーん、
赤〉何もないでしょー?俺帰るー
紫〉ころちゃんだけいい?
青〉いいけど
赤〉じゃあ、ばいばーい
ころん視点
青〉なに、莉犬くん?
紫〉そう、なんかヒューって聞こえたからさ
青〉まじ?やばくない?
紫〉でも、本人大丈夫そうだからなぁ…
紫〉るぅと君に、吸入器だけ貰っとこうかな
青〉あり
青〉今莉犬くん持ってそうか聞こうか?
紫〉そうしてもらえるといいかも!!
黄〉あー莉犬?
黄〉8ヶ月前からもらってないかなぁ
黄〉もし何も起きてなかったら大丈夫だけどね
青〉おっけー!
黄〉なんかやばいの?
青〉いや、前兆っぽいのがあって
黄〉莉犬に聞いてみようか?
青〉ジェル君に頼むから大丈夫!
黄〉おっけー!じゃあ、また!
そう言って電話を切った。
スマホでジェル君には連絡をしておいて、返信を待つ。
僕ができるのはそれだけ。
ジェル視点
橙〉莉犬ー?薬もっとる?
赤〉なんの?
橙〉気管
莉犬は喘息を持っていることを公言していないため、直接聞くことができない。
赤〉ころちゃんに頼まれたわけ?
橙〉まぁ、そんな感じ
赤〉知らないよ、使ってないし
赤〉あんじゃないの?
橙〉バッグの中見てもいい?
赤〉家ある
橙〉はぁー??何しとんの!!
赤〉なにって、使わないから…
橙〉なんかあったらどないすんねん!?
あまり出さない大声に、莉犬は少し驚いているようだった。
赤〉わかったから、明日持ってくる…
何だか嫌そうに答えてくれた。
ころん視点
青〉ふーん、持ってないんだ
ジェル君からの連絡でそれを知る。
あいにく僕には夜勤がない。
そのため莉犬くん以外の子が入っているグループチャットに夜勤がある人を募った。
夜勤があるのは、さとみくんとるぅとくんとジェルくんの3人で他は予定があるようだ。
莉犬視点
みんなが俺のことを心配してくれてるのは十分なほどにわかってる。
俺が持つのは喘息。
たかが、喘息なのだ。
命に関わることなんてほとんどない。
だからこそみんなの心配がお節介のように捉えてしまう。
夜勤の時間になって、廊下は徐々に暗くなる。
昔苦手だって夜の病院にも、今は1人で歩けるぐらいまで成長した。
子〉ねぇねぇ、
赤〉どうしたの、苦しくなっちゃった?
振り返ったとき、子供はいなかった。
はっとして、周りを見ると席に座って俺は眠ってしまっていた。
夢を見ていたようだった。
突然機械音がなった。危険な合図だ。
子〉ガタガタガタガタガタ
赤〉聞こえるー?わかるかなー?
その子は酷く痙攣していて、こちらの声が聞こえていないようだった。
電話を使って先生を呼ぶ。
もちろん来たのは、ジェルくんだ。
橙〉辛いなー、今お薬入れるからねー、
少しずつ慌ただしくなって、2人しかいなかった部屋にはいつの間にか5人にまで増えていた。
赤〉落ち着きましたね、
橙〉やな、経過観察お願いします
看〉はい
何だか気持ち的に辛くなって、足に力が入らなくなる。
橙〉莉犬?
赤〉ごめん、安心しちゃって…
最近俺の担当で、このように危険な域までいった子は1人もいない。
だからそこ久しぶりな感覚に心が少し怯えていた。
橙〉少し、休もうか
橙〉お願いします
俺以外の看護師に仕事を頼んで、部屋を出る。
橙〉車椅子持ってこようか?
赤〉ううん、大丈夫、もう立てる
橙〉帰る?
赤〉帰んない
橙〉そう、
赤〉仕事あるから先行く
下を向いて小走りでナースステーションに戻る。
着いたら夜にあった出来事を看護記録や電子カルテにまとめる。
少しでも詳細に書くことで後々役に立つこともあるため、気は落とせない。
さとみ視点
桃〉よう
赤〉さとちゃん、救急は大丈夫?
桃〉今日は落ち着いてるよ
赤〉そっかぁ
桃〉カルテ書いてんの?
赤〉…そう、間違えちゃいそう
桃〉見せてごらん
桃〉ちゃんと書けてるよ、大丈夫
頭の上に手を乗せると少しびっくりしたようにこちらに目を向けていた。
なんだか、
赤〉…ほんと、?ならよかった
桃〉気づいてんの?
赤〉…なにが?
桃〉苦しくない?
赤〉…大丈夫だけど、
桃〉ちょっと、服あげて?
赤〉いやぁッ
桃〉ごめん、
返答が曖昧で、唇が少し青白い。
そんな状態で気づかないわけがないはずだ。
肩を上下にして息をしている。
きっと、息を吸うことがままならないのだろう。
桃〉莉犬、今から応援呼ぶからね
赤〉やぁだッ…俺大丈夫ッ!!
桃〉吸入器どこあんの
赤〉…もって…ない
桃〉くそっ、、るぅと!!!
片手で電話を持ちながら電話する。
黄〉どうかしました?
桃〉薬持ってきてくれ!!
桃〉莉犬、やばいかも!!
黄〉わかりましたッ、他の人も呼びます!!
橙〉何してんの?
桃〉ジェル!!パルスオキシメーターある?
橙〉待って持ってくる!!
ジェルが持ってきてくれたパルスオキシメーターを莉犬の指に挟む。
酸素飽和度を見る。
90と書かれた数字を見て、ことの重大さを知った。
これ以上下にいけば、酸素不足になっていることになる。
その前に処置をしなければ莉犬を苦しませることになるだろう。
桃〉莉犬、自分の名前言える?
赤〉…ぃぬ、
桃〉息しづらいね、やだね…すぐ来るからね
黄〉吸入器です!!他のもあります!!
桃〉ありがと、吸入器するよ莉犬
桃〉せーのっ、
桃〉焦んなくていいよ、もう一回いくよ
桃〉せーのっ、
桃〉頑張ったね、
赤〉……っ、は……っ、は……
息を吸うたびに首の筋肉が張り、吐こうとしても空気がうまく抜けていない。
桃〉酸素をお願いします!
桃〉ネブライザー準備、モニター装着!!
青〉僕、莉犬君に声かけとくよ
桃〉お前っ!遅いぞ!!
青〉ごめんって、ちょっと急患がね、
青〉結構状態悪いよね?車椅子もってくる!
桃〉処置室空いてないか見て!!
青〉さっき空いてたからいける!!
桃〉おけ!
桃〉ネブライザーいけそう?
黄〉大丈夫!
桃〉ステロイドある?
黄〉点滴でいい?
桃〉注射がいい、莉犬外すから
黄〉わかった!!
黄〉注射準備できた!
桃〉てんきゅ
橙〉心拍120超えてんで
桃〉変わった教えて!
青〉莉犬くん、聞こえる?
赤〉…ッ…
青〉意識レベル低下してる!!!
桃〉おけ、、
桃〉車椅子乗せて処置室!
桃〉病室空いてるとこ用意させて!!
橙〉了解!!
桃〉落ち着いてきたな…
黄〉長かったですね、
橙〉部屋あったで、莉犬はどう?
桃〉今落ち着いてきたとこ、
橙〉良かったぁ、、
青〉莉犬くん…?わかる?
赤〉…ぅん、
青〉怖かったよ、ほんとに…
桃〉こら、酸素マスク外さない
赤〉…大丈夫だからッ…
桃〉まともに息できてないから言ってんの
黄〉ステロイド入れてるかは静かにしてな
黄〉点滴あとで刺すからよろしく
赤〉ぃらなぁい、…
黄〉はぁ、検査結果悪そうだね
赤〉嘘…
黄〉嘘ついてないよ、見なくてもわかる
橙〉なー君にも連絡しといたで
橙〉今から来るって
桃〉もう2時だよ!?
橙〉見にきたいらしい
青〉過保護だねぇ…
橙〉莉犬ごめんな、さっき
赤〉ぃいよ、俺悪かった、
桃〉なに、何の話?
橙〉さっき子供の治療してて危なかったから
橙〉声かけたんやけど、お節介やったかも、
桃〉えーなに、そこから無理してたの
青〉もう診察の時かはダメだったけどね
青〉逃げるからほんとに
黄〉吸入器持ってなきゃダメでしょ?
赤〉重いし…
黄〉重くないでしょ普通に
赤〉…
青〉おねむだね、これは
青〉ねんねしましょーねー、おやすみなさい
赤〉💤
橙〉なー君ついたってよ
青〉近すぎ、僕も住まわせて欲しいかも
黄〉ころちゃんが遠くしただけでしょ
青〉そうだけど
紫〉莉犬くんッ!!!
桃〉しーッ、今寝てんの
紫〉はぁ、良かったぁぁ、
紫〉やばかったよね今回
桃〉意識レベル低いし、酸素飽和度も低いし
紫〉そっかぁ、頑張ったんだね莉犬くん…
桃〉まぁな、
紫〉俺んちに住ませようかなぁ、
桃〉やば、ガチじゃん
青〉え、僕もいい?
紫〉まぁいいけど
桃〉え、俺も頼みたい
黄〉僕も!!
紫〉仕方ないなぁ、夜勤だけだよ?
皆〉やったぁぁぁあー!!
紫〉静かに!!
紫〉莉犬くん顔色良くなったね
桃〉まぁ、ちょっとはね
看〉結果です!!
黄〉ありがとうございます
橙〉結構悪いな
桃〉数値安定まで入院かなぁこれは
黄〉どんくらいかかりますかね
紫〉1、2週間は必要かな
青〉まぁそうよね
青〉拘束器具とかいる?
桃〉いいよ別に、こいつも分かるだろ
青〉そっか
黄〉暴れないといいですけど
橙〉間違いなく暴れるけどな
紫〉まぁ、俺が見とくから
青〉安心すぎてやばいね
黄〉逆に心配すぎます
桃〉にしても細っせぇなぁ、
青〉僕のお腹痩せないかな
黄〉莉犬の安定剤なんで、やめてください
青〉そっか、いいんだった
紫〉まぁ、少しずつだよね
赤〉なーくん、?
紫〉あれ、起きちゃった?
赤〉声…聞こえたから
紫〉掠れちゃってるね声、怖かったでしょ
赤〉ちょっとだけ…
紫〉寝ちゃいなね、大丈夫だから
青〉起きたらプリン買ってあげる
黄〉僕いちごミルクあげます
赤〉…ほんと、?
桃〉ほんとほんと、ほら寝なさい
紫〉約束だよ莉犬くん
赤〉…ありがとぉ、
ゆっくり目を閉じた莉犬の呼吸は、少しずつ規則正しくなっていく。。
その音に誰もが安堵した笑みを浮かべている。
皆彼のことを心から愛していた。
コメント
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ひよこのおやつさん、第8話読みました…🤍 莉犬くん、ずっと「大丈夫」って言い続けてたけど、全然無理してたんだね。喘息の薬も持ってなくて、自分が弱ってるのを認めたくない感じ、すごく伝わってきた。でもさとみくんたちが気づいてくれて、一瞬で動いてくれたのが本当にプロだなって思った。みんなが莉犬くんのこと心から大事に思ってるのが伝わってきて、ちょっと泣きそうになったよ…。 「約束だよ莉犬くん」ってななもり。さんが言ったところ、すごく好きです。ちゃんと守ってほしいな。次の話も楽しみにしてるね🌙