入学式で出会った癖の強いハーフ2人とは、何だかんだと今もつるんでいる。
1人は関西からこちらに来たばかり、1人は中高一貫校から外部受験でここに来たとかで知り合いがおらず不安なんだとか言っていた。
それはいいけど毎日両隣にぴったりくっつくのはやめて欲しい。トイレも一緒に行くとか女子か。
ラウールの方は頭の回転が早く、生徒会執行に携わりたいと言って早くも手伝いをしている。
俺の気持ちも知っているので、よく生徒会室での阿部さんの様子を聞かせてくれる。
背も高くて綺麗な顔をしていて歩いているだけで女子が色めき立つのに、当の本人はビクビクしてろくに人と話そうとしない。
関西から来た康二は、逆に誰とでも明るく接するけど結局俺のところに帰ってくる。
今日も3人で中庭でお弁当を広げる。
康二は料理が好きでいつも自作。俺も基本的な料理はするので自作だ。
ラウールは料理に慣れていないので、パン屋を開拓しているという。
🤍「そう言えば、昨日阿部さんちょっと疲れてるっぽかった」
🖤「えっ心配」
🤍「本人に聞いても大丈夫って言うけど、阿部さんの大丈夫は大丈夫じゃないっての暗黙の了解らしくてみんなも心配してるよ」
🖤「絶対に俺が一番心配してる」
🧡「めめの愛だだ漏れやな、なんかできる事ないん?」
言いながら康二はしれっと俺の唐揚げを1つ取る。
🤍「栄養ドリンクとかあげたいけどもっと頑張れって言ってるみたいだし、みんなも悩んでるよ」
🧡「ちゃんと食ってんのかな、会長さん」
🤍「前に見たお弁当はおにぎりだけだった、普段からあんまり食べないとか言ってたけど」
🖤「ちょい待て、お前阿部さんと昼食ったの?」
🤍「やだぁ、忙しかった時にみんなでお昼生徒会室で食べて業務やろうって集まっただけだよ」
居ても立ってもいられず、阿部さんにメッセージを送った。
🖤『ラウールから忙しいって聞きました、何か差し入れさせてください』
2人も固唾をのんで見守る中、返事がきて『わーーーっ!』と騒ぐ。
💚『ありがとう、お言葉に甘えてリクエストしてもいい?』
🖤『もちろんです』
💚『甘いものがあると切り替えできるから、ちょっとつまめる甘いお菓子をお願いします』
🧡「よし、買いに行こ」
🤍「めめの差し入れがスペシャルおやつになっちゃうかも❤️」
そんな事を言われたらお菓子1つ選ぶだけでも燃えてしまう。
学食に併設された小さいコンビニみたいな所にはこれというのがなかったので、今日選んで明日ラウールに持たせますとメッセージを送った。
『ありがとう、楽しみにしてる』と返ってきただけで嬉しくてスマホを抱きしめる俺を見て、何してんねんと康二に笑われた。
その日は部活が終わった瞬間にダッシュで帰る支度をしている俺をみんな天然記念物でも見るようにしていたけど、それどころでない。
校門でラウールと康二と合流して街を歩きながら、あれでもないこれでもないとさんざん頭を悩ませた。
コメント
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いいなぁやっぱりみちるさんはめめあべだなぁ🖤💚((全部好きなんだけど結局これに戻ってくる
なんだろう、この圧倒的主人公感と安定感。