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みんな大丈夫かな…。
僕だけ儀式に呼ばれなかったため、今ここにいるのは自分だけだ。
どうしよう…もしもまたゴスフェが出てきたりしたら…小屋に戻っておいた方がいいかな…?
「はぁ…」
僕が溜め息をついた瞬間、背後から草を踏む音が聞こえた。
「ひっ…!」
体を強張らせて音の鳴った方に顔を向ける。
「ここにいたか、トリスタ」
ゴスフェの声じゃない…?
「トラッパー…!!」
どうして彼がここに!?
「帰るぞ、トリスタ。」
「え?」
帰るって…もしかして…。
「なにボケッとしてんだ。」
「っ!」
「元々お前の居た所に戻れるんだ。もっと喜べよ。」
それはつまり…僕はゴスフェのいる場所へ戻るってこと?
トラッパーは近づき、僕の腕を掴んだ。
「い、嫌だ!!」
掴まれた腕を振り払う。
「は?」
「そ、その…キラーに戻れる事は本当に嬉しいよ…?でも…」
「…でも、なんだ?」
トラッパーは僕の隣に腰かけた。
そんなことはどうだっていい。
僕は彼にゴスフェから受けたことを全て話した。
「なるほどな…」
「信じて…もらえる?」
「…エンティティはその事を知ってるのか?」
「え?うん、多分…そうだと思う…」
「分かった」
そう言いながらトラッパーは立ち上がり、また森の中へと入って行こうとして僕は呼び止めた。
「ちょっ、ちょっと待って!」
「ん?」
「どこに行くの…?」
まだ理解しきってない状態で帰られるのは僕からしたら不安が募るだけだ。
「帰るんだよ。俺達キラーのいる場所に。」
「そ、そっか…」
「お前の話はエンティティに後で詳しく聞くが、次俺がここに来るまでに決心しておけ。お前の元々いた場所は何処だったか。そして役目は何だったのかを。」
「分かってるさ…」
でも彼が帰ってしまったら…もしかするとゴスフェが出てきてまた同じようなことをされるかも…
「ゴスフェは今儀式中だからここには来ねぇよ。だから安心しろ」
「え…」
「一応お前らキラーの先輩だからな。後輩を気に掛けるくらいはするさ。」
「トラッパー…」
何て優しいんだ…。
「だが勘違いすんなよ?これもお前がキラーに戻るまでの時間を作ってやってるだけだ。善意じゃねぇ事は分かっておけ。いいな?」
やっぱり優しくない…まぁトラッパーらしくていいや。
「分かってるよ。」
僕は彼に精一杯の笑顔を見せた。
「…やっぱりお前は笑ってる方が似合うぞ」
「え?」
「じゃあな。」
そう言い、トラッパーは森の奥へと消えていった。
僕は再び丸太に腰掛け、彼女達が帰ってくるのを待った。