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17 - 第十七話「壊れた時間と、動き出す音」

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2025年07月25日

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現実世界――


目を覚ました“ないこ”は、ゆっくりと身体を起こした。

その部屋は、以前と変わらないようでいて、どこか違っていた。


カーテンが揺れている。

机の上には、一通の封筒と壊れたスマホ。

それは、“ないこ”が深層に沈む直前のままだ。


ないこ(心の声): ……戻って、きたんだよね……。


でも、喉に力が入らない。

声が、出ない。


ないこ: (……喋れない……まだ)


深層の影響が、完全には抜けきっていなかった。

それでも、“ないこ”は立ち上がった。


部屋の片隅。ギターが、静かに立てかけられている。


ないこ(心の声): 声が出なくても……音なら、まだ。


ギターをそっと抱える。

指先で弦を弾くと、ひどくぎこちない音が鳴った。


ないこ(眉を寄せて): ……忘れてた。どれだけ、弾いてなかったか……。


けれど――その音は、確かに“今ここにいる自分”の証だった。



同時刻、いれいすのグループチャット。


初兎: 「最近、また夢見るんだよね。ないこの声」


いふ: 「オレも……昨日の配信中、急に思い出してた」


悠佑: 「何もしてないのに、音が残る。あいつの声、まだ消えてないんだなって」


りうら: 「会いたい、って言ったら、また逃げると思う?」


いむ: 「……いい加減、逃げさせないほうがいいでしょ。次に見つけたら、引きずってでも連れ戻すから」


その会話を、“ないこ”は読んでいた。

画面の向こう、届かない距離で、みんなが確かに自分を見ている。


ないこ(心の声): 嬉しいのに……声に、できない。

言いたいことが、喉で全部止まってる……


ふと、鏡を見る。

その中で、歪んだ何かが動いた。



深層――


否、“鏡の裏側”。


闇ないこは、激しく呼吸しながら自らの頭を抱えていた。


闇ないこ: ……うるさい……うるさい……!

“ないこ”が戻ってきた? 笑わせるなよ……!


鏡に手を叩きつけると、その奥で“いれいすメンバー”の姿が揺らいだ。


闇ないこ: ……こっちに来るな。

あいつらが近づけば近づくほど、オレは……崩れていく……!


だが――彼の目の奥に、微かな“涙”が滲んでいた。


闇ないこ: なんで……オレのくせに、泣いてんだよ……


闇ないこは、ゆっくりと立ち上がる。


闇ないこ: ……消えるくらいなら、全部、壊してやる。


その手が、鏡の奥の“いれいすメンバー”に向かって伸びていく。



現実世界――


ないこの部屋の鏡が、微かに“ヒビ”を入れた。


ないこ(心の声): いや……やめて……


声にならない叫びが、胸の奥からあふれていた。


次回:「第十八話:声が、出ないまま叫んだ」へ続く



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