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「こ……ここまで……連れてきた甲斐があったものよ……。お前はわしの長い時の中。探し求めていた目覚められるものだ。200年以上も探したぞ。この南米にいると思ったのだが……それは間違いじゃった……。ウロボロスが完全に目覚める時が来た。ルゥーダーよ。この者を必ず殺すのだ。そうすれば長い年月のわしらの願いがかなうぞ。未来永劫の夢の世界が」
まるで、呪いの言葉を話しているかのような声。この上ない歓喜の表情のカルダは、隣の王者のような青年に嬉し泣きをして話した。
それを聞いて私は流石に真っ青になる。
体が恐怖で動かない。後ろにいる呉林姉妹、ディオと無事な村の人々は硬直していた。
「お前をやっと……見つけたぞ。明日に儀式を始める。一番、残酷な儀式でゆるゆると殺す。もう逃がさないぞ……」
カルダは禍々しく泣いていた。
こんな恐ろしい奴らが今まで私たちを苦しめてきたのか! と私の心の天秤に怒りと恐怖が芽生えた。どちらが大きいかというと、怒りだった。
私はここへ南米に来て、この二人を説得するとか生易しいことは、到底不可能だということを悟った。ディオたちの言うような戦の準備が必要な訳だ。食うか食われるかの命のやり取りをしなければならなかったのだ。
ここへ来て、戦がどうしても不可避なのが解った。
「待ってな! 明日、こっちからぶっ殺してやるよ!」
私は体中の脈打つ血液で勇気を振るい叫んだ。仕方ない。生きていかないといけないんだ。
私はボロアパートのことを必死に考えた。
「赤羽くん! 待て! 三日後にするのじゃ!」
奥の森からディオが硬直から理性と精神力だけで、その呪縛を破り、駆け出して来た。私の隣に来ると、
「カルダさんよ。こちらもまだ準備ができていない。そちらもだろう。ここは矛を収めて三日の準備期間が必要じゃろう。それで、双方万全なかたちとなる。本当の戦いができるのじゃ」
ディオはそのギラギラした目でカルダを挑発した。
「三日も必要ない。明日だ」
カルダの隣の青年は強い口調と平静さで応じた。
「う……」
ディオが唸る。しかし、動きだした歯車は止まらない。
「では、明日」
私が手を振ると、カルダと青年が消えていた。
「い、今のは?」
「駄目じゃ。こちらの負けじゃ」