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白川の死からわずか数日、仲間たちはまだその喪失感から立ち直ることができずにいた。琥珀との戦いは終わらず、敵は次々と新たな恐怖を送り込んでいた。しかし、白川の犠牲が意味のあるものであると信じ、透と朱音たちは前進し続けていた。
「これ以上、仲間を失うわけにはいかない…」透は固く拳を握りしめ、自らを奮い立たせる。
だが、運命は容赦なく、さらに過酷な試練を彼らに突きつけようとしていた。
琥珀の次なる狙いは、仲間たちの中心である朱音だった。朱音はいつも冷静で、仲間たちを支える存在だった。しかし、彼女の心の奥底には、かつての恋人・神楽坂の死から来る深い悲しみが渦巻いていた。
「朱音、無理するなよ。みんなで力を合わせて戦うんだ。」透が声をかけるが、朱音は苦笑いを浮かべただけだった。
「大丈夫よ、透。私はもう決めたことがあるから。」
その言葉には、透にも理解できないほどの覚悟が込められていた。
戦いは熾烈を極めた。琥珀の配下たちは圧倒的な力を誇り、朱音たちは次第に追い詰められていった。朱音は神楽坂との過去を思い出しながら、戦場で戦い続ける。
「神楽坂…あなたのためにも戦い続ける…」
しかし、琥珀が現れ、朱音に狙いを定めた。透が気づいたときには、すでに遅かった。
「朱音、避けろッ!」透が叫んだが、朱音はその場に留まり、幹部の攻撃を真っ向から受け止めた。
「ここで終わらせるわけにはいかないのよ…!」
朱音は全身の力を振り絞り、幹部を一撃で倒したものの、その代償はあまりにも大きかった。致命的な傷を負い、朱音は崩れ落ちた。
「朱音!朱音、しっかりしろ!」透が駆け寄り、倒れた朱音を抱きかかえる。
「ごめんね、透…これ以上は、無理みたい…」朱音は微笑みながら、透の頬に手を伸ばした。
「何言ってるんだ!こんなところで死ぬな!俺たちには、まだ戦うべき理由があるだろ!」
透の涙が朱音の顔に滴り落ちる。だが、朱音は静かに首を振り、透を見つめ続けた。
「私の戦いは、ここで終わりよ。あなたたちの未来を、どうか守って…」
そう言い終わると、朱音の瞳から光が消え、彼女の手が透の頬からゆっくりと落ちた。
透は朱音の冷たくなった身体を抱きしめ、言葉を失った。次々と仲間を失い、彼の心は絶望と怒りで満たされていく。
「琥珀…お前は絶対に許さない…!」
朱音の死は、透にさらなる決意をもたらした。しかし、その代償はあまりにも大きく、彼の心は深い悲しみに包まれていた。