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「マスター、彼はこのまちの上空に移動したようですが、追跡しますか?」


魔導兵器『アリサ』がマスターに連絡しながら、空を飛んでいた。


「ああ、頼む。そうしてくれ」


「かしこまりました。それでは、これよりこのまちの上空にある怪しい空中要塞に突入します」


アリサはそう言うとナオトの後を追うことにした。


その頃、相馬は……。


「相馬式操馬術……壱の型一番『アパオシャ』!!」


彼女はゾロアスター教に伝わる旱魃《かんばつ》の悪神《あくじん》……『アパオシャ』を召喚し、乗りこなしていた。

体に毛のない真っ黒な馬は彼女を背中に乗せたまま、天を駆けていた。


「このまちでいったい何が起こっているのかは分かりませんが、なんとかしないといけませんね」


彼女はそう言うとまちの一番外側からグルグルとモンスター化した人たちを倒し始めた。

まあ、『アパオシャ』が蹴り飛ばしていくだけなのだが……。


「それにしても、このまちには男性しかいないのでしょうか? でも、このまちには確かに女性もいましたから、それはないですね。だとしたら、男性しかモンスター化しなかったということになりますね。もしくは、そうなるように誰かが仕組んだ……ということになりますね。しかし、いったい誰がそんなことを」


彼女がそう言うと、後ろからたくさんのケンタウロスが追いかけてきた。


「まったく……油断も隙もありませんね。アパオシャさん、もうちょっとスピードを上げてください」


「ヒヒーン!!」


アパオシャはそんな声を上げると、スピードを上げた。


「まあ、とりあえずあのケンタウロスさんたちをなんとかしましょう」


彼女はそう言うとアパオシャと共に彼らを倒し始めた。

その方法はこうだ。まず、アパオシャに彼らの背後に移動するように命じる。

次に蹴り飛ばしたケンタウロスから肩にかけている矢筒《やづつ》と中の矢をもらう。

そして、それを肩にかけた後、蹴り飛ばしたケンタウロスの一体から弓をもらう。

あとは、弓で狙える範囲で彼らを倒しながら、突き進む。

空を駆けることができないケンタウロスには申し訳ないが、倒すべき敵は倒す。それが相馬家の方針である。


「……ふぅ……なんとか倒せましたね。どこかで休憩したいです」


彼女がそう言うと、後方から美しい白馬が現れ、彼女たちの真横を通り過ぎた。


「ヒヒーン!!」


アパオシャはその馬を見た瞬間、急に暴れ始めた。


「ど、どうしたんですか! アパオシャさん! 落ち着いてください!」


彼女はなぜアパオシャが急に暴れ始めたのか考えていた。

アパオシャは神話に登場する馬……。彼女が今乗っている馬がそれである。

故に神話で語られている通りの身体的特徴や性格である。


「そうか……。そういうことでしたか。アパオシャさん! あの馬を追いましょう!」


「ヒヒーン!!」


アパオシャはそんな声を上げると、美しい白馬を追いかけ始めた。


「モンスター化した人たちの中には、完全とは言えませんが、先ほどのケンタウロスさんたちのように神話に登場するモンスターもいました。だとしたら、あの馬はおそらく……アパオシャさんの宿敵……ティシャトリヤさんですね」


ティシャトリヤとは、ゾロアスター教において崇拝される星と慈雨《じう》の神のことである。

アパオシャとの戦いに勝利した後、その神は白馬の姿でウォルカシャ海に降り立ち、水蒸気を発して雲を起こし、世界に雨を降らせたという話がある。

おそらく、アパオシャはそれ故にその白馬に反応したのだと考えられる。


「まったく……殺されても宿敵と戦うことになるなんて、あなたも大変ですね。アパオシャさん」


「ヒヒーン!!」


「え? 今度は負けないから安心しろ? そうですか。では、参りましょう!!」


彼女はそう言うと、美しい白馬に目掛けて、矢を放った。

しかし、その白馬が瞬時に加速したため、回避されてしまった。


「今の動き……。まるで私の攻撃が見えているようなものでしたね。なら、これなら、どうですか!」


相馬は三本の矢を同時に放ってみた。すると、その白馬は宙返りをして、その攻撃を回避した。


「そうですか。あなたも空を飛べるのですね。しかし、それだけでは私たちには勝てませんよ! アパオシャさん!」


「ヒヒーン!!」


アパオシャはそんな声を上げると、自分の分身を十体ほど作った。

そして、彼らを美しい白馬に向けて一斉に走らせた。


『ヒヒーン!!』


十体ほどのアパオシャは美しい白馬を倒そうと徐々に距離を詰めていく。

そして、彼らが美しい白馬を取り囲んだ後、相馬はアパオシャに空を駆けるよう命じた。


「これで……終わりです!」


彼女は美しい白馬の脳天に当たるよう、弓を構えた。そして、一斉に三本の矢を放った。

その直後、十体の分身たちは美しい白馬にギリギリまで近づいた。

これは美しい白馬が加速や回避をする前に倒すためである。


「ヒヒーン!?」


三本の矢は見事に美しい白馬の頭に命中した。

徐々に勢いをなくし、減速していく美しい白馬は数秒後、地面に倒れた。

相馬はアパオシャから飛び降りると、美しい白馬のところへ向かった。


「……あなたはすごくいい馬です。しかし、それ故に人々からいいように扱われる……。そんな気がしましたので倒させてもらいました。ごめんなさい。でも、私が死んだら、あなたに必ず会いに行きますから、それまで待っていてください。では、私はこれで失礼します。また会いましょう……」


彼女は自分のところに戻ってきたアパオシャに飛び乗ると、彼と共にまちにいるモンスター化した人たちを倒し始めた……。


「ヒ……ヒーン……」


その美しい白馬は最期にそう言うと、彼女が自分のところにやってくるまで眠ることにした……。

ダンボール箱の中に入っていた〇〇とその同類たちと共に異世界を旅することになった件 〜ダン件〜

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