テラーノベル
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#読み切り
矢先太郎は天才である。
文武両道 人望も厚く 知らないことはないのでは?と言いたくなるほどに博識 話は上手く、何かあればトーク力で丸め込んでしまう。
世界は彼の手の上であった。
(うわぁー、テストだ、勉強してないよ、ゲームしたかったし。)
「ねぇねぇ!矢先くん!今日テストだよね…勉強した?」
目の前からは妙に露出のあるスカートの短い女が
「あぁ、もちろん。」
「わぁ!さすがだね!今度私に教えてよ!むしろ…放課後とか!」
「はは、塾があるから、ごめんね?」
(ゲームしたぁーい、)
僕は、案外この生活が気に入っていなかった。
(あ、あの子って)
目の前を横切る女の子、僕は彼女に一目惚れした。でも、自分に自信がないから。
「1分後にテストを開始する!怪しまれるような行動はしない!ものを落としたら手を上げる!声を出さない!テスト開始したらすぐに名前を…」
「……」
余裕だろうな、としか思っていなかった。
僕は、何故か全て上手くいく。勉強も、運動も、何故か、全てだ。
小学校の時は、みんな100点近かったからあまり実感はなかった。それに気がついたのは中学生だったと思う。僕は1年の最初のテストで、500点をとったのだ。勉強もせずに、
テスト中びっくりした。ペンが動き続ける、手が脳に追いつかない。「進研ゼ〇か!?」とセルフツッコミを入れるほどだった。
部活に入ればすぐに結果が出る。今はそれに疲れてしまって、というか動くのはそもそも苦手だったし、運動部は男子が多く逆恨みされそうだったから美術部に落ち着いている。
「綺麗な絵書くよね、太郎くんって、」
「ちょっと声おっきいよ…」
……聞こえている。
もうどうだっていいのだ、彼女に告白さえ出来れば。自信がないのだ。ここまで才能に秀でているというのに。
……
「おい、そこの、」
「え?」
後ろから声がした、身長は低く、顔は、イマイチなんとも言えない男だった。
「俺の才能を返せ!」
「は?」
次の瞬間よく分からないもので刺された。
「!?ぶ、ぶ、じ、」
無事じゃない。さっきの男の体、目の前には僕がいる
「……俺を奪ったどろぼう、体は返してもらった、」
「はぁ!お、お前!」
その後持ち物やらなんやらを調べて、家に帰り、部屋には制服がかかっていて、それで学校がわかった。
「僕の同級生だったのか、」
矢先太郎は、あの女の子と結ばれた。告白する勇気を出し、いつまでも幸せに暮らしたとさ、
コメント
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リオンです、読み終えました。最初の「天才」像と、心の声で「ゲームしたーい」「自信ない」というギャップがすごく人間らしくて好きです。すべて上手くいくのに恋愛だけは自信がない、という不器用さが魅力的。そして突然の「才能を返せ」からの入れ替わり…え、そこで終わる!?ってなりましたが、最後にちゃんとハッピーエンドで締めてくるのが憎いですね(笑)。設定の裏にある世界観の設計に、続きがあったらぜひ潜りたいです。