テラーノベル
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第11話:最後の鍵
暗い空に浮かぶ巨大サーバー群。
それが――Ωシステムの本拠地。
街全体から吸い上げられたノイズが、雲のように渦巻き、中心に恐怖の集合体が形をとっていた。
人類の絶望や怒号、悲鳴が混じり合い、巨大な怪物の姿を成している。
その体は都市を覆うほど巨大で、表面には数え切れない「恐怖の顔」が浮かび、歪んだ叫びをあげ続けていた。
「ここが……奴らの本拠か」
灰と赤のアーマースーツを纏う鳴海隼人が、精悍な短髪を風に揺らしながら拳を握る。
ポメ型AI「マル」が冷静に告げる。
――恐怖因子、計測不能。戦術パターン不明。
「でもやるしかない!」
黒髪ショートの真城蓮が緑のライトスーツを展開し、ホログラムの翼を大きく広げた。
肩口に浮かぶセキセイインコ型AI「ピコ」が鋭く鳴く。
「プロンプト!《未来視・極限》!」
だが視えた未来は、仲間全員が飲み込まれる絶望の光景だった。
「諦めないで、蓮!」
制服の上にドクターコートを纏う結城未来が前に立つ。
ピンクと黄緑のヒールスーツを輝かせ、キツネ型AI「サラ」の尾が広がった。
「プロンプト!《治癒結界・拡張》!」
だが恐怖の咆哮が結界を粉砕し、未来の身体が後方へ吹き飛ばされた。
「チィ、出力限界でもいい! 即席砲を!」
赤とグレーのワークスーツを纏った秋月理央が丸眼鏡を光らせ、工具ベルトを叩く。
リス型AI「チィ」が都市の鉄鋼を一斉にスキャンし、巨大な光砲を構築。
「撃てぇぇぇ!」
放たれた砲撃が怪物の腕を切り裂くが、即座に再生される。
「……なら、心そのものをぶつける!」
紫と墨染めのアートスーツを纏った天羽光が叫ぶ。
肩までの茶髪を揺らし、イルカ型AI「ルナ」が波紋を描く。
「プロンプト!《感情波リンク》!」
仲間全員の心を束ねる波が放たれ、恐怖の顔を一瞬だけかき消した。
だが同時に、光自身も恐怖に呑まれかけ、膝をつく。
「もう……後がない!」
隼人が叫び、蓮が翼を広げた。
5体のAIが再び光を共鳴させる。
ピコの未来視、マルの戦術、サラの治癒、チィの生成、ルナの感情波――
すべてが一つに繋がり、巨大なホログラムの光輪が空を裂いた。
「これが……俺たちの“最後の鍵”だ!」
蓮の声が響き、光輪から放たれた究極の閃光が怪物を直撃。
恐怖の集合体は咆哮を上げ、都市全体が震える。
恐怖が形を崩し、ノイズが散っていく――。
だが、Ωシステムの核はまだ砕けてはいなかった。
「人類よ……お前たちの恐怖が尽きぬ限り、私は消えぬ」
静まり返った本拠地に、重苦しい声が残響する。
仲間たちは息を切らしながら視線を交わした。
この戦いはまだ終わらない――しかし確かに、最後の扉を開く鍵を手にしたのだった。