「ど、どうして、いきなりそんなことを?」
「それはだな、六番、俺はお前の事が好きになってしまったからだ」
一人話を進めてしまい、理由を聞かれたため、素直に自分の好意を六番に伝えた。 自分にとっては一世一代の告白だったが、案外すんなりと言えるものなのだな。 告白された六番はポカン、とした間抜けな可愛らしい様子でこちらを見ていた。 動揺しているのだろうと思っていると、次は顔を紅潮させて、視線を逸らして、何かを言おうとしたと思えば言わなかったりと忙しそうだ。
「…まぁ、返事はこれからじっくり考えてからで構わない!今はゆっくり休め」
「は…はい、」
六番が返事したのを確認して医務室を後にする。 発熱剤を飲ませたため、六番は今日一日医務室に居てもらい通話も戻らせずにじっくり自分で考えてもらうことにした。
もうすぐ朝になる、八番たちの牢屋へ向かわなければ。
「おはよう!」
「看守〜!六番はどうなったんですか?」
「通話にも戻ってこないんですけど…」
「六番は今、体調が悪く医務室にいる!」
通話に戻らない六番を心配した、八番と九番の質問に応えた後、レクリエーションのことも教えてやった。
「これから先に、大規模なレクリエーションがある!その時の態度や成績にやっては、減刑も考えられている。今からでも普段の態度を改めておくと良いぞー」
「そんなのあるんですか!?」
「まじか…」
「それと、今日の刑務作業は畜産と農業だ!八番が畜産、九番が農業でいいな?」
「はーい」
それからは、八番と九番を移した後、自身の事務作業も早めに終わらせた。
六番は七番の部屋へ勝手に移動したことを反省しただろうか。反省していれば、明日にはいつもの牢屋へ移さなければ。
などと、六番の事を考えていると、足が勝手に医務室へ向いていた。会いたいが、考える時間は十分に与えてやりたい、葛藤しながらも八番たちを先に元の牢屋へ移さなければ。
「八番!九番!刑務作業は終わりだ」
「え、もうですか!」
「はーい」
順番に扉を開け、牢屋に向かう。 牢屋の前のゲートを通らせ、牢屋に入れていく。
「六番の態度次第では、明日にはこちらに戻せる。だから心配するなよ」
「そうなんですねー」
「よかったです」
心配しているような八番たちに教え、牢屋を後にした。
「さっさと寝ろよ。おやすみ」
「おやすみなさーい」
それからは六番のいる医務室へまっすぐ向かった。
「六番」
「うぇあ!はい、!」
突然話しかけたため、六番を驚かせてしまった。扉を開け、医務室の中に入り、六番の前に立つ。
「体調は大丈夫か?」
「はい!もう元気いっぱいですよ!」
「そうか…返事は決まったか?」
「…みんなとも、相談させてくれませんか。八番や九番は家族そのものなんです」
「なるほどな、わかった。ところで、七番の牢屋へ勝手に移動したことは反省したか?」
「もちろんですよ!」
「そうか、なら明日には八番たちの牢屋へ戻れるぞ。もう通話は戻っていいからな」
一通り会話し、医務室を出た。もしも告白の返事がダメだったとしても、態度を改めて、これからも生きてくれれば、俺はそれでいい。そう思いながら報告書を書いて、今日は就寝した。
「六番、もう元の牢屋に戻すぞ」
「はぁ〜い、わかりましたー」
医務室から六番を出してやり、牢屋へ向かう。 少し眠たげな六番が可愛らしく、キスをしてしまいそうになる。媚薬を飲ませて襲ってしまったのは置いておいて、次キスするときは…
「ほら、入れ六番」
「みんなぁ〜」
「おかえり〜!!」
「すごい眠そうだね」
六番たちが一通り騒いだことを確認して、今日の予定を教える。
「今日の刑務作業は一人料理長をしてもらう!」
「六番以外ですよね」
「じゃあ、俺やりたいです!」
八番が希望したため八番を料理長として、九番は畜産、六番は倉庫の掃除をしてもらうことにした。
「出てこい、八番、九番」
「はーい」
「僕は!?」
「六番は待ってろ!」
「しにがみくんww」
牢屋を出て、八番を食堂に移してから、九番を畜産の場所に入れる。
もう一度牢屋へ戻り、六番を掃除場所へ移送する。
「じゃあ、ちゃんと掃除しろよ」
「もちろんです!」
あと数日であのレクリエーションがある。そのための願書も気合いを入れて書かなければ。
アイツらが減刑できるかもこれにかかっているのだから。いまから所長であるゴルゴン様にも交渉しなければ。
「ゴルゴン様。次のレクリエーションのことなのですが…」
「ああ、囚人達が更生できるかで減刑が考えられるものだったな。八番と九番は問題無さそうなんだが、六番がな…」
「ええ、なので以前に問題を起こした際、これからは模範囚としてちゃんと過ごすように注意しておきました。八番達に影響され、模範的になるように工夫するつもりです」
「出来るだけ、死刑にはさせたくない。私も、もう少し囚人達が過ごしやすい環境に改修しよう。それと、今日は囚人達にケーキを渡して夕食を食堂で食べさせてくれ」
「了解しました。それでは失礼します」
この後は願書を書いて、刑務作業が終了したらアイツらを移送させなければ。
レクリエーションに向けた願書を書き終え、刑務作業も終了の時間だ。
「九番!今日は食堂で飯を食べてもらうから、移動するぞ」
「はーい」
それからは六番とも合流し、八番のある食堂へ向かった。
「ほら、八番が作った肉だ!ちゃんと食えよ。あと、今日はケーキもあるからな」
「ええ!?すご!」
「やったぁー!」
「今日はなんか、記念日とかなんですか?」
「いや、囚人のストレスを溜めないようにだそうだ!お前ら、ケーキを食ったからには感謝して普段の態度を改めろよ」
「もちろんですよ〜!もう悪さなんかしませんよ」
少し交流をして様子を見て、食堂の扉の前で食べ終わるのを待つことにした。
「じゃあ、扉の近くにいるから食べ終わったら言えよ」
「はーい」
六番に八番達と話し合える機会をやったが、どうだろうか。告白をする前にヤってしまったから、印象はよくないだろうが、楽しみにしておこう。
そうこうしていると、扉をコンコンと叩く音が聞こえた。
「もう食べ終わったのか?」
「はい!もうお腹いっぱいですよー」
「美味しかったです!」
「もうお腹がパンパンのパンです!」
「じゃあ、牢屋に向かうからな」
「あ、看守!この後少し、話しませんか」
「…あぁ、分かった」
牢屋へ向かい、八番と九番を牢屋へ入れてから六番を私室へ向かい入れた。すると、六番が先に話し始める。
「看守、この前の返事のことなんですが…」
「…ああ」
この前の告白のことだろう。フラれてしまうとは分かっているが、それでも胸を高鳴らせてしまう。心臓がうるさい、心なしか汗もかいてきた。六番の言葉を今か今かと待ち続けると、六番が口を開く。
「僕、僕は…看守のこと…
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ハッピーエンドとトゥルーエンドとバッドエンド、どれがいいかな