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「まあ、いつも歩がご迷惑をおかけしております。学校では歩はどうですか? さあ、上がってください」


母さんはとても不安な気持ちを抱いているのだろうけれど、羽良野先生と僕には悟られまいとしている。みんな不穏な雰囲気に怯えているんだ。

母さんは玄関から隣の居間へと羽良野先生を招いて、僕と羽良野先生がテーブルにつくと、お茶の準備に取り掛かった。おじいちゃんは二階の和室にいるようだ。

母さんがお茶を配り終えて、三人がテーブルに落ち着くと、僕の隣の羽良野先生が控えめな声音を使った。


「あそこの畑で、人形の手足が見つかったんですね? とても精巧な」


「ええ」


母さんは少し身震いし、


「手足には赤黒いものが付着していたようです。私、怖くて怖くて……」


「それはそうですね。私も立場上は怖いのですけれど、怖さを心の底に押し込んで子供たちをただ信じることだけが私に出来ることだと思っています。きっと……子供たちの仕業ではなく……」


そこで、羽良野先生は隣町の幼稚園での帰りにバスに乗った児童たちが、全員行方不明になったことを思い出したのだろう。

僕は、テーブルの下の羽良野先生の手が、少しだけ震えたのが見て取れた。

「嫌だわ……もう。でも、きっと、もう少したてば何もかも良くなるわ。うちのおじいちゃんが言っていたんです。どんなに怖いものや嫌なものでも、結局は犯人より、みんなの力の方が強い時があるんだって」


羽良野先生は学校で起きた事件に僕が関与しているのかは、次第に気にしなくなったかのように、母さんと話していた。


「そうですね……」


羽良野先生は俯き加減になり、


「確かにみんなの力って、どんな事よりも強いでしょうね……。例え大きな事件を私たちが経験したとしても、そして、心に傷を負ったとしても、結局は治すのは人ですしね。……みんなの力ですか……」


羽良野先生はニッコリ笑って顔を上げた。

母さんは二階に目を向けるように上を見つめ、


「ええ、そうよ。こんなこともすぐになくなるわ」


羽良野先生は僕のことを、母さんとおじいちゃんの知恵の話をしていると、どうでもよくなってきたようだ。けれども、二人には不可解性からくる強い不安は完全には消えないようだ。

白いスープと死者の街

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