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外を出れば聞こえてくる罵詈雑言。1人で歩けば飛んでくる石。
村のニンゲンたちはみんな口を揃えて私たち姉妹のことをこう言う。
『化け物』
この世界にはニンゲンと人外と呼ばれる2つの種族がいる。
人外とはニンゲン以外の高度な知性を持った者達の総称である。
人外は特殊な力を持っているものが多い。傷を回復させたり、炎を出したり、とてつもなく身体能力が高いものもいる。
そのほとんどが理屈では説明できるものではない。
だから、人外はニンゲンから恐れられ
軽蔑された。
それは見知らぬものへの恐怖からか
はたまた
少しでも自分が優位に立っていたいという願望なのかはわからない。
私達姉妹は、《魔法使い》だ。
両親は知らない。
物心ついた時には5歳上の姉と一緒に暮らしていた。
私達の家は村の端にある倒壊しかけている建物と言えるか怪しいあばら屋だ。
村のニンゲンから罵倒されるのは日常茶飯事。石を投げられたり持ち物を盗まれるのだってよくある。いつもお腹が空いているし、ニンゲンに殴られたところが痛む時もある。
でも、私には姉がいるだけで十分だった。
姉は、、、お姉ちゃんは
強くて優しくてかっこよくて私の憧れの人だ。
いつまでも、お姉ちゃんが自分のことを守ってくれると思っていた。
でも、、、
今日は違った。
お姉ちゃんは朝から変だった。
いつもは私より早く起きているのに
「・・・お姉ちゃん!お姉ちゃん!」
今日はいくら呼んでも、肩を揺さぶっても返事がなかった。
なんとなく、お姉ちゃんの額を触ってみると、信じられないくらい熱かった。
私はどうすればお姉ちゃんが起きてくれるかわからない。
誰かに助けてもらおうと思ったわけではないが、じっとしてられず村の方に向かう。
そうすればお姉ちゃんが目を覚ます方法かわかるかもしれないと思ったからだ。
何やら村はいつもより騒がしかった。
村の入り口の方に人だかりができている。
安易に近づくと殴られるかもしれないので、魔法で浮いて村のニンゲンが見ている方を見てみると、そこには10人くらいのニンゲンがいた。
そのニンゲン達は白衣のようなものにフードが付いているような服を着ており、フードを深く被っているせいで表情は見えない。
そのニンゲン達はしきりに村のニンゲンに何かを話している。
、、、ここにいても何もできない!
地面に降りて他のところに行こうと思った時。
一瞬、白衣のニンゲンの1人と目があった。
すると、その白衣のニンゲンは他の仲間に何やら耳打ちし、もう一度こちらに視線をやった。
なんだか嫌な予感がする。
_その瞬間、景色が変わった。
晴れ晴れとした空が瞬き一度のうちに黒く変わり、周りの建物は紅の炎に包まれて瞬く間に倒壊していく。
呆然とそれらを眺めていると、ニンゲン達の叫び声が聞こえた気がした。
さっきまで人だかりができていたところに目をやると、誰のともわからないような肉?の塊のようなものが辺りに散らかっていて、錆びた鉄のような匂いにむせ返りそうになる。
その肉塊の上には白衣を少し赤く染めたニンゲンがいて、小さなナイフのようなものを持っていた。
あまりの出来事に声を出すことも、動くこともできずに突っ立っていると、白衣のニンゲンがこちらを見る。
ゾワッ
今まで感じたことがない感覚
鋭い刃物で突かれているような突き通る恐怖
、、、殺気。
ゆらりと白衣のニンゲンが動いてこちらに向かってくる。
私は、無我夢中で走り出した。
行く当てもなく。
つまづいても、擦り傷ができても気にしない。
ただただ逃げた。
街の外れまで着いた時
ちょっとした窪みに足を取られて転んでしまった。
痛い
足を捻ってしまった。
・・・涙で視界が歪む
立ちあがろうとしたけどダメだった。
痛くて、怖くて、疲れていてもう立つ気力も体力もない。魔法も簡単のしか知らないから全く役に立たない。
白衣のニンゲンはもう近くまで来ている。
恐怖で腰が抜けてしまっていて1ミリたりとも動けない。
白衣のニンゲンは目の前にいる。
ナイフを振り上げているのが見える。
あぁ。死ぬんだ
頭のどこかでそう思った。
ゆっくりと目を閉じる。
少しでも目の前の恐怖を忘れるために。
・・・
でも。
いつまで経っても何も起こらない。
刃物で刺されてもないし、頭をかち割られてもない。
ゆっくりと目を開ける。
1番最初に目に飛び込んできたのは
ダークブラウンの美しい髪。
蒼色のマフラー。
そして、ゆったりとした黒いカーディガンの背中。
その人の手袋をはめた手には刀が握られていて、ところどころなにやら紅いもので色づいていた。
「ふ〜。危なかったねぇ」
その人はくるりと体を反転させこちらを向いた。
銀色の色素の薄い瞳と目があう。
肌は白く、目鼻口のバランスが整っている。
今まで見てきた人の中でお姉ちゃんの次に綺麗な少女だった。
目に少しかかった前髪の下でこちらをまっすぐ見てくる。
「・・・大丈夫??」