屋上にはフェンスの傍に立ち外を眺める女子生徒がいた。彼女は俺の存在に気づいたのか後ろを振り向いた。
あ、星宮さん。
肩にかかるぐらいまでの黒髪がなびき、女子では少し高めの身長からして彼女だとすぐに分かった。見慣れた後ろ姿だった。中学が一緒だったからだ。といってもクラスが一緒だったのは1年だけだしあんまり話したこともないけど、部活がお互い外同士でよく見てきた。クラスが一緒だった時彼女はいつも俺の席の前にいたからその後ろ姿に懐かしさすら覚えた。
「天野くん」
俺を見て星宮さんが言う、そりゃびっくりだよな、わざわざ放課後にこんな屋上にくるやつなんてそうそういない。
でもそうか、よく考えたら星宮さんに死期が迫っているということか?屋上,,,もしかして自殺?
「こ、こんなところで何しての」
もしかしたら彼女が今から自殺するんじゃないかと考えると童謡して汗が止まらない。震えた声で聞く。
「天野くんこそこんなところに何か用なの?
今から自殺する人とは思えないほど冷静な彼女に少し違和感を感じた。
だが聞き返されても答えられない。神に言われたからなんてきっと信じないだろうしと思い何も言えずにいた。
彼女はそんな俺に気づかずじっと俺が答えるのを待っている。
「まって、天野くんの後ろにいるの、だれ?
え?もしかして神様見えんの?なんてびっくりして思わずあいつに「姿見えんの?」と聞いた。こいつはそれに答えず彼女の方を向き
「フッ 星宮雪だな?さすがはあの大御神から力を授かっただけはある。俺が見えるのか。今からお前を神の掟を破ったとみなし高天原へ連行する」
「「は?」」2人して声が重なる
「おい、どーゆことだ」俺は冷静になってやつに聞くがやつは答えない。「お前嵌めたのか!」と声を荒らげる
あいつが星宮さんを捕まえようと彼女の方へ行くのを止めるため、俺は走る、だが何かに引っかかり転けそうになった。ただ運の悪いことにフェンスが錆びていたのか俺は体を支えられず屋上から落ちそうになる。いや、落ちたと思った。だが星宮さんが俺の腕を必死に掴んでいた。
屋上から落ちそうになっている男子高校生を女子高生が1人で救いあげれるわけが無い。このままでは星宮さんまで道連れにしてしまう。「星宮さん、手離して」彼女に言っても何も答えずただ必死な顔をして俺を救いあげようとしている
「俺は大丈夫だから」そうだ、運動神経には自信がある、頑張ればベランダに降りれるかもしれない、いや確証はない。死ぬ可能性の方が高いだろう、一気に不安が押し寄せ死への恐怖がせまる。
「ごめん、やっぱり手離さないで」
みっともない。同級生の女の子にこんな情けない姿を晒しているなんて分かっていてもやっぱり死にたくない。そう思ってしまう。
「、、、っ当たり前」と彼女が言う。必死な顔でも少しキメて笑う彼女がすごくかっこよく見えた。それでもこの状況は変わらない。どんどん俺たちを繋ぐ手がずり落ちていく。やばい。2人してそう思っていた。彼女は何度も何度も手を握り返して引き上げようとする。だけど自分より体重も重いましてやスポーツマンを引き上げれるわけなどなかった。時間にして1分もなかっただろう。
「天野くん、私今から一緒に落ちる。だから手絶対離さないで」
え、?「何言ってんの?!」
「大丈夫だから!!お願い、信じて」
俺の声を遮り信じてと懇願する彼女を見てもうそれしか方法がなかった。
「、、、わかった」
「ありがとう」と言うと同時に彼女は俺の方に飛び込んできた。
ドシャッ