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「はぁ、ぐっ、はぁっ」
あれから何時間が経過しただろうか
建物の爆風で吹っ飛ばされた風真はボロボロの身体で帰路についていた
どこが痛いのか分からないほど痛い
全身が倦怠感に包まれていて歩くのもやっとだった
息が切れて心臓の鼓動がどんどん早くなる
身体が痛い、骨も何本か逝ったかもしれない
おでこから伝う血が風真の視界を遮ったけど それを拭う気力もなくて視界の狭い中必死でアジトへと足を進めた
それも偏に家に帰りたいから
風真のことを待っている人がいる場所に帰りたいから
道無き道を進み、森を出て大きな通りに出た時だった
「あれ?いろは?」
夜明け前の空に大きな羽を背負った鷹が1人
「るい、ねぇ?」
目線が合う ルイねぇの目が琥珀色に変わった 血相を変えたルイねぇがこちらに飛んでくる
「いろは!?大丈夫?」
「ルイねぇ、でござるか?」
「うん いろは、もしかして目見えてない?」
「あんまり、見えない、かも」
「分かった 」
ルイねぇが肩を貸してくれて道の端っこに移動した
「歩く、のは無理そうね」
「う、、」
「もう大丈夫 ちょっと揺れるかもしれないけど、我慢してね」
「んぇ、、?」
そう言ってルイねぇは風真をお姫様抱っこした すぐに風を切る音がして地面が遠くなる
まるで飛んでいるみたい
「寝てて大丈夫 お疲れ様」
ルイねぇの言葉を最後に風真の意識は闇に溶けて行った
『こより いろはが重体』
『!? わ、わかった』
目が覚めたら風真はベットの上だった
「あ!目覚めた?」
「沙花叉、、、?」
「こんこよー!いろはちゃん目覚めた!」
「うるさいでござる、、、、」
「あぁごめんごめん」
風真はなんでここにいるでござるか?任務に行って、建物が爆発して、それで、、、
「いろはちゃん!」
「こよちゃん」
「良かった、目が覚めて、、、」
「う、うん?」
「いろはちゃん、運ばれてきた時すっごく危ない状態だったんだよ? 」
聞けば風真は重度の酸欠だったらしい 血を失ったことにより体に酸素が回らなくなってしまったそう 目が見えにくくなったのはおでこからの出血のせいじゃなくて酸欠のせいだったらしい
「そうだったんでござるか」
「本当に、目が覚めて良かった、、、」
「心配かけちゃって、ごめん」
用心棒なのに皆に心配をかけてしまって申し訳ない
「数日間は安静にしておいてね」
「わかったでござる」
「沙花叉もゆっくりしたーい」
「くろたんは任務!」
「え〜」
「あと、ちゃんと血洗い流してね?」
「めんどくさーい」
「僕の使う実験道具に血が着くと大変なの!」
「ぽぇぽえぽえ〜?」
「くろたん!」
研究室に広がる2人の声
いつも通りの会話を聞いて心底安心した 風真、ちゃんと帰ってこれたんだ
「いろはちゃんが全快したらルイルイがご馳走振舞ってくれるって」
「本当でござるか!?」
「ルイ姉めちょ張り切ってたよー?」
「それは早く回復しないとでござるな」
こよちゃんの研究室に広がる風真たちの声
あったかいなぁ 本当に帰って来れてよかった
数日後 ルイねぇが振舞ってくれた料理には茄子がたくさん使われていた 本人は何も言ってなかったけど、意識して作ってくれたんだろうな