書きたくなった雰囲気系と短い話まとめ
『夕焼けと共に』
背中に夕日を背負い、汚れ一つ無い海の様に美しい水色の髪、そしてこちらを見てその夕焼けを閉じ込めた様な暖かくもどこか寂しくなる、そんな瞳でこちらを見て手を伸ばして微笑む貴方には何度救われた事か。その手を取り、俺も微笑む。
「ええで、一緒に逃げたるわ」
立ち向かう、だなんてそんな勇気はない。だからずっと、ずっと逃げるのだ。誰にもバレない所まで一緒に行って、友人を招待して皆で暮らそう。まずはその場所探しだ。
嗚呼、これからも楽しい事が起きそうやな。
『その声で』
黒い髪と黒い瞳。その瞳は闇を持たず光を常に見つめていた。黒い姿に白い軍服は映える。戦場で白い彼が来ると何だか心が軽くなる様な感覚がするのだ。今回はもう会えなさそうだが。四方八方に敵兵、目の前には暴れ回るバケモノと化したナニカ。それでも君は諦めず声を上げた。
「ッんな訳ねぇだろばーか”ッッ!!死ぬまでやるんだよ俺はッッッ!!! 」
美しい刀身の君の故郷の刀を振るい、その白い服を赤く染め上げていく。バツの様な顔の傷だって目印になる。君はいつも諦めなかった。子供の頃君を見た事があった。その時君はそれはそれは弱かったけど、必死に刀を振って、走って、戦って…努力の塊と言ってもいいくらいだった。
復讐鬼は本当に怖くて、優しくて、強いんだ。
『貴方に花束を』
藤色の瞳を持つ貴方は強大な恐怖に立ち向かい、散っていった。そんな貴方には散らない造花を送ろう。造花で作られた花束を。勿忘草とネリネの花束を作って、貴方の十字架の前に置いて、最近あった事を話しに行こう。貴方は「死んだら墓の前にたくさん話に来てくれ」と言っていたから、その願いを叶えよう。13人に減ってしまったけれど、そちらで幸せになって待ってくれている事を全員で祈っている。
「次遭う時は、赤くなければええな」
自身の赤と青の瞳を近くに触れる。この瞳のせいで家族まで迫害されたのだから、次は別の色がいい。そう言ったら貴方はたくさん怒った。「それが俺達がお前と判断出来る目印だろう」と言った。本当に貴方は優しい。
次こそ、逢える事を願おう。
短い話
『夢が覚めても』
夢、ここは、夢。不思議な夢だ。辺りがホワホワしていて、暖かくて冷たい。地面を踏み締めると柔らかくて硬い。そして目の前にはそんな夢に居るあの子が居た。
「あ、来たんやね」
「まぁ、はい」
曖昧な返事をし、目を逸らす。何故って?私は彼の秘密を知ってしまったからだ。彼は数年前敵地に特攻して亡くなった__
「なぁ」
急に話しかけられて、驚きで肩が跳ねる。フードの奧から除くペリドットに鋭くこちらを見られ、動揺してしまう。彼は優しく微笑み、口を開いた。
「夢が覚めても、忘れんでな」
彼がそう言った瞬間、私の意識は暗転した。
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