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るるくらげ
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松下一成
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12話 デスゲームスペース
端末の画面を、
親指でゆっくり流していた。
薄手のシャツに、
首元が少し伸びたパーカー。
部屋着のまま外に出られる格好。
髪は乾ききっておらず、
後ろで雑に留めている。
気にしていない。
つながり空間には、
今日も投稿が流れている。
昼の話題、
店の写真、
短い動画。
その中に、
ひとつだけ違う文脈が混ざる。
奥に行くと戻れない
精神が削られる
試した人がいるらしい
具体的な名前はない。
場所も曖昧。
ただ、
最層目という言葉だけが、
繰り返される。
コメント欄は、
半信半疑。
怖がる人もいれば、
作り話だと言う人もいる。
削除はされていない。
注意喚起も出ない。
ただ、
おすすめに上がらない。
数時間後、
別の投稿で、
同じ言い回しを見る。
精神がもたない
環境がひどい
でも行ける
文体が、
妙に揃っている。
誰かが煽っている感じはなく、
淡々としている。
プロフィールを見る。
画像は初期設定。
名前は記号だけ。
企業アカウントも、
個人も、
その話題には触れない。
否定も、
肯定もしない。
それでも、
投稿は残る。
噂は、
消されず、
広がりすぎず、
一定の距離で保たれている。
誰かが、
危険を完全に隠さず、
でも、
行き過ぎないように、
調整している。
画面を閉じる。
心拍は、
少しだけ早い。
確かめようとは、
思わない。
知ってしまったことだけが、
日常の端に残る。
最層目のうわさは、
今日も、
つながり空間の奥で、
静かに流れていた。