テラーノベル
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城に戻る頃には、夜はすっかり深まっていた。
戦闘の疲れ。
移動の疲れ。
それが一気に押し寄せる。
「……はぁ……」
部屋に入った瞬間、力が抜ける。
「今日は……きつかったな」
軽く笑いながら、ベッドに腰を下ろす。
「……」
ノスフェラトゥは何も言わない。
ただ、少し離れた位置で立っている。
「……なぁ」
ぼんやりと天井を見ながら、声を出す。
「ピザ、また作るか」
力の抜けた声。
「今度はもっとマシに――」
そこまで言って。
「……」
返事がない。
まぁいいか、と小さく息を吐く。
「……」
そのまま、横になる。
「……ちょっとだけ、寝るわ」
誰に言うでもなく。
ただ、言葉にしただけ。
目を閉じる。
意識が、すぐに沈む。
――早い。
完全に、無防備だった。
「……」
静寂。
呼吸だけが、規則的に響く。
「……」
ノスフェラトゥは、動かない。
だが。
視線は、外さない。
「……」
ゆっくりと、近づく。
足音は、ほとんどない。
ベッドの横。
すぐそこまで。
「……」
寝ている。
完全に。
警戒も、何もない。
「……」
視線が、落ちる。
首元。
わずかに開いた襟。
そこから見える、肌。
脈。
規則正しく、打っている。
「……」
喉が、鳴る。
小さく。
だが、確かに。
「……」
昼間、抑えた衝動。
戦闘中、見ないようにした感覚。
今、ここにある。
「……」
手が、わずかに動く。
伸びる。
触れられる距離。
「……」
あと少し。
ほんの少しで――
「……」
止まる。
指先が、空中で止まる。
「……」
呼吸が、わずかに乱れる。
「……」
目を細める。
見る。
首じゃない。
その奥。
「……」
寝ている顔。
無防備で。
力が抜けていて。
戦っていた時とは、まるで違う。
「……」
ゆっくりと、手を下ろす。
触れない。
「……」
喉が、また鳴る。
だが。
さっきとは違う。
「……」
ぽつりと。
「……今は」
小さく呟く。
誰に聞かせるでもなく。
「……必要ない」
昼間と同じ言葉。
だが、意味は違う。
「……」
一歩、下がる。
距離を取る。
「……」
背を向ける。
だが。
完全には離れない。
部屋の端で、壁に寄りかかる。
「……」
目を閉じる。
眠らない。
ただ、そこにいる。
「……」
守るように。
見張るように。
そして――
自分を抑えるように。
ベッドの上では。
pizza guyが、静かに眠っている。
何も知らずに。
何も疑わずに。
その無防備さが――
今はまだ、許されていた。
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