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何とか学校に行かないですむ休む理由はないだろうか……。

用務員のおじさんが死んでいるなら、学校はどう反応するんだろう?

多分、犯人が捕まるまで休校をするだろう。

ドアをノックする音がした。

ぼくは瞬時に涼しい顔を張り付けて開けると、妹の亜由美だった。A4ノートを破いて書いてある言葉を見せた。


「遅かったじゃない。服がびしょびしょだから、お風呂に入ったら?」


亜由美はたまに優しいことをする。

ほんの気まぐれみたいに。

ぼくは「解ったよ」と言うと、お風呂へ向かった。

和室から幸助おじさんの唸り声が聞こえて来た。


お風呂の中で考えた。ぼくはこのことを警察には知らせられないみたいだ。

生きた首を持ってきていない。恐らく羽良野先生が隠したと思う。バラバラ生き事件なんて、聞いたこともないから、警察は大人より僕を疑うことは間違いなしだと思うんだ。

だって、そうでしょう。


大人の言葉は大抵は立派に見えれば誰もが信じるけれど。子供の言うことなんて誰も信じないんだ。

僕が戦っているのは、この不思議な事件だけではないと思う。そういった周囲の見えないものとも戦わなければいけない。



夜遅く、ぼくの家にも電話がかかってきた。

父さんが出たけれど、話の内容は解る。

キッチンにある電話の受話器を置いた父さんの顔は、険しく少し赤みがあった。


「歩。亜由美を呼んできなさい」


ぼくは二階にいる亜由美を階段越しに呼んだ。

キッチンにはみんな揃った。

父さんが静かに言った。


「学校はいかなくていい。何かよくないことが起きたみたいなんだ。しばらく休校になるそうだ。危ないから、あまり外へと出ないことと、不審な人には近づかないこと。父さんに約束してくれ」


父さんはテーブルに座る。ぼくと亜由美の顔を覗くように言った。


「このところ、何が起きているのか解らないな」


おじいちゃんが呟いた。

おじいちゃんは僕の頭を優しく撫でて、にこやかに言った。


「何も心配ないくていいからね……。時間が経てば何もかもよくなるさ」


おじいちゃんは、それから亜由美にも優しい言葉で話している。

僕はその通りだと思った。

時間の方が強い。

羽良野先生は直に捕まる。

そして、この不可解な事件は解決するかも知れない。


次の日。


リンリンと鳴る風鈴の涼しい音と蒸し暑い空気でぼくは目を開けた。

白いスープと死者の街

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