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もう、私たちはなんでも出来る気がしていた。

ガードが緩そうなお姉さんから財布を拝借して、慣れてたつもりだけど結局バレて。2人で逃げて。メガネが取れたレイの顔はすごく綺麗だった。

『レ、イ、めが、ねいい、の?』

路地裏に隠れた私たちは息が上がっていた。

『今となっちゃ、ど、うでも、いいよ。』

と、はにかんだレイは輝いていた

さすがにさっきのお姉さんも諦めたみたいでどっか行ったらしく、私たちはさっき盗んだお金でご飯を食べていた。

『皮肉だよね、これから死ぬって言うのにご飯食べるなんてさ。資源の無駄だよ。』

『でも、どうせ死ぬならタイミング選びたいじゃん。餓死したらタイミングも場所も選べないよ?』

『それもそっか』

そう言ったレイは納得したらしく、美味しそうにバーガーを頬張っていた。

『優しくて、誰にでも愛されるヒーローならさ、私も、レイも、救って幸せにしてくれたのかな』

『そんな夢なんて、とっくのとうに捨てたよ。現実を見てみなよ。「シアワセ」の4文字なんて無かったじゃん。今までの人生で思い知ったよ。』

レイの言葉は、思ったより私の心に染みた。今まで、私といる時もシアワセって思ってくれなかったのかな。

君はバーガーを食べ終わって、包み紙を畳んでいた。

少女を飽和したあの夏

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