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少女を飽和したあの夏

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少女を飽和したあの夏

4 - 第4章 あの夏が飽和する

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2024年03月30日

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それから随分たったと思う。夏の始まりだと言うのに無駄に暑くて、汗ばかりかいてしまった。

うるさい程に鳴き叫ぶ蝉の声も、揺れだす視界も、どうでもよかった。

ここはどこなのかも分からなかった。ただ、これから死ぬと言うのにはしゃいでいた。本当に、馬鹿みたいに。まるで昔に戻ったみたいだった。

不意にレイは言った。

『ハナ、ハナが居たからここまで来れたよ。だから、、、だから、もういいよ。もう、いいよ。』

『死ぬのは私ひとりでいいよ。』

そして、レイは首を切った。

まるで何かの映画のワンシーンだ。

私の愛するレイ

可愛くて、冷静なレイ

私以外、誰にも愛されなかったレイ

何か、悪い夢でも見ている気がした。目の前が暗くなる。

気づけば私は病院にいた。

事情聴取だとか、そんなの気にしてられなかった。

私は病院を抜け出した。レイを探した。

今まで行ったところ、全部行った。額の汗すらどうでもいい。

いない。いない。いない。

レイだけが、どこにもいない。最愛のレイだけが。

そして時はすぎた。ただ、暑い日だけが過ぎていった。

家族も、クラスの奴らも居るのに、何故かレイだけがどこにもいない。

あの、あの夏の日を思い出す。

私はレイを今でも探している。

レイの無邪気さ、笑顔、声、全てが私の頭を飽和する。

レイは、何も悪くない。何も悪くは無いからさ。

もう投げ出しちゃおうよ。そう言って欲しかったんでしょ?

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