サイド ??
誰かの話声が聞こえて、私の意識は現実に戻った。
「ーーーーーー」
「ーーーーーーーーーー?」
なんて言っているのだろう。聞き取れないが、私のことを話していることはわかる。
ああ、そうだ。確か、私は逃げられなかったのだ。
嫌だ。これからどうなるんだろう。
そんなことを考えると、まだ気を失ったフリをしていたいという気持ちが大きくなった。
……もう少しだけ、このまま話を聞いていよう。
逃げられそうなら、逃げよう。
「全く……。お前は本当に勝手なやつだな」
「緊急事態だったし、しかたねぇだろ?!」
(えっ?!)
私は自分の耳を疑った。話の内容じゃなくて、声に驚いたのだ。
なぜなら、あの赤いジャージを着た少年と同じ声がしたから。
ど、どういうことなんだろう。
私は思わず目を開けた。
そこには、見知らぬ青年の顔が近くにあった。
「きゃあああああっ!!」
反射的に悲鳴が上がる。
「……君さ、面倒見てた人の顔見て悲鳴あげるって、だいぶ失礼だよ?」
「え……ええっ……?」
続いてドタバタと足音がこっちに向かってくる。
ガチャリとドアが開いて、入ってきたのは赤いジャージの少年とその話し相手だと思われる黒いフード付きパーカーを着た青年だった。
「おい、ルネ!その子に何かしたのか?!」
「いや〜、俺はただ見てただけなんだけど……」
オレンジ色のTシャツを着た青年…ルネと呼ばれた人はゆっくり手を振って弁解する。
「よかった!目ぇ覚めたんだな!!」
赤いジャージの少年は嬉しそうに笑った。
「ええと……」
どうしよう。事態に全くついていけない。
私はゆっくり周囲を見渡す。
見たことない部屋、知らない人。
……もしかして、ここ、学校じゃない……?
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