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翌日。
オレは銅の推しcpを聞いてから、職場に出向いた。
…いや、大丈夫。仕事をしにきただけだから、うん。
別に供給が欲しいとか、
そういうのじゃなくてだな!!!!()
まぁとにかく、国民代表として、職場に来た。
…来たのは良いんだが。
酸素「だからぁ…言ったでしょ、それするには反応速度が…」
水素「え?…でもでも、前はうまくいったし…」
廊下の角で、
酸素と水素が資料を挟んで立っていた。
…
…
…距離近。
え、近くない?????
近いよな?????
酸素「はぁ…全くしょうがないな。今回だけね」
水素「!!!嗚呼!!!」
()
嗚呼!!!じゃねぇよ!!!!!(叫び)
何その嫌なこと全て消し飛んだみたいなような吹っ切れたような無駄にいい声!?!?
酸素も許しちゃうの!?!?
許しちゃうんですか!?!?!?
…落ち着け、大丈夫だ、問題ない。
これはたしか昨日銅が言ってたcpだ。
王道中の王道とか言ってたな…
数十分程度の猛烈な語りに付き合ったんだ、大丈夫。
慣れた()。
そういうことにして、オフィスへと足を運んだ。
仕事中。
割と集中してる気がする。
当分来てなかったから書類は溜まってたけど、
まぁ大分片付いてきた。
これなら今までサボってきた分は今日中に終わりそうだ。
…ただ、
さっきからオレの周りでいろんな絡みがでてきている。
鉄「お〜〜!!すごい!!!数値、安定してきてる!!」
ニッケル「…お前が頑張ったからだう」
鉄「えぇ、そう?じゃあ私のおかげってこと〜?」
ニッケル「そう…かもな。まぁ、一部は僕もやったけど」
鉄「じゃあ私達二人のおかげだ〜」
ケイ素「…あぁ、そうそう。」
ケイ素「例の件、あとで」
ゲルマニウム「了解。13時でいい?」
ケイ素「嗚呼」
炭素「これをこの構成に使うなら、破綻しない?」
ホウ素「そこで、これがでてくるってワケ。」
ホウ素「ほら、こうすればどこも破綻しないでしょ」
炭素「…本当だ。あぁあと、超ウラン元素についてなんだが____」
…待て。
待て。
待て。
情報量。
どこからいけばいいんだ、これ。
まずニッケルと鉄。
確かお前らも銅の推しcpだった気がする…
私のおかげってこと?から二人のおかげって…
なんなんですか!?!?!?(爆散)
Huh〜〜〜〜????
というか二人で共同作業ってこと!?!?
つまり実質デートってこと!?!?!?(※違う※)
あとケイ素とゲルマニウム!!!
お前らも銅の推しcpだったよな!?!?
何あのゲルマニウムの言われなくても全て分かってますよの雰囲気!??
幼馴染!?!?幼馴染なのか!?!?
幼馴染特有の感覚なのか!?!?
例の件で伝わるって何?????漫画でしか見たことないんだが???????
Huh〜〜〜〜〜?
炭素とホウ素とか銅から聞いたことないんだけど!?!?
そもそもオレも考えてなかったわ!!!ホウ素関連は想定してなかった!!!
炭素は酸素だと思ってた!!!!
いやでも性質的に見ればダイヤモンドの次に硬いのが炭化ホウ素だっけ…?
え、あの二人あんなに仲良かった…?
いやビジネスなんだろうけど…
いやそれ以前に会話が難しすぎてオレからしたらなんもわかんないけど。
あれですか???二人の世界ってやつ???
Huh〜〜〜〜〜〜????なにそのエモのすぎる概念。
もう全員付き合えよ!!!!!(叫び)
あああああああ!!!!!(雄叫び)
気づけば昼休み。
精神的に削られすぎて、
オレは半ば逃げるように食堂へ向かった。
……向かったのが、運の尽きだった。
フッ素「さーんそっ!!休憩入ったよ〜」
酸素「おぉ、お疲れ。午前中の訓練、どうだった?」
フッ素「えぇ〜?ん〜…」
フッ素「ヨウ素がちょっとサボちゃったから爪剥ぎ取りかけたけど、そのくらいかなぁ」
酸素「相変わらず怖いことするぅ〜〜!!」
フッ素「えぇ〜?そんなことないよぉ、そうでもしないと酸素たちのこと守れないし…」
Huh〜〜〜〜〜〜〜??????
なんですかあの距離(真顔)。
ハロゲン組とか普通に怖すぎてcpにするのも怖かったけど、え???
…こんな尊かったんだ…(尊死)
いやそんなことよりちょっとまて。
距離感。
さっきから距離感おかしいだろお前ら。
何あの距離。あーんでもする恋人の距離か????
というか酸素たちのこと守れないって…
何その第一に酸素のこと考えてそうな発言!?!?
Huh〜〜〜〜〜???こんなとこでもいちゃつくなよけしからん。
もっとやれ。
…とはいえヨウ素の件に触れてあげろよオレ、可哀想だろ…()
フッ素「ねぇねぇ酸素、これ美味しそうだね!一口ちょーだいっ」
酸素「んー、おけおけ。このフォーク使わんから使って」
酸素「一口で足りなかったら全然食っていいから」
フッ素「えぇ、ほんと?そう言われたら全部食べちゃうけど…」
酸素「別にいいって。ってか、あたしらのためにきつい訓練してんだしさぁ、そんなことで怒んないって」
フッ素「ほんと?嬉しいなぁ〜、じゃ遠慮なく!!」
〜ここがイケないポイント!!!〜
・フッ素の『一口頂戴』発言
・↑いかに相手と親密かが分かる!!!
・酸素の『別に一口じゃなくて良い』発言
・↑実質奢り。
・普段のハロゲン組をちゃんと見てるからこそ言える(であろう)『そんなことで怒んない』発言
・そして言われたら遠慮ないフッ素
・↑気をつかわない仲ってことが容易にわかる!!!
これでただの友達って何事だよ(真顔)。
あ〜〜でもなんかこのcp好きなやつ、
絶対少ない!!!
銅に相談したらなんかそういう作家紹介してくれるかな…(小声)
昼食を食う前から悶えているオレの耳に、
またしても別の会話が聞こえた。
ナトリウム「ねね、式の場所決まった?」
………ん?????
塩素「ブッ…そ、そういうことをね、こんな公の場でね…」
ナトリウム「えぇ、いいじゃない。付き合ったんだし、休憩中でしょ〜?」
塩素「あ、あのねぇ…!!///」
…え、この雰囲気あれだよね??
結婚式の話だよな??????
そういえば…と思い手を見てみたら、
二人とも左薬指に指輪。
しかもおんなじ奴。
はい、確定。
ようやく公式cp、入りました(昇天)。
塩素「だ、大体、私はハロゲン部隊だから、ほんとはこっちにこれないのであって…!!」
ナトリウム「え?そうなの?じゃあ私に会いたくて来てるんだ!!好き!!!!」
塩素「〜〜〜ッ!!!///あ、貴方ねぇ…!!!///」
あぁ、無理。
尊さの過剰摂取で、オレ、死ぬ。
…っていかんいかん!!!
国民代表の死因が幹部サマcpの尊さとかないから!!!
塩(cp名)の挙式見るまでは逝けないから!!!
金銀の挙式見るまでは逝けないから!!!
白金水銀の挙式見るまでは逝けねぇから!!!!!(叫び)
あああああああ段々目的がcpになっとるぅうううああああ…↓↓↓
亜鉛「…駄目だ、オレは………」
この世の心理と全ての出会いを察したオレは、
暫く机に突っ伏した。
夕方。
ようやく仕事が一区切りついた頃、
オレは人気の少ない資料室に逃げ込んだ。
……逃げ込んだ、という表現が一番正しい。
亜鉛「……はぁ……」
椅子に座った瞬間、
今日見た光景がフラッシュバックする。
フッ化酸素の 距離。
塩夫婦(まだ未婚)の指輪。
水のあの空気。
ニッケルと鉄の並び。
ケイ素とゲルマニウムの歩幅。
亜鉛「……世界がオレを殺しに来てる」
その時。
スマホが震えた。
【銅】「生きてる?職場きたんだろ?」
亜鉛「…………」
既読をつけてから、数秒考え、
オレは短く返した。
「生きてはいる」
すぐに返信が来る。
【銅】「何体見た?」
亜鉛「聞くな」
【銅】「把握」
【銅】「昼は?」
「フッ化酸素と、塩」
【銅】「重ねるなよ」
【銅】「それは死ぬわ」
【銅】「というかフッ化酸素って、随分マイナーだなお前」
即答だった。
お前、分かりすぎだろ。
「なぁ銅……」
「これ、オレがおかしいのか?」
「それとも世界がおかしいのか?」
少し間が空いた。
【銅】「世界は前からああだぞ」
【銅】「お前が今まで見てなかっただけ」
「じゃあなんでオレだけ今……」
【銅】「視点が変わったからだな」
その一文で、
何かがすとん、と落ちた気がした。
【銅】「公式も非公式も」
【銅】「距離感も温度も」
【銅】「全部前からそこにあった」
【銅】「お前が今」
【銅】「それを見る側に回っただけ」
亜鉛「……最悪じゃね?」
【銅】「最高だろ」
即答。
「お前ほんと……」
「人の心とかないの?」
【銅】「あるから推してる」
……駄目だこいつ。
「……じゃあさ」
「これからどうすりゃいいんだよ」
「国民代表だぞオレ」
「身内のcpで情緒乱してる場合じゃ……」
【銅】「仕事は仕事」
【銅】「萌えは萌え」
【銅】「混ぜなきゃ問題ない」
【銅】「あと」
【銅】「少しすれば慣れる」
「慣れるものかよ!?」
【銅】「案外慣れる」
【銅】「慣れた上で」
【銅】「また新しいcp踏む」
「地獄じゃねぇか!!!!」
【銅】「平和だろ?」
……確かに。
国は平和だ。
争いもない。
関係性も安定している。
壊れているのは、
オレの情緒だけ。
「……明日も仕事だよな」
【銅】「当然」
「……行くわ」
【銅】「いってら」
スマホを伏せて、
オレは深く息を吐いた。
椅子から立ち上がり、
オレはまた、
“何事もなかった顔”で廊下へ出た。