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🌷職業訓練とティアの過去
黒い炎の幻聴の空想力には創造性のかけらもないが、味方の人格の空想力は、穏やかだ。ティアは、それを活かして、職業訓練で羊毛フェルトでお菓子や動物を作ったり、ビーズでアクセサリーを作る。職業訓練では賃金が発生するので、ティアはそれらを販売することで得た賃金で、施設内の売店でお菓子やジュースなどを買うのが楽しみ。職業訓練は他にデータ入力の仕事もあり、タイピングも気が紛れるのでティアは好きだった。職業訓練で問題行動を起こしたことはない。黒い炎の幻聴だけが本当に厄介なものだったのだ。
7歳で幻聴が発症してからティアは普通の学校に通えず、児童精神科の先生と無理なく勉強してきた。先生は決して怒ることなくティアに勉強を教えてくれた。児童精神科の子供達の中には、行動障がいが本当に重度で行動によって表現することしかなく言葉の痛みに耐えられない子供達もいて、ティアはまだ言葉が通じるほうだった。先生は学問が人間を救うと信じて子供達に接していたが、児童精神科の子供達の多くはそれが通用しない子供達だったのだ。それでも先生は根気強く子供達に勉強を教えていた。治療は遊戯療法が中心で、先生はティアが描いた絵を褒めてくれて、ティアが箱庭で作った動物園の写真を撮ってくれた。ティアの心を知るために交換日記もしてくれた。子供の頃はティアの心の力によって楽しいことがたくさんあったので、交換日記には楽しい思い出が書かれている。ミリアは、夫からこの交換日記を託され、どうしてティアの行動が大人になるにつれて荒れたのかと心を痛めているのだった。ティアしか知らない秘密。(わたしは、行動でこれ以上心の力を引き出せば死んでしまう、子供の頃楽しいことしかしなかった代償、でも心の力の正しい使い方が良くわからなかった、みんなを幸せにするはずの心の力がみんなを今では傷つけようとしているわ、どうしてなのかわからない、わたしは心の力をコントロールできない)ティアはこれ以上どうすればいいのかわからなかった。
歯を磨いて、顔を洗って、身支度を整えたティア。髪には水色のリボンを結び、白いブラウスと水色のスカート。靴は水色のパンプス。
午前10時の職業訓練に向かう。