ワトリーたちは、警備室に急いで向かった。警備室の中では、
デイビスが新聞を読みながら椅子にもたれている。ワトリーが真剣な眼差しでデイビスに頼み込んだ。
「デイビス、防犯カメラの映像をもう一度見せてほしいのだ」
デイビスは少し驚いたが、すぐに快諾した。「ああ、いいよ。犯猫がわかったのかい?」
ワトリー「ルーカスという猫が怪しいのだ」
デイビス「そうかシオンさんのためにも頑張ってくれよ」
ワトリー「うん」
警備室の電話が鳴った。
デイビスが電話に出る「ああ、はい直ぐにいきます」
デイビス「ワトリー、ちょっと出てくるよ。3階の窓が割られたらしい」
ワトリー「窓が割られた?どうして3階のまどが!?」
ポテト「誰かが侵入したんじゃないの?!」
ポテト「デイビスさん、なにかあったらすぐに知らせてください」
デイビス「わかった、見てくる」
そう言って、警備室を後にした。
ポテトとワトリーはカメラ映像を見直した。
「この映像、何度も見てるけど…何も変わってないな。ルーカス、メイクさん、サリー
そしてシオンが出てきて、廊下の窓を閉めた。
その後、エイミーが楽屋に入って…慌てて出て行った」
ポテト「でもどうやってカメラに映らないで楽屋に入ったの、まさか
本当に透明マントとか言わないよね?」
ワトリーは真剣な表情で言った。「そうなのだ、犯猫はカメラには映らない透明マントを被っていたのだ。」
ポテトは目を丸くし、驚きと半信半疑の表情を浮かべた。「だからそれ、冗談で僕が言ったんだよ。」
ワトリーは無表情のまま、ポテトに画面を指さした。「この映像をよく見て。」
エイミーがシオンの楽屋から出て行く様子を、ワトリーとポテトは防犯カメラの映像で確認していた。
「ポテト、この映像をよく見てほしいのだ。」ワトリーが指差した。
「エイミーは楽屋から出て花瓶にぶつかって割ってしまった。
でもこの防犯カメラにはその花瓶はどこにも映ってないのだ」
ポテトは画面を凝視し、首を傾げた。「花瓶も花も映ってないね。」
ワトリーはうなずきながら。「でもジムはここに青いバラが入った花瓶が置いてあったと言ってるのだ。」
「……なんで映ってないのかな?」ポテトの困惑顔が浮かぶ。
ワトリーは現在の映像に切り替え、廊下の様子を映した。「今の廊下の映像を見てみるのだ。」
ポテトは画面を見て驚いた。「あれ?さっき観葉植物が置いてあった台、鉢だけになってるよ!」
ワトリーが頷く。「つまり、このカメラは緑色と青が映らない仕掛けになっているのだ。」
ポテトの目が見開かれる。「な、なんだって!?」
「これはにゃんチューバーたちがよく使う、クロマキー効果を利用したトリックなのだ。」
「クロマキー効果だと!?(何それ…)」ポテトは理解が追いつかない様子でワトリーを見つめた。
ワトリーは画面を指さして説明を続けた。「犯猫は全身緑色の服を着ていたはずなのだ。
そして、この花瓶に生けてあった青いバラも、同じくクロマキーでカメラには映らなかった。」
「そ、そんな……」ポテトが口を押さえた。
「ってことは、犯猫はカメラに映らずにシオンさんの楽屋に入ったってこと!?」
ワトリーが真剣な表情でうなずいた。「その通りなのだ。」
ポテトが疑問を口にする。「でもどうやって?ドアをすり抜けるなんて無理だよ!」
「シオンの楽屋が濡れていたというのが鍵なのだ」ワトリーは自信満々に答えた
ポテト「なるほど!つまり・・・どうゆうこと?」
ワトリー「シオンが殺害された日は雨が降っていた」
ポテト「そうだったね。」
シオンが殺害される数分前。
シオンの楽屋のドアが静かにノックされた。
「コンコン。」
「はーい!」シオンの声が楽屋から聞こえ、彼女はドアを開けた。
そこに立っていたのは緑のレインコートをまとった猫だった。
頭にはフードを深く被り、両手には緑色の工具箱を抱えている。
「こんにちは、シオンさん。楽屋が雨漏りしてるみたいなので、状況を見に来ました。」
「えっと・・あれ床が濡れてる?」シオンが不思議そうに楽屋の中を見た。訪問者はすぐに口を挟んだ。
「すみませんけど、そこの廊下の窓を閉めてもらえますか?手が塞がっていて……」
訪問者は工具箱を軽く持ち上げて見せた。
「わかりました。」シオンは自然な仕草で廊下に出て、窓を閉めに向かった。
その背後で、緑のレインコートを着た猫は、シオンの楽屋に一歩足を踏み入れる。
その姿は、廊下に設置された防犯カメラには映らない。
クロマキー合成の仕掛けによって、緑色のレインコートと工具箱はカメラ映像から消されていたのだ。
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