どーも。wakaです。自分で書いていても、某金髪と銀髪凄く気持ち悪いですね。申し訳ありません‼やはり前・中・後編に分けたいと思います‼事後の事も後編に入れます‼
それでは、どうぞ‼
ミオside
ミ「……ぅ」
声を漏らして、私は目を覚ました。このベッド寝心地は十分だけど、ここにあいつらが寝ていたと思うと気持ち悪い。今すぐにでも消毒液全身にかけたいくらいだ。しかし、このままではいられない。
私のすぐ横には、私と同じく気絶させられて全身を縛られ、ベッドに転がされたティ―ゼちゃんとロニエちゃんがいる。今すぐにでも縄を解いて逃げてもらいたいけど、私も縄で縛られているからどうすることもできない。さらに、ここで起き上がると多分向こうで話しているあいつらに気付かれるから、迂闊に行動できない。
大丈夫、ユージオはきっとくる。だから、それまでの私の役目は、何かあったらティ―ゼちゃん達を守る事だ。
そう決意して、私は目を閉じた。
ユージオside
上級修剣士が懲罰権を行使した場合、命令は3種類ある。
1つ目は、学院敷地の清掃。
2つ目は、木剣を用いた修練。
3つ目は、修剣士自身との立ち合い。
しかし、全ての懲罰において上級法を優先する。
ここでいう上級法は帝国基本法と禁忌目録であり、禁忌目録で「他人の天命を減らしてはいけない」と記されているため、ライオス達がティ―ゼ達に肉体的な危害を加えることは不可能だ。そうだと頭では分かっているのに、不安は去ろうとしない。
黒髪の相棒と、ライオス達の部屋の前に辿り着く。僕は乱暴に扉を叩いた。
中から出て来たのは、頬を紅潮させ上機嫌なウンベールだった。どぎつい香水のような匂いの中に、微かに酒の匂いがする。
ウ「おやおや‼ずいぶん遅いお出ましだな‼さあどうぞ入ってくれたまえよ!」
まるで僕達がここに来ることを分かっていたような言い方に、いっそう焦りを滲ませて部屋に踏み入れた。部屋のランプはかなり絞られていて、居間もかなり薄暗い。辺りを見回す限り、ミオ達の姿は見られない。
中央の長椅子には、薄手の長衣を羽織ったライオスが座っていた。ウンベールもあとからどかっと足を組んで座る。
ウ「そんなところに突っ立ってないで座ったらどうかな、ユージオ殿、キリト殿。ちょうど西帝国「いえ、酒は遠慮しておきます。それよりも、ウンベール殿」なんだね?キリト殿」
ウンベールの言葉に被せて、キリトが一歩進み、言う。自分の言葉を切られてもなお、ウンベールは嫌な笑みを浮かべている。一歩前にいるキリトの表情は伺えない。
キ「つかぬ事を伺いますが、この部屋に俺の傍付きのロニエ・アラベル初等練士と、ユージオの傍付きのティ―ゼ・シュトリーネン初等練士、そしてミオ・マルウィス上級修剣士が訪ねては参りませんでしたか?」
キリトの強い口調に応じたのは、ずっと長椅子に座り酒を煽っていたライオスだった。
ラ「おや、キリト殿もユージオ殿も、お顔の色が優れないようだ。気付けに一杯、どうだい?」
ユ「お気遣い無用。キリトの質問に答えて頂けませんか」
青薔薇の剣の鞘を握っている左手に、じわりと汗が滲む。ライオスは、僕達を眺めまわすと、グラスに口を付けた。
ラ「ふぅむ。…ミオ殿は即知していたが、あの2人の初等練士はキリト殿とユージオ殿の傍付きであったか」
ライオスのゆっくりとした口調に、さらに焦りを感じる。
ラ「全生徒の頂点に立つ主席、及び次席の上級修剣士に突然の面会を求めるとは、実に勇敢な初等練士たちだな。さすがはお2人の傍付きだ。ミオ殿にもお2人の性格が移ってしまったのかもしれない。しかし、気を付けねばならないよ。威勢の良さは時に非礼となり、不敬ともなる。そうは思わないか、キリト修剣士殿、ユージオ修剣士殿…いや、これは私も失言したか。平民でのお2人に貴族の礼儀作法を問うても詮無いことよな。ふふ、ふふふ…」
今の言葉で、確定した。ミオ達はここに来たのだ。
ユ「ミオとティ―ゼ、ロニエはどこにいるのです」
今度応じたのは、ライオスではなくグラスに葡萄酒を注いでいたウンベールだった。
ウ「…キリト殿、ユージオ殿。お2人には少々荷が重かったのではないかな?辺境で木こりなぞしていた輩が、最下級とはいえ、爵家の子女を指導しようなどと?くくく、そうとも…ユージオ殿の指導が足りんから。あの2人は四等爵家長子のこの私に礼の足りぬ振る舞いに及んだのだ。ならば、己が崇高なる義務を果たさねばならぬ。下級爵士の規律を正すのは、上級爵士たるものの務めだからな。元々はあの2人だけのつもりであったが、おまけがいてもさほど変わらぬ」
キ「ウンベール殿…‼いったい……」
今まで聞いた事が無い程の怒りに満ちた声でキリトが言うと、ライオスとウンベールは揃って腰を上げ、東側へ向かった。あの2人というのはティ―ゼとロニエの事で、おまけというのは、偶然付いて来たミオのことだろう。2年も共に切磋琢磨してきたもう1人の相棒をおまけ呼ばわりされる事に憤りを感じるが、今はそれよりも目の前の事に集中する。
ウ「……それでは、ユージオ殿に、本日最高の演目を楽しんで頂きましょうか。ライオス殿」
ラ「そうだな、ウンベール。観客が1人足りないが、こちらも待ち飽きた。なんせ、ユージオ殿たちと共に来ると思っていたからね」
ユ「…演目……?待ち飽きた……?」
僕は呆然と言葉を繰り返す。ウンベールたちが西側の寝室へと歩いていくのを、キリトと覚束ない足取りでついていく。
ウンベールが勢いよく引き開けた扉の奥は、濃密な闇と煙で満たされていた。その奥に進んでいくライオスとウンベールが、闇に消えていく。
思わず顔を背けそうになるほどのにおいと雰囲気の中。そこに、かすかに漂う清冽な匂いに気が付いた。記憶にある、ソルベの葉によく似た匂い。恐らく、キリトも気付いたのだろう。2人で絶望の視線を交え、再び闇に目を向ける。
ティ―ゼの制服から漂っていた匂いだった。
ユ「……ティ―ゼ…ロニエ…‼……ミオッ‼」
キ「まさか……」
僕とキリトが寝室に駆け込んだ途端、ランプに火が灯された。
目に飛び込んできたのは、天蓋付きのベッドに赤い縄で縛られ、寝かされている――いや、転がされているミオ達だった。ティ―ゼとロニエの赤と茶色の瞳は虚空を漂っており、ミオは完全に気絶させられたのか、目を閉じている。ベッドの枕元には、ミオがいつも綺麗に磨いていた、思い出深い闇の国の剣が鞘に納められたまま立て掛けられていた。
ユ「な……ど、どうして…」
呆然と呟く僕。キリトが、3人の縄を解こうとベッドに駆け寄ろうとした時、ライオスが鋭く叫んだ。
ラ「動かないでいただこう‼」
キリトも、キリトに付いていこうとした僕も、その言葉でぴたりと足を止める。
キ「…いったい、これはどういうことですライオス殿‼なぜ俺とユージオの傍付きが、あのような扱いを…」
ラ「これはやむを得ない処置なのだよ、キリト殿」
ユ「やむを…得な、い……?」
ラ「然り。ミオ殿、シュトリーネン初等練士、アラベル初等練士は、今宵この部屋を面会の伺いもなく訪れ、そのうえ我らに甚だしい非礼を働いたのだ」
キ「非礼とは……」
ニヤニヤしたウンベールが、粘着質な口調で言う。
ウ「それはもう、とんでもない口ざまだったぞ。貴殿にも聞かせてやりたかったよ…あの下級貴族の娘どもは、こともあろうに、四等爵士のこの私が自分の傍付きを理由なく虐げ、私欲を満たしているなどと言ってくれたのだ。次席上級修剣士として、フレニーカを正しく導こうとしているこの私をだぞ?…いかに私が寛大でも、これほどの逸礼行為は流石に見過ごせなくてな」
ウンベールの言葉に続けてライオスも口を開いた。
ラ「それだけではないのだよ、キリト殿、ユージオ殿。あの3人は、ウンベールと同室の私にも責任があるなどと道理の通らぬことを言ってくれてね。意味が分からぬと答えたら、いや驚いたよ…六等爵家の娘ごときに『貴族の誇りはないのですか』などと言われ、ついにはその時までずっと静かにしていたミオ殿が『アンタ、本当に貴族?それでよく貴族が務まるね』と言おうとは‼流石に二等爵家の子女とはいえ、言いすぎなのではないかと思いましてね。いやぁ、参った、参った」
そこでウンベールとライオスは、顔を見合わせ忍び笑いを漏らした。もちろん、最初からミオが攻撃的な発言をしていたわけではないのだろう。最初は、ティ―ゼ達が言葉を選び、問い詰めていたのだろうが、ライオス達の挑発的な言葉に、ミオの限界が頂点に達し、逸礼行為ともとらえられるだけの言葉を発してしまったに違いない。
ユ「……ですが、ライオス殿。仮にそのようなことがあったとしても…縄で縛り上げ、寝室に閉じ込めるなど、修剣士懲罰権を甚だしく逸脱した行いでしょう…!」
僕が感情を必死に抑えながら言葉を絞り出すと、ライオスは目を細め呟いた。
ラ「修剣士懲罰権?」
ラ「…ほう、ユージオ殿は勘違いをしているのか。学院則には、全ての懲罰において上級法を優先すると記されているのをお忘れかな?」
ユ「…え…?」
ライオスは嗜虐的な笑みを浮かべた。
ラ「上級法とは帝国基本法、そして禁忌目録のことを指す。ゆえに、私はあの娘たちの天命を減らすことは出来ない。ああ、安心してくれたまえ、娘たちを縛っている縄は、どれだけきつく縛っても傷を負わせない優れものだ」
ラ「まだ気付かないのかな?ユージオ殿。そう、上級法が優先されるという事は、修剣士懲罰権ではなく貴族裁決権を行使できるという事なのだよ‼」
ユージオを何度目か分からない絶望が襲った。
ミオside
ラ「まだ気付かないのかな?ユージオ殿。そう、上級法が優先されるという事は、修剣士懲罰権ではなく貴族裁決権を行使できるという事なのだよ‼」
その大きな声で、私は目覚めた。目覚めたといっても、目は開けていないが。そうか。ユージオが来たんだ。にしても、この縄きついな。
ラ「裁決権こそ、上級貴族最大の特権だ‼――…」
奥で、ライオスとユージオが何か言っているが、私はそれよりも焦燥に駆られていた。これはまずい。時々キリトの声も聞こえるから、キリトも来てくれたと分かる。そのおかげで、少しは不安が解消されたが、あと少しでライオス達がこっちにくる。
その『あと少し』は数分もしないでやってきた。
誰かがベッドに乗る気配。それと共に近づいてくるライオス達の甲高い笑い声。少し目を開けると、ティ―ゼちゃんの上にまたがるライオスをティ―ゼちゃんは捉え、震えた声で逃れようとしていた。さらに奥ではロニエちゃんも頬を涙で濡らしていた。
そうだ。私のやるべきことは、ティ―ゼちゃん達を守る事だ。この世界で一番強いものは、気持ち、意志。神なんていないけど、私なら、できるはず――。
ア「ミオは、『はず』とか『多分』とかが多い。だから、気持ちが確立しない」
その時、昔アーリン先輩に言われたことが耳に蘇って来た。そうですよね、先輩。これじゃあ頼りないですよね。
私なら、できる。やるんだ。
ミ「くっ、う」
私は腕を縛っている縄を力任せに引きちぎろうとした。しかし、全く解ける気配はない。キリトは、足を進めようとしている。その時、隣でティ―ゼちゃんのか細い声が私の耳に届いた。
ティ「…これは、私が受けるべき罰なんです」
キリトは、ティ―ゼの言葉に、足を止めた。ユージオはきっと右目の封印が作用しているのだろう。全く動かない。いや、動けない。
私が、やらなきゃ。
ミオ・マルウィス(19歳)
少女たちの為に、彼女は立ち上がる。ふいに先輩の声が聞こえてきて、気持ちを固める。ライオスとウンベールにこれまで以上に殺意が湧いた人その1。
キリト(19歳)
原作ではこの時点でいなかった。封印が無いとはいえ、ティ―ゼの言葉に思わず足を止める。ライオスとウンベールにこれまで以上に殺意が湧いた人その2。
ユージオ(19歳)
封印が作用し右目が痛い。ライオスとウンベールにこれまで以上に殺意が湧いた人その3。
コメント
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ヤバいヤバいヤバい…….読んでいて楽しい、面白いなどの感情が………続きを、早く、読みたいです!頑張って下さい!!