TellerNovel

テラーノベル

アプリでサクサク楽しめる

テラーノベル(Teller Novel)

タイトル、作家名、タグで検索

ストーリーを書く

シェアするシェアする
報告する

和希「疲れたぁぁ、、、」

体育のテストが終わって、今は10分休み。テストの結果は、尊が18位、並走していた俺が19位だった。クラスの人数が40人弱なので丁度真ん中くらいだ。

そんなことを思いながら、体力を使い果たし、寝ていた俺の前に、スポーツドリンクのペットボトルが置かれた。

「お疲れ様っ!ほら!差し入れ!」

その隣では、満面の笑みの尊が座っていた。

和希「おう、さんきゅ!」

ボトルのキャップを開けて、スポドリを勢いよく飲んだ。そんな俺を見て、尊がくすりと笑って言った。

「なあ和希。今日お前の家行って良い?」

和希「、、、! 何で?」

「いやー?なんか。久々に行きたいなーって」

まったく、尊はいつもこうだ。自由奔放でやりたいように過ごす。でも俺は、予期せぬラッキーに胸を躍らせた。

和希「ふーん。まぁ行けると思うよ。」

「よっしゃ!さんきゅ!和希!」

キラキラした顔で笑う尊。楽しそうな笑顔を見ていると、何だか俺も嬉しくなってくるようだった。


和希「ただいまー」

「お邪魔しまーす」

俺の声に合わせて家に入ってくる尊。こんなの何年ぶりだろうか。

「おかえりー!尊も来たんか!いらっしゃーい!」

「お母さん!お久しぶりっす!相変わらずお綺麗ですね!まだまだ現役というか、いつ見ても昔と変わらないというか、街中で見たら————」

始まった。尊のお世辞大会。うちに来るといつもこうだ。何だか無性に腹が立って、俺は尊の手を引いた。

「うおっ」

和希「部屋にいるから。なんかあったら呼んで。」

そうとだけ言って、半ば無理矢理に尊を部屋に連れて行った。

連れてきたは良いものの、別にすることが決まっているわけではない。2人することなく布団に寝転がり、くだらない話をして笑った。


午後6時ごろ、尊が帰ろうとしていると、尊のポケットの携帯が、大きな音を立ててなった。

「悪い、母親だ。」

尊は嫌そうな顔をしながら電話に出た。

「うん、うん、、、はっ!?」

急に声を荒げた尊は、電話を切り、困ったような顔で笑った。

「俺の親、今から友達と飲み会だと。鍵持ってねーし、どうせあいつも帰ってくんの12時回るだろ、、、」

イライラしたような口調で頭を掻く尊に、ちょうど部屋まで来ていたお母さんが言った。

お母さん「なら尊、せっかくだし泊まっていく?」

お母さんが言った何気ない言葉に、俺は色んな意味で血の気が引いた。

「まじで!ありがとうございます!」



それから俺たちは、飯食って、ゲームして、風呂、、、は流石に別々に入った。尊は不満げだったが、一緒に入ったら俺が理性を保てるか危ういところだった。

お母さん「あんたたちー!もう11時だからねー!早く寝なさいよー!

2階から親の大声が響いてくる。こういう時は、さっさと寝た方がいいに決まっている。

和希「はーい!っと、じゃあ寝るか。」

「へへっ。なんか修学旅行みたいだな。」

いつものように、見慣れたイタズラっぽい顔をして尊が笑った。

部屋の電気を消して、尊は布団、俺はベッドに潜り込んだ。

数十分後

寝つきの悪い俺は、なかなか眠りにつけずにいた。 尊は気持ちよさそうな顔で、寝息を立てていた。

和希(綺麗な寝顔だな、、、)

このままいてもなかなか寝られない。俺はこっそり、尊の布団に体を忍ばせた。

顔と顔が近い。息がかかる。自分の顔が熱を帯びているのが自分でもわかる。こんな距離で理性を保て、という方が難しいに決まっている。

和希(少しだけ、、、ほんの少しだけ、、、)

頭の中でずっと繰り返しながら、俺は尊の頬に唇を近づけて——我に返った。

和希(っ!あっぶねえ、、、)

顔を真っ赤にしながらいそいそとベットに戻ろうとすると、腕のあたりをぐっと掴まれた。

「何だよ。してくれねーの?」

俺は心臓が止まるかと思った。

和希「ばっ—、起きてるなら言えよっ!」

ニヤニヤと笑う尊に腹が立つ。

「いやー、面白いなーと思って? それで、話したいことがあるんだろ?」

俺の心臓が大きく音を立てた。尊は相手の顔をよく見ている。ダメだとわかっていても、自分の気持ちに歯止めが効かなかった。

和希「、、、俺。尊のことが、、、」

言いかけて止まった。

和希「やっぱりいい。寝る。」

「ちょっと!待てよ——。」

その後の尊の声は聞こえなかった。

いつもは全然寝れないくせに、今日その日に限っては、意識が沈むように眠った。

この作品はいかがでしたか?

200

コメント

0

👏 最初のコメントを書いて作者に喜んでもらおう!

チャット小説はテラーノベルアプリをインストール
テラーノベルのスクリーンショット
テラーノベル

電車の中でも寝る前のベッドの中でもサクサク快適に。
もっと読みたい!がどんどんみつかる。
「読んで」「書いて」毎日が楽しくなる小説アプリをダウンロードしよう。

Apple StoreGoogle Play Store
本棚

ホーム

本棚

検索

ストーリーを書く
本棚

通知

本棚

本棚