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誓聖

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誓聖

11 - アストリアへの扉、試験の刻

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2025年03月16日

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王都グランベルトへと足を踏み入れると、陽の光を受けて輝く磨き上げられた石畳が広がっていた。整然と並ぶ建物はどれも優雅な装飾が施され、通りには香水の匂いを纏った貴族たちが談笑しながら歩いている。


しかし、ただ格式張っているだけではない。広場では露店が軒を連ね、焼き菓子の甘い香りや革製品の匂いが漂い、商人たちの威勢のいい声が響いていた。


「すげぇ! なんだこれ!?」


カイルは目を輝かせながら、石畳を跳ねるように駆け出し、店先へ飛びつくように身を乗り出した。


「なぁなぁ、アレン!これ何の店だ?」


(こんな所にお店なんてあったのか。)


興奮を抑えきれないのか、アレンの袖をぐいぐいと引っ張る。


(アイルスリンドとはまた違った雰囲気だけど、どこか似たものを感じる。)


アレンは懐かしさと同時に新鮮さも感じていた。


そこを抜けると学園都市アストリアが見えてくる。


学園の門をくぐると、すでに多くの受験者達が試験会場へと集まっていた。


「すっげぇな、こんなにいるのか……!」


「まぁ、それだけ名門ってことだね。」


試験は【筆記・魔法・武技 】の三つに分かれており、1日かけて行われる。


〜1次試験は筆記試験〜


「試験開始!」


監督官の声が響いた瞬間、会場が静まり返る。

紙をめくる音、インクを走らせる音、試験官が床を踏みしめる靴音。沈黙が耳に痛いほどだった。


(……簡単だな。)


ギルドでアリアに鍛えられたおかげで、問題はすんなり解ける。ペンを走らせながらふと隣を見ると――


(……カイル?)


彼の顔がわずかに引きつっている。普段は勢いでなんとかする彼が、今は完全に手が止まっていた。


(まずいな……焦ってる。)


試験中に声をかけるわけにもいかない。僕は再び自分の問題に集中しようとしたが――


カイルは眉間に皺を寄せ、唇を噛みしめていた。ペンを持つ指がかすかに震えている。


「…えっと」


小さく息を呑む気配。カイルの視線は試験用紙を彷徨っている。焦りが伝わってくる。


その時、カイルの目がわずかに見開かれた。


(あれは……思い出した顔か。)


次の瞬間、彼はペンを握り直し、迷いなく問題を解き始める。


「よし……師匠に感謝だ!」


小さく口が動いたが、声にはなっていなかった。どうやら、ギリギリのところで踏ん張れたらしい。


僕は軽く息を吐き、再び自分の答案に向き直った。


(カイルなら大丈夫だな。)


カイルはギリギリのところで踏ん張り、無事に筆記試験を突破した。


〜2次試験は魔法試験〜


カイルは試験官たちを見渡し、口元を吊り上げた。


「よっしゃ、派手にぶちかましてやる!」


槍の先に灯った朱い炎は、まるで生き物のように揺らめいた。熱が腕を這い上がり、皮膚の奥から血が沸き立つ感覚。


「冥府の炎よ、弧を描きて滅せ!【ヘルファイア・クレセント!】」


轟音とともに、燃え盛る炎が唸りを上げながら弧を描いた。


ゴォォォッ!!

熱波が押し寄せて、肌がじりじりと焼けそうだ。


炎の軌跡が空を裂き、標的を呑み込む。爆ぜる炎の音が鼓膜を打ち、熱気が試験会場を揺るがした。


「な、なんだこの火力は……!」


試験官が思わず一歩後退する。


「へへっ、まぁこんなもんよ!」


カイルの魔法が炸裂し、焼け焦げた木片が舞った。周囲の受験者たちが息を呑む中、アレンは拳を握りしめた。


(やっぱり……すごいな、カイル。)


熱波が肌を撫でる。けれど、それ以上に胸の奥に冷たい感覚が広がった。試験官が次の受験者を呼ぶ声が響く。


「次、アレン・ヴァミリオン!」


静寂。


受験者たちがざわつく。


(そうだ、僕には魔法が使えない──)


恐怖で震える中。

ふと、アリアの言葉を思い出した。


〜〜〜〜


「私はあなたを誇りに思うわ。」


柔らかな陽だまりの中、アリア・ヴァミリオンの優しい声が響く。赤髪が風に揺れ、母のような眼差しでアレンを見つめていた。


「アレン、あなたに——ヴァミリオンの名を授けようと思うの。どうかしら?」


「……僕に?」


驚きと戸惑い。けれど、アリアの微笑みは揺るがない。


「そうよ。アレンだけでは何かと不便だし、なにより…あなたがこの先どんな未来を選ぼうと、その未来が幸福であることを願うわ。だから、この名を胸に刻んで——あなたの信じる道を進みなさい。」


アレンはそっと拳を握る。


「……ありがとう、師匠。」


——その名に誓って、強くなる。


〜〜〜〜


アレンは一歩踏み出しながら、覚悟を決めたように深く息を吸い込んだ。


(この名に恥じぬよう、ただ前を向いて進むんだけだ!)


試験場のざわめきが遠のく。ただ、自分の鼓動だけが聞こえる。


試験官が眉をひそめ、確認するように言う。


「……開始しなさい」


だが、アレンは動かない。ただ、まっすぐ試験官を見つめた。


「僕は、魔法を使えません」


試験官の目がわずかに細められる。周囲の受験者たちは息を呑み、好奇の視線を向けてきた。


「えっ、魔法が使えないって……?」

「それでどうやって試験を……?」


ざわめきが広がる。だが、アレンはそれを振り払うように、はっきりとした声で続けた。


「でも、僕には剣があります」


アレンは静かに指輪に触れた。すると、柔らかな星の煌めきとともに、手の中に剣が現れる。


「剣技だけでも、やれることはあるはずです」


試験官はアレンをじっと見つめた後、ゆっくりと頷いた。


「──いいだろう。ならば、次に進め」


〜最終試験は武技試験〜


アレンは模擬戦の相手として、武器を構えた試験官と対峙した。


「ふむ、お前は魔法が使えないようだが……どこまでやれるか、見せてもらおう。」


「はい。」


アレンは剣を構え、神経を研ぎ澄ます。


「行きます!」


ピンッーー


試験官の耳が微かに鳴った。踏み込んだ瞬間、地面が僅かに抉れ、アレンの姿がかき消える。


「なっ……!?」


刃が空を裂き、試験官の顔が驚愕に歪む。

アレンの目には全てがスローモーションのように見えた。


(……よし、いける!)


シュバッ!


反応する間もなく、剣の切っ先が試験官を捉える。


カキンッ!


「……速い!」


刃が空気を切り裂く音が耳に響くと、試験官の剣が辛うじてアレンの攻撃を防いだ。

だがその反動で、試験官の腕が痺れたのがわかる。アレンは迷わず、さらに踏み込みーー。


「はっ!」


一瞬の間に剣を振り抜いた。


カキンッ!…カランカランッ


アレンの剣が試験官の剣を弾き、無防備な首に届く寸前で止まった。


「素晴らしい身のこなしだ……これほどの速さと技術を持つとは。」


周囲の受験者たちがざわつく中、アレンは静かに剣を収めた。


試験終了後、受験者たちは広間に集められた。


(この試験結果で、自分の進む道が決まる。)

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