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「ねぇ、君」
呼び止められたとき
その声に棘はなかった
「大丈夫?」
振り向くと隊長が立っていた
いつもと同じ明るい笑顔
「さっきの件、聞いた」
周囲を気にするように一度だけ視線を流す
「君は悪くない
完全に、こっちの管理ミスや」
はっきり言い切った
迷いはなさそうだ
「無能力者やから疑われた、
それは絶対正しくない」
胸の奥が少しだけ揺れる
「この城は能力を基準にしとる
けどそれで人の価値が決まるわけじゃない」
誰にでも向けるあの笑顔のまま
「君はちゃんと仕事をしとる
それは事実や」
初めて
“評価”に近い言葉を向けられた
「不当な扱いは俺が止める」
短く でも強い言葉
それは約束だった
「ただ、、、」
一拍、置く
「全部を変えることはできへんかもしれん」
それでも、目は逸らさなかった
「それでも味方でいる
それはだけは俺もできる」
逃げ道を用意しない優しさ
同情じゃない、対等な言葉
「無理やと思ったら、俺に言って」
最後に、少し照れたように笑う
「一人で抱えんでな」
向日葵みたいな笑顔だった
背中を向けたあと
胸の奥に残ったのは、温度だった
でも_
城の空気は、何も変わらない
味方は、確かにいた
それでも、
世界はまだこちらを向いていない