明朝に最終防衛線を突破されると予想されていたが、補給部隊であるオーケストラに集中攻撃することに変更。A組の情報が項を制し進行速度を遅くすることに成功した。
「北条を奪還したら撤退するんだ、いいな!!」相澤先生が啖呵を切り、踊り子班とオーケストラ班に分かれて北条謳華奪還作戦開始。
「まじで無理ゲーのラスボスじゃん。」
初めて目の当たりにした踊り子に上鳴は開いた口が塞がらない。
双剣一振するだけで数十mの波が起こり、衝撃波も凄まじい。波しぶきをかぶりながら艦から艦を行き交いする。それだけでなく。
「氷くるよ!!」
「任せろ!!」
「ひぃぃ!!炎キタァ!!」
氷と炎は轟が応戦。
「アホ面!!出番だ!!」
「任せろ!!」
上鳴は雷を全て吸収し。
「そっくりお返しするぜ!!」
と大量放電をぶちかます。
「矢が降ってくる!!」
「打ち消せ!!」
「もう少し耐えて!!」
緑谷や爆豪はひたすら物理攻撃で、麗日は破損して海に浮いている戦艦の一部で広域をガード。
「魔方陣から矢まで。攻撃の手数が多すぎる!!」
踊り子の戦闘データ収集に、緑谷は四苦八苦。
椿姫が終わり、魔笛第1楽章を歌い出すと、踊り子は黒いオーラを纏い始め、動きが一変する。
「威力が増しやがった!!」
「意地でも最終防衛線を突破するみたいだね!!」
「(あれを歌う前に…!!)」
緑谷と2人刃をかわし着地するまでに謳華に視線を送ったが、彼女は気づく素振りさえなく淡々と歌うのだった。
「黒い雷!?」
それを吸収したとたん、上鳴は片膝をつく。
「上鳴君大丈夫!?」
「急に、身体が重く…!!」
「上鳴君、麗日さん!!」
緑谷の声に麗日が振り返ると、黒に変わった魔方陣から矢が放たれるところで。
「さっきより矢の数が多い!!」
麗日が先と同じ方法で上鳴もガードする傍らで、次々にヒーロー達が倒れていく。
「うっ!!」
「俺のせいで…!!」
「上鳴君、うちなら大丈夫!!海に落ちた人助けてくる!!」
そしてついに恐れていたことが。謳華が夜の女王のアリアを歌いだしたのだ。
「嘘!?」
踊り子はアクロバットに宙を舞い、次々に船を真っ二つにしていく。辛うじて緑谷と爆豪は半分になった戦艦に着地。
「あと少しでパターンを見極められるところだったのによ!!」
爆豪は悔しげに声を荒げた。そこへ轟が合流。
「黒いオーラを纏ってから、炎も氷も威力が桁違いだ。これ以上長引くのは良くない。」
「そうだね。もう一度パターンを見極め直す…かっちゃん!?」
「そんな時間あるか!!攻撃しながら見極めるんだよ!!」
「だな。」
「うん、行こう!!」
爆豪に続き攻撃を加え、攻撃を食らっての繰り返しで消耗戦に突入しかけた時。
「やっぱり着地の瞬間かな!?」
「そうだな。足は凍らせられるが…。」
「おい丸顔!!」
「なに!?」
「半分野郎が着地したアイツの足固めたら、ありったけの戦艦ぶちこめ!!」
「わかった!!」
その前に雷が放たれる動作が。
「足引っ張ってばっかじゃ、ダメじゃんね!!」
「上鳴君!!」
麗日の個性を借りて、上鳴は踊り子の真正面で雷を受ける。そして千載一遇のチャンスが。
「麗日!!」
「集中砲火っ!!」
轟と麗日の合わせ技は成功し、戦艦が降り注ぐ間を縫って緑谷と爆豪が謳華のもとへ。
「させるか!!」
と謳華へ手を伸ばすペーターを緑谷がぶっ飛ばす。爆豪は名前を叫びながらかけよって、謳華の頬を包み込んだ…。
「!?」
唇が重なったまま驚く謳華。その数秒間、時が止まったかのような静寂さが周囲を包んだ。
「割れた!!」
同時に切島達によって、指揮者が張っていたシールドが破られた。
「後は任せろ!!」
この時を待っていたかのように相澤先生やヒーロー達が一斉にペーターらを囲む。
「皆撤退だ!!」
飯田の号令で用意されたルートで一目散に一線から退く。
「え。ちょっ!!キスした!?」
「うるせぇ!!話は後だ!!」
という手はしっかりと謳華の手を握っている。
爆豪のキスは“希望のキス”として後に称されることとなった。
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