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「ほんとにキスで元に戻った!!」

「いつもの謳華ちゃんだー!!」

皆が一斉に喜びあうなか、当の本人は全く今の状況を理解できていない。

「ばくごー君どゆことデスカ??」

「なんでカタコトになってんだ!?」

「だってき、キスしたじゃんっ!?」

「チッ。覚えてたんかよ。」

「キスされた瞬間意識が鮮明に!!」

「好きな人のキスは効果てきめんだったな!!」

「「アホ面・上鳴君は黙って・れ!!」」

「…うぇい。」

「キスだけじゃない。皆さっきまであれと戦ってたの…!?」

状況を確認することもままならず、轟音を響かせ踊り子は再び進行する。

「弱体化できたみたいだけど、完全に沈黙させるにはどうすれば。」

緑谷は八百万が創造した双眼鏡で様子を伺っている。

「てめえの歌に反応してんだ。止める歌とかねぇのかよ。」

「えぇ??オペラにそんな呪文要素ないからな…。」

考えながら周囲を見渡し、残骸やぼろぼろになった皆をみて拳をきつく握りしめた。

「この歌にかけてみる!!」

「ほらよ。」

爆豪はコスチューム入りのジュラルミンケースを渡す。

「持ってきてくれてたの??」

「ドレスも悪くねぇが、ヒーローとしてのアリアはこっちだろ。」

なりふり構わず脱ぎ始める謳華に、皆目玉が飛び出すくらい驚く。

「ばっか野郎!!ほんとにコスチュームの下は…てめえらも見てんじゃねぇ!!あとこいつ縛っとけ!!」

こいつ=峰田はしっかり蛙吹が拘束完了。

「爆豪さん、これを!!」

八百万が身に付けていたマントを受け取り、皆に見えないようにかざす。

「次は私が皆を守るね!!」

着替え終わると踊り子方向に向き直り、必殺技の超絶ホイッスルボイス、通称セイレーンを繰り出し歌い始めた。

「この歌…。」

「アヴェマリアですわ。」

緑谷の疑問に八百万はすぐに答えた。踊り子は真っ二つに裂け、2匹のドラゴンに戻った。片方は空高くどこかへ消えた。

「海と大地の浄化。覚醒を解かれた歌い手が再び歌う時、ドラゴンは破壊した海と大地を修復して再び眠る…。」

爆豪は独り言のように呟くが、それはしっかり皆にも聞こえていて。

「あんな優しい顔した爆豪みたことないぜ!!」

「ありゃ完全に惚れてるな。」

「ほらほら皆、一歩下がって。」

「爆豪ちゃんに特等席を。」

皆小声で会話しながら、行く末を見守る。

「アヴェマリアっていっぱいあるんだけど、皆が知ってるこれはオペラではエレンの歌第3番って言われてるの!!」

爆豪はいつかの放課後、謳華と動画を観ながらそう話してくれたのを思い出していた。

「(あいつの好きな歌。やっと聞けた…。)」

マリアに助けを乞うこの歌に、この戦いを終わらせたいと願うすべての人の思いが重なっているような気がして、それを歌う謳華はエレンそのもの。ドラゴンも応えるようにみるみる海を綺麗にしていく。

一方、帆船上のペーター達は。

「もう北条はお前の思い通りにはならない。」

捕縛布できつく縛られたペーターは悔しさを滲ませ、相澤先生を睨み言う。

「数百年後また同じことが起こる、その時は必ず我々が再び世界の主導者になるのだ!!」

「何度ドラゴンが復活しても、必ずヒーロー達がその計画を阻止するさ。お前ら敗北は目に見えている。」

凄みを帯びた物言いに、ペーターは黙り込んでしまった。そんなペーターをよそに、敗北を認めたオーケストラは謳華に賛同するようにアヴェマリアを演奏し始めた。

そこへ。

「もう1匹のドラゴンが戻ってきた!!」

「ドイツに行ってたんだね、きっと。」

あちこちから歓声があがる。歌い終わる頃にドラゴン達は謳華に頭を垂れて、目覚めた場所へ戻っていった。

「おい!!」

膝から崩れる謳華を爆豪は抱き止めた。

「私、爆豪君のこと好き、だよ…。」

爆豪の頬にてを伸ばし、か細い声でそう言った謳華は気を失った。

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