パロです。
また、虐待などの描写があります。
もっとさんのイラストの179話の「また変な設定🥷🐱」の設定をお借りしています!
本当に、書くと言ってから随分時間が経ってしまいすみません!自分的にもう書いて投稿していると思っていました。
こんなダメ人間の作品でよければぜひ読んでいってください。よろしくお願いします。
いつからだろうか。
両親からの愛情を諦めたのは。
テストで100点をとっても、かけっこで一位をとっても、賞をとっても褒められることはなかった。
「あたりまえだ」の一言で片づけられた。'
「すごいね」「頑張ったね」の一言が欲しいだけなのに。
クシャクシャに丸めて捨てられてきたテストや賞は数えきれない。
それどころか殴られるなんて日常茶飯事。
それを繰り返されていくなかである時を境に「あ、もう意味ないのかも…」と思った。
愛されたいという感情に洗脳されていたと気づいた。その日から愛されることへの感情がなくなった。
ky side
ky「今日のバイト代です」
m「そこ置いとけ」
そして俺は大学生になった。
今は奨学金を貰って大学に行っている。その中でバイトをし、そのお金のほとんどを親にとられる。ちょっとだけお金を抜いて自分の食費にしている。
m「これだけか、もっと割りのいいとこで働けよ」
ky「ご、ごめんなさい」
m「この役立たず!」
ky「すみません」
m「チッ、あーそうだ、今日家に彼氏くるから今夜は外出てろ。」
ky「え、でも今日外寒っ」
m「あ゛?」
ky「わかり、ました」
父親は帰ってこないし、母親はそれを利用して愛人をつくっている。
その度に俺は家をでなければならない。
ky「今できる最大の厚着はこれか…」
最低限の厚着と財布と携帯だけをもって家をでる。
ky「はあ、寒っ、、」
今日は春にしては寒く、昼間には雪も観測されていた。
そんな中、自分の財力じゃネカフェやビジホなどに行けるわけもなく、いつもの公園に向かう。
ベンチの冷たさが身に染みて、動いていた方がいいこともわかっているが生憎そんな体力はもうない。
ky「はあ」
暗闇に白い息だけが浮かんだ。
gt side
春にしては寒い今日。
夜中になるとより一層寒くなった。
gt「コンビニ行くだけでもめっちゃ身体冷えるなあ」
はあー、と吐いた息は白く周囲に広がった。
そして近道のいつもの公園を通ると人影があった。
こんな寒い中どうしたんだろう。
俺は軽い興味で近づくと、明らかに薄着で凍えている人を見つけた。
gt「ちょっと!大丈夫ですか?!」
ky「、、、。」
パクパクと口は動いているが音が入っていない。
顔は暗くてよく見えない。
gt「ごめん!ちょっと俺の家来て!」
誘拐になってしまうかもしれないが、それよりもこの子の命が危ない。
自分が着ていたダウンを着せた。
背中に負ぶった彼の身体はとても冷たかった。
ky side
gt「少しここで待っててね」
誰かよくわからない、だけど優しそうな年上の男の人に助けられた。
gt「お風呂沸いてるから入りな」
ky「え、あ、あのっ、」
gt「とりあえず身体あっためて」
ky「は、、はい」
お風呂場に連れて行かれ「これがシャンプー、でこっちがボディーソープね」と説明してくれて最後に 「晩御飯は食べた?」と聞かれた。フルフルと頭を振れば「そっか、俺も」と言われた。
男の人が出ていくと俺は服を脱ぎ、身をお風呂に預ける。
あったか〜。あったか過ぎて冷えていた身体は少し刺されるような痛みを感じた。
お風呂なんていつぶりだろう。最近は、ていうかずっとシャワーのみだった。
あの人は誰だったんだろう。誰かわからないけど悪い人ではないだろう。
諸々を済ませお風呂から上がると着替え一式とメモが置かれており、
『服は俺のだけど下着とかはコンビニで買ってきたから新品だよ。嫌じゃなかったらこれ着ておいで』
と書かれていた。どこまでいい人なんだろう。
お言葉に甘えて来させてもらい脱衣所から出るといい匂いが鼻を掠めた。
gt side
gt「ん、おかえり、、、っ」
ky「あ、ありがとうございました」
先程は髪の毛で隠れていた顔が今はしっかり見えていた。
濡れてツヤツヤした髪の毛、クリクリとした黒い宝石のような目、スラリとした身体、、あげたらキリがないほどにただただ心が奪われ、これを一目惚れだと言わないのならなにを一目惚れというと聞きたくなるくらい心臓がバクバクと音を立てている。
しかし、この子がどんな子かわからない。それは相手も同じだ。
当分はこの思いは少ししまっておこう。
gt「ご飯、食べよっか」
ky「は、はい」
俺がダイニングテーブルのイスに座ると彼は床に正座した。この子、大分訳ありっぽいな。
gt「こっちに来な?」
ky「え、あ、わかりま、した」
大分肩身の狭そうに向かいのイスに座った。
とりあえず自己紹介だけしておくか…
gt「俺はガッチマン。よろしくね」
ky「ガッチ、マン?」
gt「そう。あだ名みたいなもんだね。みんなはガッチさんって呼んでる」
ky「ヒーローみたい、、、うん、ガッチさん、よろしくお願いします」
gt「君の名前は?」
ky「えと、、キヨ、です。呼びかたは、なんでも、、、。」
gt「うん、キヨね」
gt「さ!自己紹介も終わったし冷めちゃう前に食べよっか!」
温かいご飯を食べているとキヨはずっと目がキラキラしていた。
まるでこの世で一番美味しいものを食べているように。
無論、ただのごく一般的なカレーライスだ。
それでも美味しそうに食べてくれる彼に嬉しさとほんの少しの違和感を感じた。
ky「昨晩はありがとうございました」
gt「いえいえ、またいつでもおいでね」
結局、感じた違和感を聞けるわけもなく、彼を寝かせて夜が明けてしまった。
ky「え、また来ていいんですか、!」
gt「もちろん、あんな寒い所いるなら家においで。なんの用事がなくても」
スマホを出し、「これ連絡先」と言って彼と連絡先を交換する。彼はあわあわしている。わからないが恐らく彼には逃げ場所と吐き出す場所が必要だ。
少しでも自分がその存在になれればと思う。
ky「ほんとうにありがとうございました。また会いにきます」
そして彼はあの日から何度も訪れるようになった。
来る日は決まって金曜日の夜。理由はまだ聞けていないが小さな声で「家にはいられないんだ」とこぼしていた。
来るたびに俺は彼を歓迎し温かいご飯とお風呂を用意した。だんだんと彼の洋服が増えていくのを感じる。
最初は彼も遠慮をしていたがなんだかんだ押しに弱いらしく「お言葉に甘えて」と言っていくつか部屋着を置いていっている。
そんな日々がしばらく続いた。
そしてそれは寒さが消えかけてきたころだった。
2日前に彼がきて昨日帰っていった日曜日。夜も遅く日を超える少し前。
ピンポーンと呼び鈴が鳴った。
gt「はーい、って、キヨ?」
ky「…」
黙りこくっているキヨをとりあえず家にあげる。
リビングまで連れて行っても上がらない顔。
顔を覗き込むと衝撃を受けた。
感情が全くない表情。真っ赤に腫れた頬。切れて血が滲んだ唇。
gt「っちょ、今保冷剤持って来る!」
冷凍庫を開けて保冷剤をとり、ハンカチで巻く。一つ一つの動作に焦りが見えおぼつかない。
急いでキヨの元に戻り腫れたところを冷やす。ここからどうしようかな。
とりあえずと思い手を引いてソファに座らせる。
キヨはずっと黙りこくったままだ。
gt「ねえ、そろそろ聞いてもいい?キヨのこと。」
gt「守ってあげたい、だけど、何もわからない状態じゃ守ってあげられない。ダメ…かな?」
ky「…お父さんが帰って来た」
gt「え…」
それから少しずつ、言葉を紡ぎながら教えてくれた。いつもは家にお母さんだけでお金を搾取され、毎週金曜日は他の男を連れ込みキヨを追い出す。だけどまだまだましだった。お父さんが帰って来た。お父さんは暴力を度々振るう人でその時たまたまバイトから帰ってきたキヨが殴られてお金を取られ、最後の力を使いお父さんをつき飛ばし急いで外へ出たらどうすればいいのかわからずうちにきたらしい。
もっと前に踏み込んで上げればよかった。そうしたらこうなっていなかったかもしれない。だけど…こうやって自分のところにきてくれて、頼ってくれた。それだけで意味、あったのかな。
gt「ありがとう、話してくれて」
なんとなく撫でてあげたい気分になり手を頭の方にもっていくとキヨが目をぎゅっと瞑った。
ああ、もしかして…
割れ物に触れるように頭を撫でる。
gt「殴るなんてしないよ」
gt「なにも悪いことしてないんだから。そんなに構なくてもいいんだよ。」
もともと綺麗だと思っていた黒い目に光が灯りこぼれ落ちてしまいそうと思うくらい大きく目を開けた。
ちゅ。
キヨのおでこにキスを落とす。
gt「守るから絶対」
そう彼に言うと顔がクシャクシャになるくらいの笑顔になった。彼が初めて見せてくれた笑顔だった。
その後、彼の親(親なんて呼びたくないが)を警察に突き出し、キヨはうちに一緒に住むこととなった。
今はまだ、この気持ちは隠したままで、いつかはきっと。
コメント
2件
めちゃくちゃ最高です😭😭😭😭 書いてくださりありがとうございます🥰🥰🥰🥰🫶🫶🫶🫶