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逃げろ!!!😭
「こんにちは、風子さん」
水曜日のお昼頃、家の前で玄関マットをはたいていると、大きな袋を持つ風子さんが帰ってきた。
「アレンジメント教室でしたか?」
「そうなの。あ、直美さんに会ったらお礼を言いたくて」
なんだろう?
「この前、直美さんに教えてもらったお花屋さんね、明日面接に行くの」
「そうですか、よかった!頑張ってください」
「ありがとう。まだ……誰にも言ってないんだけど…」
またそこで少し不安げな彼女の気持ちが、今の私にはわかる気がした。
だから私は、あえて元気に言ったんだ。
「素敵なサプライズになりますよ、きっと。お花屋さんで働くママを素敵だって、千愛ちゃんも応援してくれそうです! 風子さん、頑張ってくださいね!」
「ありがとう、直美さん」
よし……私も気合い入れて頑張らなきゃ。
そう思った数日後の夜……
「……っ……待ってっ……ハルくんっ…?」
「大丈夫や、直美。大丈夫っ…」
「ヒャ…ぅ……ぁ…どういうこと……?子どもはいらん……って……ハルくん……っ……」
これまでと違い、避妊具をつけない夫に、驚きでイヤな動悸がしてくる。
いま妊娠はいらないっ……
「2ヶ月前の直美の生理期間に俺、パイプカットの手術うけたから」
はぁあぁ?
「な……に…言うてんの……?」
「そのあとの術後の避妊具必要期間は終わったからな」
「ぇっ……ちょっとっ、待ってっ!!」
「もう何の心配もなく……直美は俺のものやっ」
「そんなっ、説明もなく心配するなとかわけわからへんっ!」
「簡単な手術や、1時間もかからん」
そういう問題じゃないでしょ……
「術後1週間経ったらヤれるから気づかんかったか?」
「…………ゴム……ずっとしてたやんね……?」
「精子が無くなるまで、20回くらい出さなアカンからな。精液検査で精子がないと確認できるまでゴムしてたんやけど……っ……もうどれだけ……ヤッても……直美と俺を隔てるモノなくヤッてもええっ……っくっ……っ」
「ぁああぁ……ぁ…ぅン……ッ……」
「ええな?ええやろ?最高に気持ちええよな、直美っ」
イヤイヤイヤイヤイヤイヤ……
知らなかった事実を聞く間、脚を開くことに抵抗していたが、それも力尽きる……気力も体力も尽きた……
……あり得ない……
家族になることを1ミリも考えない夫とは、永遠に家族になれないんだ。
夫の身勝手過ぎる、行き過ぎた行動は、私に
逃げろ!
と、決意させてくれた。