TellerNovel

テラーノベル

アプリでサクサク楽しめる

テラーノベル(Teller Novel)

タイトル、作家名、タグで検索

ストーリーを書く

シェアするシェアする
報告する


「今日の昼は、なんだかにぎやかだったな」


会社を出て、二人で並んで歩いていると、彼からそう思い出したように話が振られた。


「あっ、聞こえてましたか?」


「うん、まぁな」


責任のある大きな案件を任されたばかりなのに、休憩中とは言えさすがに子供みたいで騒々しかったかなと、「すいません、うるさくしてしまって」と、口にすると、


「いや、別に謝らなくてもいい。ただ楽しそうに何を話しているんだと思っただけだから」


彼はレンズの奥の目をふっと細めて笑い、気にするなと言うように、私の頭の上にふわりと手の平を乗せた。


「ああー……えっと、尋問されてたんです、橋元さんたちから」


伝わる手の温もりの心地よさに、うつむいた顔を上げて応えると、「尋問?」と、彼が不思議そうに首を傾げた。


「えっと実は、最初に合鍵を交換したらと言い出したのは、彼女たちの方でして。それで、その後どうなったの? って、問い詰められたっていうような感じで……」


事のてん末を話すと、


「そうか、彼女らにバックアップをしてもらったのか」


彼が合点がいった風で頷いた。


「なんだかいつも、二人には話が筒抜けみたいで……」


ちょっと心苦しいような気もしていると、「構わないよ」と、彼がふっとまた顔を崩して微笑んだ。


「あの二人のおかげで、もっと近しくなれたというところもあるからな……君と」


顎にそっと添えられる手にドキッとする。ビルの陰に身を寄せ、キスを受け入れようと目を閉じた刹那……


私のお腹がグゥーと鳴り、いい雰囲気を一瞬でぶち壊した。


「遅くまで仕事をしていたんだ、お腹が減ったよな」と、キスをやめて優しげに話す彼に、


「ご、ごめんなさい!」ぶんと勢いよく頭を下げる。


「いや……僕は、」


うなだれた顎が、手の甲で押し上げられると、


「そういう君も……好きだよ」


下から掬うようにして、チュッと口づけられた……。

loading

この作品はいかがでしたか?

21

loading
チャット小説はテラーノベルアプリをインストール
テラーノベルのスクリーンショット
テラーノベル

電車の中でも寝る前のベッドの中でもサクサク快適に。
もっと読みたい!がどんどんみつかる。
「読んで」「書いて」毎日が楽しくなる小説アプリをダウンロードしよう。

Apple StoreGoogle Play Store
本棚

ホーム

本棚

検索

ストーリーを書く
本棚

通知

本棚

本棚