こちらはirxsのnmmn作品(青桃)となります
この言葉に見覚えのない方はブラウザバックをお願い致します
ご本人様方とは一切関係ありません
ワードパレットでリクエストいただいた3つの言葉(サブタイトルになってます)を本文中に使用してのお話になります
水視点
「トライアングル 砕ける ぽつん」
楽器のトライアングルってあるじゃん、僕ら3人はそれに似た関係だと思っていた。
音が綺麗に鳴り響くように、一箇所だけ欠けた三角形。
僕がないちゃんを好きで、ないちゃんはいふくんを好きで、いふくんはもしかしたら僕を好きなのかも…?なんて感じていた関係が、その高い音を響かせる楽器に似ていると思った。
僕が落ち込んでいるとき、一番に気づいて声をかけてくれるのは決まっていふくんだった。
話を聞いて、慰めると同時にいつでも欲しい言葉をかけてくれる。
くしゃくしゃと髪を掻き混ぜるようにして撫でられ、優しいあの目で「大丈夫」なんて言われたら、暗く淀んでいた心も浮上する。
ビジネス不仲なんて設定さえなければ、声を大にして表でもお礼を言いたい時すらあった。
僕を起点とした想いの矢印は、いふくんからこちらに返ってくる寸前で途切れる。
完璧な正三角形が砕けて、まるで一部が欠けたあの楽器のよう。
ないちゃんのことを好きになってなかったら、僕はもしかしたらいふくんのことを好きになれてたのかな。
その方が幸せになれたのかもしれないよね。
ある日、ないちゃんが仕事で大きな壁にぶつかった時があった。
周りのメンバーは皆心配したけれど、いつも気丈に振る舞うないちゃんはその日も「大丈夫だよ」と笑ってみせた。
大丈夫なわけない。もっと周りを…ううん、僕を頼ってよ。
いつもいふくんが僕にそうしてくれるみたいに、僕もないちゃんの力になりたい。
そう思う一心で、僕は社長室に向かって駆け出していた。
ノックをしようと手を上げかけたところで、不意に止める。
中から声が聞こえてきた気がして、僕は目を瞠った。
ドアは少し開いている。
音を立てないようにそれを静かに押すと、中の声が少し大きくなって耳に届いた。
「…っ、」
すすり泣くような…ううん、嗚咽を必死で噛み殺すような泣き声。
ないちゃんはそんな声を漏らしながら、目の前のいふくんの胸にその顔を押し付けて泣いていた。
そんないふくんの方は、ないちゃんの細い体をぎゅっと強く抱きしめている。
見ている側からも、どれほど力をこめているのか分かるくらいだった。
こちらから覗う横顔は、まるで自分のことみたいに傷ついているように見える。
眉間に皺を寄せて、少し乱暴とも見えるくらい掻き抱くようにないちゃんの頭を必死で引き寄せていた。
「……」
知らなかった。いふくん、そんな顔をするんだね。
僕が傷ついている時に優しく慰めてくれる手は、僕のことを好きだからじゃなかった。
ないちゃんが傷ついている時は、まるで半分背負うみたいに自分も傷つくんだね。
歪な三角形だと思っていた関係は、僕の中でガラガラと音を立てて崩れる。
ぽつんと残されたのは、僕たった一人だけだ。
それでも、不思議と辛くはなかった。
悲しくないと言ったら嘘になるけど、それよりも何故か良かったと思えたから。
僕が「好きな人」と、「好きになりたかった人」。二人が幸せになれるなら、それでもいいなぁなんて思ってしまった。
ずず、と鼻をすすって、僕は目をこする。
そうしてそのまま、音を立てないように社長室の扉を静かに閉めた。
コメント
3件
初コメ失礼致します......!!🙌🏻✨️ なんでしょう......一つひとつの言葉が綺麗すぎませんか!?物語の世界線に吸い込ませる文章で、いつも没頭して読んでしまいます︎︎🫶🏻💕 そして私の文章能力の無さにも気付きます......🫠 尊敬様すぎますし、読後がいつも幸せいっぱいです( ߹꒳߹ )
「好きな人」と「好きになりたかった人」…恋愛って深いです…水さんの心情メインなのに青さんと桃さんの様子も伝わってきて✨ 好きではないからこその人当たりの良い優しさと好きだからこその苦しみも半分背負う優しさは少し違いますね…教訓になります😖😖三角関係のようなものをトライアングルで表現するのおしゃれすぎませんか、!?💞 今日も元気を貰えましたありがとうございます!!😸
ぐわぁッ、…… この関係マジで辛い……