テラーノベル
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私は
母親と対峙することを選ぶ
離婚に向けた報告と
証人としての署名を依頼する為に
未来という結果から逆算した時
それが
伊藤さんに依頼するよりも
より確率が高い選択だから
純也には申し訳ない気持ちもある
それでも
私と我が子の未来が掛かっている
成し遂げる為には
理想論だけでは辿り着けない
非情な決断を強いられようとも
目的を見失うわけにはいかない
***
母親に会うことを
母親に離婚届の証人になってもらうことを
決意した
決意に至って尚
どう話を切り出そうか思い悩む
仕事が終わったら連絡しよう
そう決意し
仕事の合間に
どう話を切り出そうか思案する
頼りにしてばかりで気が引けるが
リュカにも同行をお願いしよう
リュカならどう転んでも対処してくれる
拗れた際の保険になる
決断に次ぐ決断の連続で
正直頭がショート寸前
何より
精神的に堪える
精神衛生上よろしくない
それでも
見据えた未来から目を逸らさず
見据えた未来を見失わず
是が非でもそこに到達する為に
心を鬼にしてでも
冷徹な決断を重ね
前進を重ね続ける
どう話を切り出そうか思い悩みつつも
待ってくれるほど時間的猶予もない
仕事が終わったら連絡しようと考えていた折
奇遇にも
臣桜
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BrownSugar
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#オフィスラブ
猫塚ルイ

1,050
209
母親の方からメッセージが届いた
内容は言わずもがな
生活費の無心
その実
何のための費用かは定かではない
純也から私の昇給を伝え聞いてからというもの
その要求が日に日に増している
一体私は
母にとって何なのだろうか……
母との親子関係に触れる度
悲観に暮れてしまう
だが
今はそんな思いに打ちひしがれている場合ではない
これ見よがしに
この機会に便乗しようと試みる
業務中にもかかわらず
早速リュカにメッセージを送り
都合のつく日の予定を伺う
純也の目もある
週末に向かうのは得策ではない
かといって
平日に向かうとなると有休取得が必須
度重なる有休消化
伊藤さんには申し訳ないが
気遣い思い悩む余裕もない
溜まりに溜まった有休を
今この時に使わせてもらう
即レスのリュカ
提示されたのは明後日
恐らく埋まっていたであろう予定をリスケし
最短での日程を工面してくれたのだろう
リュカには本当に感謝しかない
リュカの予定に合わせ
有休申請を出す
直前での申請に
伊藤さんにも謝らなければならない
その前に
母親にメッセージを返した
たまたま明後日は休みだからという体で
たまには会いに伺う旨を送信する
仕送り分の生活費は手渡しすると添えて——
程なくして
母親からの返信があった
すぐに振り込まれないことに
いささか不満ありげの様子だったが
明後日というのが許容できる期限だったのか
渋々ながら了承してくれた
事が動き始めてからは
あっという間だった
今日一日思い悩んでいたことが
あれよあれよという間に
短時間のうちに確定した
「伊藤さん、ちょっといいかな?」
「はい、どうしました?」
「何度も申し訳ないんだけど……」
「また明後日有休取らせてもらってもいい?」
「全然大丈夫ですよ~」
あっけらかんと
いつものように快諾してくれた伊藤さん
いつも快く応じてくれる彼女には
正直頭が上がらない
そのうち落ち着いたら食事でもご馳走しよう
そんなことを考えていると
私の顔を見つめていた伊藤さんが
何かを察したように口を開く
「もしかして……」
「何かあるんですか?」
ドキッとした
心臓が飛び出しそうになった
何気ない会話の最中に
突然勘の良さを覚醒させる伊藤さん
伊藤さんには全く関係のない
話したこともない事なのに
私は
内心ドギマギと狼狽えながらも
冷静を装い凛として答えた
「うん、経過観察が長引いちゃってて……」
「……そうですか」
「それは体労わらないとですね」
「でも、全て済んだ暁には食事にでも誘って下さいね」
「何か美味しいものでも奢ってください」
「なんちって」
一瞬焦ったが
事の内容までは分かってなさそうで安心した
何とも罪深く
可愛い小悪魔だと思いつつ
悪ノリした伊藤さんの要求に
私も快諾した
「そうですね!了解です!」
コメント
1件
お疲れ、BrownSugarさん。第91話読んだよ。 今回は「冷徹なスケジューリング」ってタイトル通り、主人公が母親と対峙する決断をしてから、リュカに連絡して日程調整するまでの流れがリアルだった。仕事と家庭の板挟みになりながらも、未来のために「心を鬼にして」動く主人公の心情描写がすごく刺さる。特に伊藤さんの「何かあるんですか?」でドキッとするシーン、あそこめっちゃ好き。彼女の軽いノリとのギャップが良かった。 正直、母親からのメッセージ(生活費の無心)が来た瞬間「うわぁ…」ってなったわ。これからどうなるか気になる。続き楽しみにしてる!