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俺は真っ白なフロックコートに袖を通して姿見の前で最終チェックをして貰っていた。
真「似合ってるぞ無陀野」
無「ありがとう。鳴海の準備は終わってるか?」
別部屋で同じく真っ白なフロックコートを身に付けて準備をしながら俺を待っている愛しい人の確認をしてもらった。
俺の着付けを担当してくれた真澄がLINEで鳴海の準備状況を確認してくれる
真「あと少しで準備が終わるみたいだな、少し会いに行くか?」
無「行く。今すぐ行っても?」
真「問題無し。30分後に迎えに行く、あっちで待つか?」
無「それで大丈夫ならそうする」
真「了解。絶対着崩れするなよ。それじゃあまた30分後に」
強めに釘を刺され、部屋を出た真澄を見送って俺も愛しい人の待つ部屋へ急いだ。
コンコンと軽いノックをすると中から どうぞ と愛する人の声が聞こえ、ゆっくりとドアを開けた部屋の中で自分とは少しだけデザインの違う真っ白いフロックコートを身に付けて姿見の前に立つ鳴海と鏡越しに目が合うと、ゆったりとこちらに振り向いてニコッと笑う
鳴『!無人くん、すごいカッコいい。惚れ直しそう』
いつもの貼り付け笑顔ではなく微笑んで発する言葉はいつもより幾分か幸せそうだ
無「……そこは、惚れ直したって言えよ」
いつもよりかっこよく、それでいて愛らしく、とても美しい鳴海の姿に少しばかり見惚れながら、憎まれ口を叩く
鳴『うん。惚れ直した。俺の旦那さんはめちゃくちゃカッコいい!』
鳴海はとびきり美しい笑顔で答えながら無人に飛び付いて唇を重ね、口の中で思う存分愛し合ってから少し照れ臭そうに唇を離した
無「今日の鳴海はとびきり甘く感じる」
鳴『ほんと?じゃあ、もっと…する?』
甘やかな雰囲気で唇が触れそうになったその時、ドアの向こうからノックと共に時間を知らせる真澄の声が届いた。
無人が少し残念な気持ちで返事をすると クスクス笑いながら、続きはまた後で と掠めるような軽いキスをして鳴海の顔が離れた
無「…それは反則だ鳴海…」
クスクス笑う美しい顔を見ながらチャペルへと向かった
七色の光りがまるで俺たちを祝福するかのように 目の前を明るく照らすステンドグラスを見つめながら 鳴海が京夜と後ろの扉から入場するのを今か今かと緊張で手に汗を握りながら待っている。
目の前には俺たちを夫夫だと認めてくれる神父(代役:校長)が立っている。
あぁ、本当にこれから大切なみんなの前で誓いを交わすんだ…やっと、やっとだ。
小学生の頃に出逢って、羅刹時代 俺の隣でずっと笑っていた鳴海。
不器用な俺たちだからかなりすれ違った時期もあった。
鳴海は1人でたくさん頑張ってきたから俺が守らなくては、なんて思ってた時期もあった
無「昔は俺が守るって言ってたのに…守られてるのは俺の方だな」
自分にだけ聞こえる声で呟くと、改めて自分の人生に鳴海が居てくれた奇跡に感謝した。
進行の合図で背後ではドアが開き、京夜と共にバージンロードを進んで俺の元へと歩いてくる最愛の人へと体を向けた。
ゆっくりゆっくり俺の元に来た鳴海の手と手を重ね、京夜に一礼をして、二人で祝福の光を背に待つ 神父(校長)と向かい合った。
校『新郎、無人 、あなたはここにいる鳴海を 病めるときも、健やかなる時も、 喜びのときも、悲しみのときも、富めるときも、貧しいときも、妻を愛し、敬い、慰め合い、共に助け合い、その命ある限り真心を尽くすことを誓いますか?』
無「はい、誓います。」
校『新郎、鳴海 、あなたはここにいる無人を 病めるときも、健やかなる時も、喜びのときも、悲しみのときも、富めるときも、貧しいときも、夫を愛し、敬い、慰め合い、共に助け合い、その命ある限り真心を尽くすことを誓いますか?』
鳴『はい、誓います。』
俺に向かって左手を差し出し微笑む鳴海のひっそりとした薬指にそっとリングを滑らせ、鳴海も俺の薬指に同じデザインのリングをはめてくれた。
校『それでは、誓いのキスをー…』
一歩前に歩を進め、鳴海の細い腰に腕をまわし 少し朱に染まっている頬に手を添えて下を向かせると 期待に満ちて少し潤んだ瞳と目があった。
鳴海にだけ聞こえる声で愛してると囁き、微笑みながらしっとりとキスをした。
何回もしているはずのキス。でも今日、この日だけはとびきり甘い味がした